坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。サブブログ「人の言うことを聞くべからず」+では古代史、神話中心にやってます。 NOTEでもブログやってます。「坂本晶の『後悔するべからず』 https://note.com/sakamotoakiraxyz他にyoutubeで「坂本晶のチャンネル」やってます。

ドラゴンボールを考える⑩~「宇宙サバイバル編」1:「力の大会」での悟空の悪とは?

転生したらヤムチャだった件
は良かったね。
ヤムチャになった主人公がブルマと結婚するために悟空の先回りをするように修業し、最後にはナメック星まで行って最長老に力を引き出してもらい、さらにネイルに修業をつけてもらって、サイヤ人来襲時には戦闘力10000超えで悟空を超えちゃってる。
もちろん悟空は界王拳を使うので悟空の方が上になるんだけど、基本戦闘力で悟空を上回らせる華の持たせ方。悟空と二人でベジータを追い返し、ベジータを殺そうと思ったがトランクスが生まれることを考えるとそれもできず、トランクスの登場により「別の並行世界のこと」と割り切ってブルマと結婚するためにプロポーズしようとするがベジータとブルマの関係を見てそれもできず、ベジータに勝負を挑み負けて身を引くその健気さ。
鳥山もヤムチャのことは気にしてたんだろうね。

「宇宙サバイバル編」は、悟空がビルスの忠告を無視して、全王に武道大会の開催を催促することでスタートする。
八つの宇宙から選抜された戦士が戦い、敗退した宇宙は消滅するという苛酷な全王の決定にどん引く各宇宙の破壊神や界王神
批判は提案者の悟空に集中していく。第9宇宙のベルガモは悟空に勝ったら消滅を無しにするように提案し、全王が了承する。大神官が手抜きをしないように言って茶番を封じると、悟空は攻撃を受けると体が大きくなるベルガモの特性を知ってわざとベルガモを大きくし、最後に全力でベルガモを倒して自分の力を誇示する。
これで悟空の印象は最悪、第11宇宙のトッポは悟空を悪と呼ぶ始末。
悟空とトッポが戦い、勝負はつかなかった。

試聴者は悟空を悪と呼ぶのに反発し、悟空に味方する。「悟空のおかげで消滅を免れるチャンスが与えられたんじゃないかと。
その通りである。悟空がいなかったら、消滅する宇宙は全王の任意に決められ、各宇宙は消滅を回避する努力は全くできなかった。
マンガでは全王は宇宙を4つ残して他は破壊するつもりだったが、悟空の武道大会の提案により残す宇宙がひとつ増えることになった。悟空のおかげで、宇宙がひとつ救われたのである。
マンガでは悟空は礼儀知らずで、騒動を巻き起こす男だと思われているが、悪とは見なされていない。
そしてそれが問題なのである。

地球に戻った悟空は、ラーメンマン、いや「力の大会」に発奮してシェイプアップしたブウををはじめ、選手候補と戦いながら選手を集めていく。

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しかし選手が10人揃ったところで思わぬアクシデントが。いつもは1秒寝れば十分なブウが、いくら起こしても起きなくなってしまった。ミスター・サタン曰く、こうなるとブウは2ヶ月は起きないとのこと。

急遽、ブウの代役を探さなければならなくなった。ここで悟空がとんでもないことを思い付く。地獄にいるフリーザを1日だけ復活させてさせて選手にするというものだ。
フリーザには一度、地球を破壊されている。みんなは反対するが、悟空はフリーザを連れてくるために地獄にいく。
当然の如く、フリーザは「地球のドラゴンボール」で生き返らせるように要求、悟空は承諾する。
地球に戻ってきた悟空とフリーザだが、第9宇宙が刺客を放っていた。
悟空は無視して瞬間移動で戻ろうとするが、フリーザは「ウォーミングアップ」と言ってゴルフリになって刺客と戦う。フリーザは地獄でミノムシ状態のまま、精神統一で耐久力を高め、ゴルフリになってもスタミナを消費しないようになっていた。
刺客を次々と蹴散らすフリーザだが、第9宇宙は隠し玉を持っていた。破壊神~与えられた破壊のエネルギーである。フリーザはこの破壊のエネルギーを受けてしまう。
しかしフリーザは破壊のエネルギーから抜け出して、意のままに操ってしまうのである。

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そしてこの破壊のエネルギーに興味を持った悟空が不用意に近づいたところでこのエネルギーを悟空にぶつける。悟空はフリーザのように抜け出すことができない。
フリーザは刺客から通信機を奪い、第9宇宙の神々に自分を引き抜くように取り引きを持ち掛ける。
フリーザを引き抜くかどうかで、第9宇宙の神々がもめる。しかしそこにビルスが現れ、取引中止となる。
フリーザが第9宇宙と通じようとしたと疑うビルスウイス

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と、フリーザを庇う。なぜウイスフリーザを庇うのか、後々の展開を理解するための重要なポイントである。
悟空もフリーザを庇う。それが、

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何と悟空は、フリーザが最低最悪な野郎だと忘れちゃうのである。
怒りが収まらないビルスに、悟空は1分間の勝負を申し出る。ただし一発当たれば試合終了。悟空が勝てば、フリーザは仲間として「力の大会」に出場する。
フリーザは地獄で、悟空に勝つイメージトレーニングをしていた。イメトレにより、200%悟空勝つイメージがフリーザには出来上がっていた。
結果は相討ち。ウイス曰く「今の悟空さんと互角」と。
え?互角?

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ブルーの変身解けてんじゃん。
一方フリーザはゴルフリのまま。フリーザは復活して数ヶ月で持久力はともかく、パワーでは悟空を上回り、さらに数ヶ月修業すれば、持久力も改善して完全に悟空以上の実力者になっていた。
そしてミノムシ状態でも強くなることを、フリーザは証明したのである。
悟空はこの後「身勝手の極意」を習得して圧倒的な強さを身に付けるが、そういう予想外な展開でもない限り、破壊のエネルギーを抜け出したのを合わせて、素質レベルでフリーザに遥かに及ばないと思うべきだろう。(この後、悟空は「身勝手の極意」を使えなくなっている。もっとも今度の映画では復活しているようだが、その辺の経緯は興味あるところである)

なお、この後OP、アイキャッチ、EDでブウとフリーザの差し替えが行われる。フリーザのヒールぶりに試聴者は大喜び。もうブウ再登板の声は挙がらないwww
しかし私も「力の大会」では、フリーザの動向をハラハラして見る場面もあったが、一度第7宇宙の選手にエントリーされた以上、第7宇宙を裏切ってもフリーザに特はないのである。

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というのは制作側の意図的なフカシである。しかしアニメでは、フリーザを「いつ裏切るかわからない」キャラとして最後まで演出したが、マンガではフリーザを、もっとも合理的に敵を排除するキャラとして描いている。
マンガでは、悟空はフリーザと勝負したが、詳細はカットされている。また第9宇宙の刺客も登場しなければ、フリーザが悟空に破壊のエネルギーをぶつける場面もない。
また全王の前で、悟空とトッポが戦った際、悟空はトッポに負けている。
これは第7宇宙の戦力不足と、フリーザの必要性を強調するためである。
マンガでは悟空が神々に悪と見なされなかったのも、以前全王の提唱でかくれんぼ大会をした時に、ビルスが隠れたまま寝てしまったことでビルスが神々に恨まれていたという設定が入り、悟空から矛先が逸れてしまったからである。
マンガでは、悟空が悪と見なされる要素はない。
しかしそれだけに、アニメとの違いが強調されるのである。悟空の悪とは、自分の力で制御できないフリーザを仲間にしたことである。

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