坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。新ブログ「人の言うことを聞くべからず」+を開設しました。古代史、神話中心のブログです。

「永遠の0」について

映画を見た感想。
作者は特攻を肯定したいのか、否定したいのか。断定はできないが、恐らく前者だと思う。特攻の肯定とは、命を犠牲にしたことを無駄にしたくないということである。特攻の慰霊、鎮魂のために書かれ、製作された小説、映画だと思われる。もしそうならば、この作品は成功している。しかし観客、読者は、この作品が戦前の日本軍の戦争遂行の仕方への怒りに満ちていることに、どれだけ気づいているだろうか。
宮部の戦友の一人は叫ぶ。「九割方死ぬという作戦なら、喜んで死地に旅立とう。しかし特攻は、作戦の成功すなわち死。こんなものは作戦じゃない!!こんなことをしていたらこの国は滅びる!!」
この言葉の意味を本当に理解した観客、読者はどれだけいたのだろうか。特攻を肯定すればするほど、特攻をさせた者達の思考の貧しさが露になってくるのである。あくまで推測だが、恐らく作者は、書いていて身を引き裂かれる思いだったのではないだろうか。戦略とは、生きる意思から生まれてくるものである。国民に徹底的に死ぬことを教えた国家に勝つための戦略は立てられない。

文庫版の解説と、アマゾンのレビューを少し読んだが、以上のような観点で論じたものはなかった。もしこのように考えて読み、また見たのなら、これ程のヒットはしていないと思うのだが。