坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。新ブログ「人の言うことを聞くべからず」+を開設しました。古代史、神話中心のブログです。

ナンセンスギャグの限界~『暗殺教室』

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出欠確認と同時に始まる一斉射撃。 不意討ちでターゲットの命を狙う生徒達。マッハ20のターゲットは生徒達の攻撃を難なくかわす。
ターゲットは最高の教師。殺せんせーの指導で、生徒達は勉強にも自信をつけていく。
勉強も暗殺も一生懸命。まかり間違って流れ弾が殺せんせーに当たって死んだら、生徒達全員が大喜びしそうな、異様な感触を感じてしまう。こんなことを書けば、

何言ってんだ。それがナンセンスギャグだろうが。
と言われてしまうだろう。その通りです。すいません。

暗殺教室』には、それなりの駆け引き、戦略がある。 中学生が訓練により忍者のような動きをするなど、少年誌らしいご都合主義的な面があるが、それでもやはり駆け引き、戦略はある。

しかし、だからどうした。所詮ナンセンスギャグじゃないか。

ナンセンスギャグとしての駆け引きは、読者の身にならない。結局はご都合主義過ぎて、リアリティーに欠けるのである。

暗殺教室』よりリアルな駆け引き、心理戦を表した作品として、『デスノート』『ライアーゲーム』などがあるように、日本人は心理戦、駆け引きの物語が好きである。
しかし二つの作品とも、ファンタジー、あるいは非日常の世界を舞台にして成立している。そして現実世界は心理戦や駆け引きの物語として作品化されない。

あんたのプロ意識を信じたんだよ。信じたから警戒してた

 

と、『暗殺教室』の作中で赤羽業は言う。
その通り、現実世界にも駆け引きはある。そしてその駆け引きは、敵に対する敬意を持つことで磨かれていく。 しかし

私の擬装請負体験① - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

で見るように、現実の駆け引きとは、いかに敵を過小評価し、弱く思うかに終始している。

現代人は、駆け引きの重要性を理解している。
しかしバーチャルな世界でなければ、現代人は駆け引きを楽しめない。はたしてバーチャルな世界の駆け引きの物語を受容し続けることで、いつか現実世界の駆け引きの物語がヒットするのだろうか?