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坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。新ブログ「人の言うことを聞くべからず」+を開設しました。古代史、神話中心のブログです。

安倍政権を揺るがす「シェール革命」

中原圭介の『インフレどころか世界はこれからデフレで蘇る』を読んだ。
経済学部出身だが、もはやすっかり経済に疎くなった私は、インフレとデフレのどちらがいいかということは、この本を読んでもわからなかった。
わかったのは、所得の上昇率よりも物価の上昇率が高いインフレよりも、所得の下落率よりも物価の下落率が高いデフレの方が良いということ、そしてシェール革命により、物価の大幅な下落による好景気が今後数年間で訪れるということである。
これまで採掘できなかったシェール層から石油や天然ガスが採掘され、エネルギー供給の大幅な上昇により、企業のエネルギーコストが下がり、それが物価に反映されていく。エネルギーコストの下落は工業に限らず、農業、漁業、全ての分野に及んでいく。既にガソリンは割安感が出始めている。
そしてシェール革命は、アベノミクスインフレターゲットを無意味にする。通貨供給量を増やして、放って置いても下落する物価を押し上げようとしても意味がない。せいぜい円安に誘導して輸出競争力を高める程度だが、シェール革命はドル高も引き起こすのである。なぜならシェール革命により、2015年にはアメリカは原油、天然ガスで世界一の生産量を持つようになるからである。
さらにアメリカは、今まで企業が賃金の引き下げに取り組んできたため、人件コストが非常に低い。中国が沿岸部を中心に人件コストが上昇したため、これからは中国からアメリカに工場を戻す企業が増えてくる。
またFRBは、今後量的緩和の縮小に取り組まなければならない。そのため必然的にドル高となる。そうなればインフレターゲットなど、円安誘導かと睨まれるため、次第にできなくなっていく。

もう1つ、原発推進が無意味になっていく。理由はもちろん、シェール革命によるエネルギー事情の大幅な改善である。
しかし安倍政権は、川内原発の稼働を再開した。これは、原発再稼働の流れは止められないという諦めを、国民に与えるためのものである。
川内原発の再稼働の時点で、私はシェール革命について、安倍首相がどれだけ認識しているのかわからなかった。しかし今回の衆議院解散で、安倍首相がシェール革命をしっかりと認識した上で、衆議院解散に踏み切ろうとしているのではないかと思うようになった。
というのは既に言われていることだが、衆議院解散の趣旨がよくわからないからである。消費税増税についても、確かに法案を通したのは民主党だが、首相権限で増税を施行したのは安倍首相である。それなのに増税の責任を全て民主党に転嫁し、10%の増税を止めたことを自分の手柄として解散をしても、多くの人はついて行けないと思うだろう。
私の予想では、今回、自民党議席を減らす。安定多数も保てないかもしれない。しかし過半数を割ることはない。安倍政権には、ネット右翼を基盤とした、強い支持層があるからである。
ではなぜ議席を減らしてまで解散に踏み切るのか。この場合、重要なのは議席数ではなく時間である。今回の選挙で、選挙をしなければ、二年後に阿倍政権は倒れるかもしれない。しかし選挙をすれば、阿倍政権は4年間延長されるのである。
その4年間でどんなポイントを稼ぐのかと考えるならば、その時点で的外れになる。
逆に、阿倍政権は失点を重ねていくのである。一番力を入れる失点は、やはり原発だろう。エネルギー事情が好転しているにも拘らず、火力発電所の新設を怠り、原発の再稼働を進めていく。
目的は、「政治は変わらない」という意識を、国民に植え付けていくことである。そして国民も、政治が変わらないと、政権が思わせてくれることを望んでいる。憲法の問題を始め、国民が思考と止めておきたいことはたくさんあるからだ。
今回の選挙で我々が心に止めておくべきこと、それは今回、経済は政策の優劣にかかわらず上向くということ、そして憲法の問題を始め、我々が考えたくないことを考えるべきだということである。私は『ガンジーの危険な平和憲法案』で、
護憲に徹さず、かといって改憲にも踏み切らず、今回の憲法解釈の変更を行った政権を、さして批判することなく、次の選挙でも政権の座につけてしまうことが容易に想像できる我々日本人」と述べ、実際その通りになっている。
http://sakamotoakirax.hatenablog.com/entry/2014/07/06/195849
国是に関わる問題に直面した時、我々日本人は常に経済問題を取り上げて逃げを打つ。今回の選挙こそ憲法問題であるべきである。