坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。サブブログ「人の言うことを聞くべからず」+では古代史、神話中心にやってます。 NOTEでもブログやってます。「坂本晶の『後悔するべからず』 https://note.com/sakamotoakiraxyz他にyoutubeで「坂本晶のチャンネル」やってます。

ドラゴンボールを考える⑨~「未来トランクス編」3:『復活のF 未来トランクス編』とバッドエンドの意味

『復活のF 未来トランクス編』は、「昔、フリーザという者がいた」という、トランクスのナレーションで始まっていた。 ここで気づくべきである。

未来トランクスは復活したフリーザのことは知らないはずである。未来トランクスの時代は、現代に行って悟空達に助けを求める前である。フリーザが復活したことを聞いているはずがない。 復活したフリーザのことを知らないトランクスがナレーションをしているということが、「未来トランクス編」を理解する鍵となる。

 

 一度現代に戻った悟空達が再び未来に行き、魔封波を使おうと思ったが壺が壊され、魔封波無しで戦う悟空の代わりに、トランクスが壺を直し、ブルマに教えられて魔封波をすることになる。

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ギャグはさておき、ピッコロの動画で魔封波のやり方を見たトランクスは、向かってきたザマスをブルマが足止めする僅かの間(どうやって足止めしたかはもう書きたくないwww)に魔封波をマスターし、一発でザマスを封印する。使命感に燃えるトランクスの集中力は凄まじい。 

しかし悟空が封印のお札を忘れたために、ザマスは壺から出てきてしまう。魔封波を恐れたザマスは、ブラックに合体を提案、二人は合体する。 

合体ザマスに悟空達は善戦するが、形勢は不利。しかしザマスの体半分が元に戻らないのに気づいた悟空は、ベジータに合体を提案してベジットになる。

 ベジットはザマスを圧倒するが、合体の効果が切れ、再び形勢不利に。しかしそこに、折れた剣に気を注入して気の剣を作ったトランクス来てザマスと戦う。

元気玉のようにその剣には人々の気が集まり、その剣でザマスを真っ二つにする。 

 

ザマスの肉体は消滅する。ところがザマスは、今度は宇宙そのものになる。ザマスの攻撃で、トランクスとマイ以外は全て死んでしまう。 

ひどい話である。それまでザマスに与えたダメージなど全く考慮に入っていない。 

ここで悟空が裏技を使う。全王からもらったボタンで、全王を呼び出したのである。 しかし全王は違う時間軸の全王であり、悟空を知らない。

結局全王は、宇宙ごとザマスを破壊してしまい、悟空達はギリギリでタイムマシンに乗って現代に逃げてくる。典型的なバッドエンドである。 

この後悟空がもう一度未来に行くと言うから、破壊された宇宙を元に戻せるのかと思ったら、

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悟空何してんの~!!!Σ( ̄□ ̄;) 

しかも傷心のトランクスを働かせて、と思ったらトランクスも傷心してる様子がない。 

とにかく未来から連れてきた全王を現代の全王のところに連れていって全王との約束を果たし、未来トランクスとマイはザマスが現れる前の世界に行き、界王神が殺される前のビルスにザマスを破壊してもらうことになった。 

「不死身のザマスは破壊できねえんじゃねえのか?」という悟空の問いに、「魔封波よりもっといいものがあるんですよ」と答えるウイス。 そして旅立ちの時には、

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ベジータがトランクスにパンチを入れ、トランクスが受け止め、爽やかなラストを演出しようとしている。不自然を通り越して非常に気持ちが悪い。 

しかしタイムマシンに乗り込み、未来に行こうとするトランクスの前に、悟飯が現れる。 悟飯と過ごした日々を思い出すトランクス。

f:id:sakamotoakirax:20180821210226j:plain「俺は…世界を…」と、やっとトランクスがまともな反応をする。

悟飯は師匠であり、世界を救うことを誓った同志である。トランクスは悟飯にだけは顔向けできないのである。 

 

『復活のF 未来トランクス編』で、トランクスがブラックにより荒廃した世界を見て「なぜ…」と問いかけるが、その答えは「ビルスが悪い」である。 

『復活のF 未来トランクス編』の内容は、ほとんど『復活のF』と同じだが、1ヶ所だけ違う。

 悟空とベジータが組めばフリーザを倒せるが、二人はそれをしないだろうというセリフの後、「バカだね~あいつらプライドが高過ぎるんだよな~」とビルスが言うと、ウイスが「ビルス様と同じ何ですよ」と返す。 

ビルスは現代のザマスを破壊しておきながら、「神が行った行為が時間に干渉しないわけがない」と言って、トランクスの時間軸の確認を怠った。しかし時の指輪を持っているザマスは、神としてのビルスの行為の影響を受けなかった。

 もっともビルス自身が未来に行けない以上、ビルスはこれ以上関われない。だからザマスの生存はビルスの責任ではない。

これはビルスの責任のダミーである。

 ビルスの本当の責任は、悟空とザマスを会わせたことである。 ザマスと会った時の悟空のあいさつ。

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。。。 

 

一方、マンガ版ではビルスは悟空をザマスに合わせていない。

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「手合わせしたオラが一番わかってる」と悟空は言うが、悟空と会ったからザマスは闇落ちしたのである。 

アニメとマンガでは、ザマスの性格は少し違う。 マンガではザマスは、「ちょっと真面目すぎるところがある」とゴワスに評されているが、アニメではそうは言っていない。 

アニメのザマスを真面目すぎると思ったなら、それはザマスの言動から勝手にそう思っただけで、アニメのザマスは真面目ではない。 

印象深いのは、マンガで界王神を殺すことで破壊神を始末したことを悟空が「汚ねえ」というと、「過程はどうあれ、私はこの世界において唯一の神なのだ」と言うところ。割と素直であるwww。

 素直だから、みっともない言い訳をすることも、合体後ダメージを受けて体の半分が溶けたりすることもない。 

アニメとマンガの関係は未だに不明だが、これは珍しいことに、悟空と出会ったことでザマスが闇落ちしたことを、マンガとの対比によって強調しているのである。

 「未来トランクス編」がバッドエンドに終わったのは、主役が悟空でなければならず、悟空の倒せない敵をトランクスが倒してはいけないからである。

 この後、悟空のダメ親父的な描写はなくなり、真面目に働いている場面や、ヒットと戦うために自分を暗殺する依頼をするなど、カッコいい場面も入れていく。

 その理由は、これ以上ダメ親父路線を続けるのは悟空が主役が主役であることへの苛立ちが募るだろうという配慮からである。長期シリーズはもう1つあるのだから。

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