坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。サブブログ「人の言うことを聞くべからず」+では古代史、神話中心にやってます。 NOTEでもブログやってます。「坂本晶の『後悔するべからず』 https://note.com/sakamotoakiraxyz他にyoutubeで「坂本晶のチャンネル」やってます。

マンガ

失う時にはしっかり失っておく。それで次に繋がっていく おー一面のひまわり!酔っ払ってねーよ!全然ノンアルコールですわ卒業。このやろーなんでクビだよクビじゃねーんだよまだ5歳だから保育園卒業くらいじゃねどこまで続いてるんですかひまわりはステッ…

戦争と平和を考えるマンガ④〜『キングダム』1.戦争は理不尽なもの

『キングダム』のことをかつて非リアリズム的手法と『春の呪い』の「近親婚的なもの」と「罪の時代」の終わり - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」で述べたが、この作品自体、最初から単なる歴史ものとは違うイメージを、特に最初から前面に打ち出してい…

日本型ファンタジーの誕生(37)~亜人:4 永井圭②

『亜人』は永井圭の物語である。 永井は主人公だから当然だが、ここでそのことを強調するのは特別な意味がある。亜人の存在意義は、「ラザロの復活」と同じである。 人間は不死になれる。問題はそれが「肉体」か「魂」かである。「肉体」の不死を求めたのが…

最近読めなくなったマンガ②

古いマンガがどんどん読めなくなっていく。 その受け取り方に個人差はあっても、マンガの洗練度というものは確かにあると思う。 例えばスピード感である。 マンガのスピード感を格段上げたのは、やはり鳥山明の『ドラゴンボール』だろう。 『ドラゴンボール…

『アラベスク』第二部後編と『妖精王』の以外な共通点

山岸凉子の『アラベスク』は第二部になってからぐんと面白くなる。 第二部の前編はノンナの師ユーリ・ミロノフとそのライバルエドゥアルド・ルキンの対決に大きく焦点が当てられる。男は勝負事が好きで、昔は私も第二部は前編の方が好きだったが、歳をとった…

日本型ファンタジーの誕生(36)~東京喰種:6「空っぽ」でない人間とは?

『東京喰種』は個性的なキャラが数多く登場する。その一方でキャラの多くが「空っぽ」だと言われる。個性的なキャラが「空っぽ」なのである。 あ、間違えてモーガン貼っちゃったwww。 この違和感が今回のテーマだが、今になって『東京喰種』の功績を感じるの…

グレーゾーンを歩いて人間を愛する~『私の少年』

多和田聡子は30歳のOLだが、ある時一人の少年と出会う。その少年は、日が暮れてなお公園でサッカーの練習をしていた。 12歳の少年の名は速見真修。ボブカットの美形の少年は女の子のように見えた。 暗くなったのに家に帰らずサッカーをする真修に異様なもの…

「悟る」ということについて

最近、「悟り」というものがどういうものかというのがようやくわかってきた。 人間には恐怖がある。死の恐怖、破滅の恐怖。そういう様々な恐怖から人間は逃れようとして強い感情とエネルギーを生み出す。そうして障害を排除して安心感を得ようとする。 しか…

日本型ファンタジーの誕生(35)『進撃』:8自己犠牲、そして「宿命」の否定

かつて、自己犠牲の物語は日本にたくさんあったと思う。 「思う」というのは、『ドラゴンボール』のピッコロが俉飯を庇う場面の他一作品でしか、自己犠牲の話を思い出せないからである。自己犠牲の話は大抵感動の物語として語られるが、私は長い間、自己犠牲…

日本型ファンタジーの誕生(34)~男女が結ばれて世界が崩壊する「セカイ系」と「天気の子」の誕生

セカイ系は男女が世界によって引き裂かれていく物語で、その引き裂かれる様をそのまま受け止めるのが本来の姿である。 その引き裂かれた男女が再び結ばれた場合、その世界が崩壊するのはストーリー構成上の必然といっていい。『最終兵器彼女』は2000年代初期…

日本型ファンタジーの誕生(33)『東京喰種』:5~亜門鋼太朗と滝澤政道

亜門鋼太朗のクインケ「ドウジマ」は、死んだ亜門の同僚張間のクインケだった。 張間は女性で、亜門は張間に対し特別な想いがあったようで、そのことを示す描写もある。酔っ払った真戸アキラに抱きつかれて張間のことを思い出したのだが、しかし詳細には描か…

ムスカに強姦される前のシータを取り戻す道~『来世は他人がいい』

いや~表紙に騙された! この表紙を見れば、男がろくでなしだとわかってるけど男が好きで好きでたまらない一途な女を見れると期待したのに、3巻の時点で一ミリも男に惚れていないwww。 そんな恋愛マンガ、いやこれは恋愛マンガなのかと疑問を持たせてくれる…

日本型ファンタジーの誕生(32)~『夢で見たあの子のために』が見せる「近未来像」の姿とは?

『僕だけがいない街』の三部けいの次回作『夢で見たあの子のために』の主人公、中條千里の初登場シーン、決めすぎwww。 いやカッコつけてるんじゃなくて、理由があってのポーズなんだけど、この初登場シーンの印象が悪いせいか、『僕街』と違って、最初はこ…

日本型ファンタジーの誕生(31)~いぬやしき

犬屋敷壱郞は(以下犬屋敷)58歳。58歳でも老人のように見える。小柄でなぜかいつもプルプル震えている。おじいちゃんかわいーwww。 この歳で始めて家を建てたが、その家が人気マンガ家の豪邸の裏で、家は豪邸のために完全に陽が射さない。 子供二人には嫌わ…

最近読めなくなったマンガ①

年を取ると、飽きるのが早くなる。 すると、昔は面白いと思って読めたマンガが読めなくなってくる。 その読めなくなってきたマンガのひとつが『日出処の天子』。書評「日出る処の天子」 - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」を書いた頃には感動できた作品…

日本型ファンタジーの誕生(30)~『亜人』3:下村泉

下村泉は、本名を田井中陽子という。田井中は母の再婚相手の姓である。義父はろくに働きもせず、母親がスナックで働いて生計を立てていた。 高校時代にバイトで100万貯めて家を出て彼氏と暮らすつもりだったが、目標到達を目前にして義父にその金を使い込ま…

日本型ファンタジーの誕生(29)~『東京喰種』4:ドナート・ポルポラは「鬼子母神」

瓜江久生とドナート・ポルポラが戦った時、ネットではドナートの圧倒的な強さに湧いていた。 「フレームアウトして暴走した瓜江の強さはドナートの指一本分」という論調で書いている者が多かったが、私は違和感を持っていた。 最近のマンガは、指一本で敵を…

小池田マヤ『サンドローズ』

家政婦、小田切里が派遣された家は、鬱病の奥さんと認知症の老婆がいる家庭。雇い主は亭主だが、単身赴任で家にはほとんどいない。 認知症の老婆、雇い主の母親は、里を見る度に「アレックス」と呼び、「やっと迎えに来てくれたのね」と言う。 奥さんの真砂…

日本型ファンタジーの誕生(28)~『不思議くんJAM』も日本型ファンタジーだった

かつて小池田マヤ「不思議くんjam」の感想を書いてみた - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」で書いたことの、これは書き直しである。 前の記事ではラブコメだと書いて、それは間違いではないのだが、この作品もまた日本型ファンタジーの初期的作品だとわか…

日本型ファンタジーの誕生(27)~『東京喰種』3:「父殺し」

男性諸君、痛そうにしないwww。『東京喰種』には、「父殺し」の話が溢れている。 「オークション戦」に「睾丸潰し」のナッツクラッカーが登場するのは、「睾丸を潰した者」と戦うことに発破をかけるためである。そしてこの場合は、鈴屋什造に発破をかけてい…

日本型ファンタジーの誕生(26)~『アイアムアヒーロー』4:孤独になって人は自立する。

日本型ファンタジーは、ほとんど同一の型でストーリーが構成されている。日本型ファンタジーには「殻」がある。 『進撃の巨人』の「壁」が最も分りやすいが、次に分りやすいのは『東京喰種』だろう。 『東京喰種』の「殻」が「東京」なのは一目瞭然で、東京…

戦争と平和を考えるマンガ③~『ヴィンランド・サガ』1:『ヴィンランド・サガ』に見る「ラグナロク」

『ヴィンランド・サガ』は話がまだ途中で、おそらくストーリーが中盤か、あるいは序盤から抜けきっていないと思われるため、今書けることはそれほど多くない。 ただ気にかかるのは、史実においてトルフィンはヴィンランドへの入植に失敗している。 『ヴィン…

ドラゴンボールを考える⑫~「身勝手の極意」の正体

『DB超』のマンガ版の「未来トランクス編」も、アニメと同じで、トランクスに「未来を救えなかった」という屈託は感じられない。マイといちゃついてるトランクスを見て、「やーめた」と言う。 と子供マイが言うのに対して子供トランクスが、と繰り返して言う…

日本型ファンタジーの誕生(25)~『僕だけがいない街』3:父殺し

意識が戻った後、藤沼悟は記憶を失っていた。 記憶を失ったのは、悟が冬の沼に飛び込まされた恐怖と、挫折感を表している。 悟は、母親が悟の記憶が甦らなくていいと思っているのを察して、「無理に思い出すことはないんじゃないか」と思う。しかし大人にな…

ドラゴンボールを考える⑪~『ドラゴンボール超ブロリー』は「パパいらない」(ネタバレあり)

鳥山明は基本的に根性論が嫌いである。 そのことは、鳥山の不健全さと健全さを表している。根性論が嫌いなのは、「努力すれば何でもできる」という信仰が、受験競争やスポ根などの個人の適正を欠いた努力に向かわせるからである。 だから鳥山は、本人の適正…

日本型ファンタジーの誕生(23)~『進撃』7:27巻の衝撃

今回『東京喰種』をやる予定だったが、急遽予定を変えて『進撃の巨人』(以下『進撃』)を書くことにする。 『進撃』は今後も段階的に書いていくつもりで、今回の記事は段を抜かしたものになる。それでなお『進撃』を書くのは、27巻の衝撃からである。 27巻…

日本型ファンタジーの誕生(22)~『僕だけがいない街』2: 被害者と冤罪者の物語

『僕だけがいない街』(以下『僕街』)で、藤沼悟は殺された母親を発見し、既に死体となった母親を介抱しようとするが母親が生き返ることはなく、悟が再上映(リバイバル)と呼ぶ時間の巻き戻しが起こる。 再上映の後、悟は犯人を追うことで犯人の罠に嵌まり…

日本型ファンタジーの誕生(21)~高野苺『orange』: 須和弘人はハイエナ

『orange』はウイキペディアで内容を読んで気になって映画を観たが腑に落ちず、マンガを読んだ。ウイキペディアは説明は充分かもしれないが頭の中に入ってこない。 映画について言えば、ヒロイン役の土屋太鳳は演技力はあるのかもしれないが「かける!」と呼…

日本型ファンタジーの誕生⑳~二人だけの世界を描き、ラストを描けないラブコメ

2年ほど前、週間少年サンデーのラブコメの紹介記事がいくつかはてなのランキングに載ることがあって、ラブコメブームのようになっていた。 私もその流れに沿って少し読んでみたが、年齢的にラブコメが受け付けないことがわかって、継続的には読んでいない。…

日本型ファンタジーの誕生⑲~『アイアムアヒーロー』3:「クルス」と「巣」の意味

『アイアムアヒーロー』では「クルス」と呼ばれる人々が登場する。 「クルス」は元々固有名詞だったが、「クルス」と同種のキャラが多数登場することで、特定の人々を指す言葉になった。 「クルス」は大抵ブリーフ一枚の姿で、超人的な身体能力を持つ。 「ク…