坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。新ブログ「人の言うことを聞くべからず」+を開設しました。古代史、神話中心のブログです。

護憲派は逃げるな!!

安倍首相が、2020年に憲法改正を行うと決めた。
内容は、憲法九条の一項と二項を残したまま、第三項として自衛隊を明記するというものである。
私は、この改正案に消極的に賛成である。
この憲法改正で、護憲派は一時的に息を吹き返す可能性がある。
この憲法改正は条文自体が矛盾するのだが、元々自衛隊違憲としながら、70年近く自衛隊を許容してきた護憲派である。鬼の首を取ったようにこの矛盾に目を瞑り、平和憲法は正しいと唱えるかもしれない。
私の望むのは九条の削除、自衛隊の明記であり、それに伴う戦前からの流れ全般の総括である
(参考

日本が憲法を改正しない本当の理由 - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」


しかしそれが国民にすぐに受け入れられないならという意味で、九条を残した改憲もありだと思うが、その場合、護憲と改憲の議論は長期的に継続される。

この間、

憲法九条改正は全く不要である - 読む国会

という記事があった。
この記事では憲法九条を理念法とし、

憲法記念日こそ、あえて問い直す。我々国民は、九条の改正に時間と税金を使う政府に対し、十四条や二十五条の誠実な履行を求めていく必要があるのではないか。

 

と述べ、九条改正の必要を全くないものといっている。
九条は理念法ではない。
全文にあるならともかく、条文としてある以上、本来法的拘束力を求められるべきものである。だから「やはり軍隊は必要」という平明な現実論があり、その平明な現実論に「右翼!」と反撃するレッテル貼りの議論が繰り返された長い歴史があるのである。
十四条や二十五条の「誠実な履行」というが、それができていないのも、平和憲法があったからである。
戦後の日本の政治は、経済にしろ何にしろ、多くの政治問題の対立は表面的なもので、潜在的な護憲と改憲の対立が真の対立軸だった。このことは

「この道しかない」の本音は、「憲法を守るにはこの道しかない」 - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

などで、私が主張してきたことである。

田中角栄、バブル、そして憲法 - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

で、バブル経済が護憲と改憲の対立のために生まれたものだと指摘したが、バブル、55年体制崩壊後の「失われた20年」の時代は、悪玉だった自民に変わる悪人探しの時代である。
この時代の悪人は多くは官僚で、そのため日本はデフレ経済に陥った。
改憲を期す自民が政権の座にいないため、国民の悪人探しは90年代後半から2000年代に渡り、存在しない悪人を探して猛威を奮った。悪人探しは永田町、霞ヶ関以外にまで波及し、朝青龍問題や、死刑廃止を巡ってアグネスティ・インターナショナルと徹底的に対立するまでに至ったのである。

戦後の年金制度は、多くを企業年金に依存し、終身雇用制度によって全ての国民が年金を受給できるようにしてきた。
しかし終身雇用制度が崩壊したことで、年金を満足に受け取れない層が生まれた。
この層に満足な年金が行き渡るように制度変更をするには、企業年金に依存しないEU諸国よりも大きな力が必要だった。
その力を完全に削いだのが、護憲と改憲潜在的な対立である。
護憲派は多くが革新でありながら、消費増税に反対し、年金制度維持のための財源作りを阻害してきた。
結局消費増税を進めてきたのは、ほとんどが自民である。
その消費増税も限界に達し、とうとう去年、安倍首相は年金を減額した。
年金が減額された以上、政府支出を増やして景気を拡大しようとしても、国民は収入を貯蓄に回すため、景気は拡大しない。だから今後、ケインズ主義的な政策はほとんど行われない。消費増税ケインズ政策がセットで実施できる環境が整った時のみ、ケインズ政策は実施される。
護憲と改憲の対立は潜在的だからこそ、改憲により対立を解消しない限り無くならない。
そして消費増税は、革新勢力のバックアップ無しに、年金制度を維持できる率に押し上げることはできない。しかし革新勢力は、護憲と改憲の対立を利用して、中間層の利益のみを図り、貧困層を無視した。
改憲をスルーして貧困対策を行うなど、所詮不可能なのである。

読む国会氏の記事は、護憲派の逃げの記事である。
その後読む国会氏は、

国会が無力化した夜 - 読む国会

などで、共謀罪法案を批判したが、私も検証不十分ながら、共謀罪法案を危険なものと思っている。
しかしそれも、

特定秘密保護法、解釈改憲、靖国参拝 - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

で述べたようなことを、政府と国民が繰り返してきた結果なのである。
国民は改憲を必要としながらも、自分達が改憲に踏み切れないから、政府に横暴であることを求め、自分達は被害者だという体裁をとろうとする。
それを繰り返すうちに、本当に必要な権利まで奪われようとしているのである。

貧困の解消も権利の保全も、護憲派が逃げの議論を繰り返す間はできない。

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