坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。サブブログ「人の言うことを聞くべからず」+では古代史、神話中心にやってます。 NOTEでもブログやってます。「坂本晶の『後悔するべからず』 https://note.com/sakamotoakiraxyz他にyoutubeで「坂本晶のチャンネル」やってます。

日本は中国に勝てない

トランプ氏が大統領になる - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

を書いた時にいい忘れたが、この記事は、

米軍駐留費の負担についてだが、これはのらりくらりとかわすべきだろう。「負担しなければ撤退」はブラフで、トランプ氏の安全保障への意識は高い。おそらく負担を負わせられることなく、トランプ氏と渡り合えると思う。

 

と述べた

トランプ氏から見る世界情勢 - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

の訂正である。


 最近、エマニュエル・トッドの『問題はイギリスではない、EUなのだ』 を読んでいる途中だが、

エマニュエル・トッド - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

で述べた私の見解と違い、イギリスのEU離脱は移民が原因ではなく、ナショナリズムの発露だと言うことだった。

 トッドによれば、現在グローバリズムからナショナリズム移行が始まっており、グローバリズムの地域版としてのEUは解体するということだった。しかもスコットランドも分離独立しない。 

それでもドイツが健在ならEUは維持されるのではないかと思うと、ドイツは男子の高等教育の進学率が低下し、出生率が1.4%と低いため、ドイツは不安定な状況にあるという。

 予言者とまで言われる人には、やはりかなわない。 


少し気になるのが、日本についての言及が少ないことである。

 トッドは日本に好意的な発言をいくつかしているが、それは概ね個人的な好意である。 

一方中国についても発言している。 中国の超大国化は幻想で、GDPの40~50%が設備投資と極端に高く、個人消費は35%と低い。

 そして貧富の格差が著しいが、中国は平等を重んじる社会で、今はナショナリズムを発揮していても、将来的には格差の是正のためにエネルギーを内に向けなければならなくなるという。 ひとまずは朗報である。

 しかしまた、トッドはこうも言っている。

まず大事なことは、中国との関係において、シンメトリック(対称的)な対決の構図に入らないということです。

 

またトッドは、中国の高等教育の進学率が17%程度で、一定しない教育を受けたけれども高等教育に進まない層がマジョリティを占めているのは、ナショナリズムが最も高まり安い状態だと述べている。 

しかし日本もまた、そういう方向に進んでいるのである。 


安倍政権は、年金支給額の減額に踏み切った。 

今後、低所得層は社会の保護が薄くなっていく。高等教育の進学率も下がるだろう。

 しかし、私は危惧しているのはナショナリズムの高まりではないのである。 


今、トランプ政権による米軍駐留費負担が問題になっているが、アメリカがアジアから撤退すれば、日本は中国に勝てない。

派遣社員はよく、「歳をとったらのたれ死にする」と言っている。

 

ヒューマニズムと社会性 - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

で私は述べたが、私は問題だとは思っていても、同情はしていないのである。

「野垂れ死にする」と言って何もしないのは、野垂れ死にして当然と思うような人生を歩んでいるからである。 

そのような者達が国民の多くを占めている国が、中国に勝てるか? 

旗色が悪かったり、戦争が長期化したりすれば、すぐに厭戦気分になるだろう。

 政府はそのような死にたがりをますます増やす政策を取っている。そんな国が中国に勝てるとは思えない。

 よくアメリカの覇権が終わり、地域ごとに覇権を握る国が現れてそれぞれの地域で秩序を作るという人がいるが、それならアジアの覇権国は中国である。

力と力のぶつかり合いなら、中国が優勢なのである。 

日本は中国と対抗するヴィジョンを欠いている。

日本が格差のない社会を作り、他のアジア諸国を日本に倣わせるくらいのヴィジョンがなければ、中国の野心を押さえ、そのエネルギーを内に向けるようにできるかどうかは運次第でしかない。 


とは言っても、米軍のアジア撤退はいくつかあるシナリオのひとつである。

それでは他のアジア情勢を見てみよう。 

トランプ大統領が「ひとつの中国にこだわらない」と述べたことで、中台関係に激震が走ったが、これについては私は好意的である。 

戦争になる危険性を危惧する人もいるが、今まで台湾の意識の方が甘過ぎたのである。

 トランプ大統領の発言で、フィリピンに続いてタイも中国に擦りよろうとしていたが、その流れも止まった。悪い情勢ではない。

 しかし、これでトランプ政権がアジアを撤退する気がないと見るのは楽観的過ぎる。

 そのような見解は、「利益の最大化」と「優先順位」を混同している。

「利益の最大化」は、同盟国に軍事費を負担させた上での覇権の維持であり、「優先順位」は軍事費の肩代わりにある。


 そしてトランプ政権への移行と期を同じくして、韓国が釜山の日本総領事館竹島従軍慰安婦像を設置する動きに出たが、これは韓国がアメリカに特に要求されていることがないのを示している。

つまり日本はメキシコと同様に、狙い打ちされている。 

また、台湾に米軍基地を移転する話が出ているが、これは台湾が今のところ無反応なので、なんとも言えない(台湾も反応しようがないのだろうが)。しかし実現すれば、トランプ大統領は日本に軍事費を負担させる最大の切り札にするだろう。

台湾に米軍基地の半分を移転させるとして、日本に要求する金額は駐留費のほぼ全額だろう。

 実にビジネス的な話で、実質負担額は半分である。

そして日本はそれを飲みそうである。なぜなら本土の人間は、いくら金を払っても、沖縄の米軍基地が本土に移転させたくないからである。 


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