坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。サブブログ「人の言うことを聞くべからず」+では古代史、神話中心にやってます。 NOTEでもブログやってます。「坂本晶の『後悔するべからず』 https://note.com/sakamotoakiraxyz他にyoutubeで「坂本晶のチャンネル」やってます。

橋下徹は必ず復活する

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今さら言うまでもないことである。
実に今さらだが、別件によりリアルタイムに書けなかったので、今回の投稿。
以前、同様の記事があり、その記事では橋下氏が復帰したら、
「みんなで『嘘つき』と言いましょー」
と言っていた。バカバカしくてそれ以上読まなかったし、誰の記事だったかも覚えていない。橋下氏はそんなに甘いタマではないからだ。

とはいえ私も、引退発表後はそれを完全に信じてはいなかったとはいえ、いつ、どういうかたちで戻ってくるかまでは読めなかった。
この記事の結論を先に言えば、実に鮮やかな復帰のシナリオである。

昨年大阪都構想住民投票が否決された後、橋下氏らは維新の党を離脱し、おおさか維新の会を立ち上げた。
しかしその後橋下氏らは党員名簿を押さえ、大阪で「維新の党」の党大会を開き、維新の党の解党を決定した。
維新の党は大阪での党大会と解党決議を無効とし、党員名簿の返還を求める訴訟を起こし、刑事告訴するとまで言う始末。
まさに泥沼だが、橋下氏はわかっていた。
法的措置を徹底して橋下氏を追い詰めていったなら、橋下氏は完敗しただろう。だが民主党と合流したい維新の党は、おおさか維新の会との泥仕合を長く続ける気がない。
橋下氏は、短期決戦に強い。

橋下氏の真の狙いは、民主党と合流する維新の党に「維新」の名を名乗らせないことだった。
「維新」とは何かと言えば、橋下派、反橋下派双方に納得のいく答えは、
橋下徹的なもの」
に尽きるだろう。橋下氏がおおさか維新の会を立ち上げた以上、維新の党が「維新」の名を保持したまま民主党と合流し、合流してできた新党が「維新」の名を持ってしまっては、「維新」が橋下氏の専売特許ではなくなる。それを防止するための泥仕合だった。

いや、実は「維新」の名以上に大きな狙いがあった。
おおさか維新の会の松井代表は大阪都構想住民投票をふたたび行うと主張した。
すると大阪の世論は沸騰した。僅差とはいえ、否決された大阪都構想が今にも決まりそうな様相を見せたのである。
実際この時に再住民投票が行われていれば、大阪都構想は可決されていたと思うし、これから住民投票を行っても、可決される可能性は高い。

都構想住民投票前に、私は

大阪市民も反橋下派も、既に橋下徹の罠に嵌まっている - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

という記事を書いた。ずいぶん多くの人に読んで頂いた記事だったが、ひとつ重大な読み違えがあった。
このとき私は投票忌避者が出て都構想反対票が下がることを予想したが、実際は投票率は高かった。都構想反対派が多数投票する中で、賛成派は反対派に僅差をつけたのである。これは私が予想したよりも、橋下現象は大きな力だったということだ。

去年の松井氏の都構想再住民投票発言による大阪世論の沸騰は、橋下氏の政界引退により終了すると思っていた橋下現象が、維新の党との泥仕合により、橋下現象が再び起こることを期待した大阪市民が起こした橋下現象である。
そして大阪都構想が可決された場合、橋下氏が政界に復帰すれば、それが約束破りであることは間違いない。
しかし橋下氏の方に、約束を守る必要が全くないのである。こうして橋下氏は、見事に政界復帰へのレールを引いた。
現在、おおさか維新の会は「純血主義」をとり、他党との合併をしない方針である。維新の党とあれだけ揉めた後、提携する政党ももうないだろう。
「それでやれるのか?」
と言われれば、やれるのである。橋下氏は「ポスト安倍」を狙っているからだ。
昨年の安保法制で一時支持率を下げた安保政権は、それほど間を置かずに支持率を回復し、40%台を維持している。
一見安定しているかに見える安倍政権だが、既に陰りが出ているというのが私の読みである。
衆参同日選挙をするとかしないとかというニュースがちらほらしているが、私はしないと思っている。
「消費税増税を延期するため」というのが理由らしいが、私自身、同日選挙が行われても熱くなれない。私だけでなく、他の人も同じじゃないのかというのが、私の肌感覚である。
安保法制以降の昨年の政局を経て、今国民が一番望んでいるのは「平静」だと思う。つまり何か動いて欲しくないということだ。
そして支持率が高くても、「平静」を求められた政権の政権維持力には限界がある。安倍政権は既に飽きられかけており、緩やかに下降線をたどっているというのが、私の見方である。

今年5年目になる安倍政権が保っているのは、それ自体が安倍首相の資質の表れである。
ならば「ポスト安倍」はどうなるかと言えば、長期政権が生まれる可能性は少ないだろう。それは政権交代の割合だけを見れば、「失われた20年」と言われた時代に逆戻りしたような様相となる。

その時が、橋下氏が飛躍するチャンスとなる。
思えば、橋下氏にとって安倍政権が最大の重しだった。その重しがとれれば、おおさか維新の会は今より勢力を拡大できる。「ポスト安倍」で都構想の再住民投票をやり、橋下氏が政界に復帰する。それが橋下氏のシナリオだろう。

現状、橋下氏の策略は策略として評価するしかないというのが、私の考えである。
特定個人を言論弾圧したり、きちんと法的措置をとれば違法と断定されることが間違いない行為を支持すると、回り回って自分の首を締めることになる。だから橋下現象は破滅志向である。
しかしこの破滅志向に反対する、「正論」を唱える者たちの態度にはつくづく幻滅する。
いや、「正論」はいい。
問題は、「正論」を唱える者たちが、橋下氏に勝つ気がまるでなく、結果橋下氏に負け続けていることである。
現在、維新の党との合流により結成された民進党がいまひとつ人気がないのも、こういうところにある。
橋下氏が正式に引退する前に民主党に色気を見せ、あまつさえ「維新」の名も引き継いでしまおうと考える詰めの甘さ。橋下氏がただ引退すれば、結いの党系はともかく、元々の大阪維新の会系は拠り所を失う。それについて橋下氏が完全に無策だと思ったのか。
橋下氏に黒星をつけるくらいのことをしなければ、政党に期待を集められず、いつもの離合集散の繰り返しと捉えられるだけである。
反橋下派もしかり。橋下現象を論じれば橋下氏だけを批判し、批判を拡げてもマスコミ止まり。橋下現象が国民の現象であることを指摘しない限り、橋下現象は止まらない。
ならば私としても、経済政策はともかく、改憲だけでも橋下氏に期待した方がましである。

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