私の母は、私がいじめやその他の社会的に理不尽な目にあっても、一度も私の味方になったことがなかった。必ず世間の味方をして、反抗すれば私は必ず悪者のように扱われていた。
それだけなら、私も親に反抗して、早い段階で自我を確率することができたかもしれないが、毒親とは子供を一歩的に虐待するものとは限らない。
私は家の中では、かなり優遇されていたのである。家の中で優遇され、社会、世間的に冷遇されるという親の態度の使い分けによって、私は不当に扱われていることに気づけなかった。 そして私を優遇する家は、長い間私にとって必要だった。
私が家を必要とする限り、私は不当な目に遇い続ける。共依存である。
共依存については、『東京喰種』の六月透において実によく表現されており、またその表現も大仕掛けである。
六月透は、私が知っているストーリー作品の中で、最も衝撃的な経歴を持つキャラクターである。
六月透は、家族が喰種に殺されたと思っていた。しかし喰種のトルソーに拉致され、暴力を受けている中で、透は真実を思い出す。家族を殺したのは自分だったのである。 透は、父親に性的なものも含め、日常的に虐待を受けていた。
トルソーもまた、子供の頃に父親に暴力を受けていた。 トルソーは人間の女の子のミノミと仲良くなったが、父親にミノミを殺され、逆上して父親を殺す。
しかし既にトルソーの中には、女性への嗜虐性が芽生えていた。ミノミもまた親に暴力を受けており、生傷や痣が絶えなかった。トルソーはミノミの傷や痣に見とれていた。
結局獲物を父親に奪われたために父親を殺したトルソーは、女性を捕食する時も、その首を切って胴体を愛撫するようになる。トルソーは女性の顔を見れないのである。
家族を殺した記憶が甦った透は、トルソーに自分を殺してもらおうとするが、気がつけば自分がトルソーを殺していた。そして強力なクィーン・ビーとなり、CCGを離脱し、隻眼の王として喰種の側に立った金木研の前に立ちはだかる。
厳密には、透は金木との間に共依存関係を築こうとする者である。 それだけに、共依存の加害者がどのような人間かがよくわかる。
共依存の加害者の特徴のひとつは、相手を自分のものだと独りよがりに思っていることである。
「泥棒猫」と言っているが、透と金木が恋愛関係にあったことは一度もない。
2つ目の特徴は、共依存の被害者に強い執着を示しながらも、相手が破滅しようがお構い無しなと ことである。
と透は言うが、CCGは金木の替玉を公開処刑しており、金木に出てこられても困るだけで、やはり金木を殺すだろうが、共依存の加害者は臆面もなくこういう嘘を言い続ける。そして最後は、「誰のものにもならない」ようにと金木を殺そうとする。独占欲の裏返しである。
3つ目の特徴は、被害者と共依存関係を築けない、もしくは共依存関係が壊れていることへの鈍感さである。
透は金木を引きずり出すために、トーカの友達の小坂依子を逮捕させる。 依子は死刑にされそうになり、透はそのことを金木に伝える。
透は、金木が依子のことをトーカに伝えないと思っている。しかし、
と、金木が出てくることについて強い確信を持っているが、実際は金木は罠だと思っているので出てこない。
ある時、依子が処刑される書類をトーカに見られる。そして金木は、トーカに書類を見られたことに気づく。
この時トーカは妊娠していたのだが、金木が書類のことで探りを入れようとすると、トーカは書類のことに触れず、替わりに妊娠したことを告げる。
透の理論なら、トーカに書類を見られたら金木が透の前に現れる可能性が高くなるのだが、二人とも透の読み通りには動かない。共依存の加害者は、相手が自分の思い通りにならないのを理解しないし、したくないのである。
では、ブラック企業の経営者やDV加害者が弁護士が出てくると腹を立てることを指摘している。
のフミコフミオ氏の元社長は、反省をせず、氏の待遇を下げて氏を会社に戻そうとした。
私が「和」を嫌いになった理由(後編) - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」
の上司Dは、私が金を貸して相手の弱みを握ったと思っていたのに、金を借りて私の弱みを握ったという偉大な勘違いを最後まで持ち続けた。
共依存の加害者は、自分がコミュニケーション能力に長け、優れた判断力を持っていると思っているが、問題が起こるとその反対であるのが露呈する。
また共依存は加害者も依存しているのであり、そのため共依存関係が破滅されると、加害者も深刻なダメージを受ける。
そしてこの共依存関係は、日本中の至るところに張り巡らされている。
最近日本ボクシング連盟の山根明会長の不祥事が話題となったが、山根氏の言動は、共依存体質をそのまま表に出したものである。
古代史、神話中心のブログ「人の言うことを聞くべからず」+もよろしくお願いします。