坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。サブブログ「人の言うことを聞くべからず」+では古代史、神話中心にやってます。 NOTEでもブログやってます。「坂本晶の『後悔するべからず』 https://note.com/sakamotoakiraxyz他にyoutubeで「坂本晶のチャンネル」やってます。

歴史

信長の戦い⑥〜信長は政治的な人間。

永禄12年、信長は「殿中掟」を足利義昭に提出したが、その中に「将軍は奉行衆に意見を尋ねたなら、その意見に対して可否の命令をしない事」というのがある。 従来、将軍は奉行衆の意見に口入しないのが不文律になっていた。 不文律というより将軍の心得とい…

戦争と平和を考えるマンガ④〜『キングダム』1.戦争は理不尽なもの

『キングダム』のことをかつて非リアリズム的手法と『春の呪い』の「近親婚的なもの」と「罪の時代」の終わり - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」で述べたが、この作品自体、最初から単なる歴史ものとは違うイメージを、特に最初から前面に打ち出してい…

困っていて、見捨てられようとしている人を助けよう

日本は宝の山 - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」で「爆弾」作戦を実行したことと世界に派遣の権利を認めない日本企業を格付けするように呼びかけた。 日本人の大半が、この国では多くの不正が行われている、それも汚職などではなく、あからさまな実害…

かつての戦争についての雑感

少し前まで、「ルーズベルトは狂人」という内容の広告をネットでよく見かけていた。 なぜそのように言われるのかについては知らない。私が知っているのは、フランクリン・ルーズベルトはセオドア・ルーズベルトと同じルーズベルト一門であり、セオドア・ルー…

「悟る」ということについて

最近、「悟り」というものがどういうものかというのがようやくわかってきた。 人間には恐怖がある。死の恐怖、破滅の恐怖。そういう様々な恐怖から人間は逃れようとして強い感情とエネルギーを生み出す。そうして障害を排除して安心感を得ようとする。 しか…

「底抜けの善人」ほど悪い奴はいない

ロベスピエールはフランスでも決して評判が良くない。 その理由は恐怖政治により、多くの人がギロチンで処刑されたからだが、アメリカ独立革命と違い、フランス革命ではこの大量処刑は必要なことだった。「代表なくして課税なし」を革命の根拠にできた新天地…

日本の二元論

ユーラシア大陸の中央アジアより西の地域では、多神教→二元論→一神教という流れで推移している。 多神教の目的は人間を不条理に従わせることにある。不条理に従わせるのが目的だから、道徳は原則説かれない。 世の中は道徳で動いているのではない。不条理に…

「勝頼病」

きょう今年一番にすばらしい電話があって、ほんとうにありがとう、と思った。頼りにならない大人は多いかもだし、人生に悲しいことはたくさんあるかもしれないけれど、あなたたち子どもの人生はまだ展望もあるし、大切なひとはたくさんこれからもできてくる…

ディートリヒ・ボンヘッファーとガンジー

トルストイの小説は、読んだことがない。 トルストイは無抵抗主義の元祖で、ガンジーなどに影響を与えたことで知られているが、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』のアリョーシャはトルストイの無抵抗主義に通じるものがある。ところが我々は、トルス…

信長の戦い⑤~美濃攻め

美濃攻めは、従来は墨俣の一夜城によって勝敗が決したというのが定説になっていた。しかし2000年代の研究者達によって、この定説は打ち砕かれた。 それでは美濃攻めの勝敗は何によって決まったのか? 斎藤義龍は斎藤道三の実子でなく、土岐頼芸の子だという…

漢の高祖劉邦は「巨大な共依存の加害者」

漢の高祖劉邦は、『史記』を真面目に読めば馬鹿そのものである。 いわく洛陽を都にしようとして、「漢は武によって成立した国なので、関中に都を置いた方が良い」と進言を受けその通りにする。楚漢戦争で関中の重要さなど知り尽くしただろうに。 いわく宮殿…

幕末の群像①~対外戦争で革命を起こそうとした高杉晋作

このブログで、今まで触れることはなかったがかつて私は、司馬遼太郎のファンだった。 今はそれほどでもない。『国盗り物語』や『竜馬がゆく』、『功名が辻』などは娯楽過ぎて読む気になれないし、『峠』などは本当に言うべきことが臥せられている気がする。…

信長の戦い④~長篠

次は美濃攻めを書く予定だったが、先に長篠の戦いを書くことにする。背景として、武田信玄が死んで足利義昭を追放したこの頃の信長だが、その勢力の伸長は一進一退を続けている。 1573年に浅井、朝倉を滅ぼしたが、旧朝倉領の越前は一向一揆が起こり、加賀と…

保守とは何か~アメリカの奴隷解放宣言から考える

保守とは何かを考えてみようと思う。 保守の定義として一般的なのは、「伝統、慣習を重視する立場、傾向、思想」とされるが、伝統、慣習が今ほど壊れている時代はない。 伝統、慣習の危機は昔から言われてきたが、今は伝統、慣習に対する尊敬が全くないので…

信長の戦い③~桶狭間

太田満明著『桶狭間の真実』で、太田は従来の今川軍25000、織田軍2000という説を否定している。 25000というのは100万石の全軍だが、今川義元が国を空にして遠征をするはずがなく、また駿遠三の三国では100万石もないとして、桶狭間での今川軍を一万としてい…

ハイデガーとキリストと夜神ライトと

私は哲学を学んだことがない。 だからハイデガーの『存在と時間』と時間について、哲学的に考えて論じることはできない。 もっとも思想自体は新書で学んだ。もっとも解釈が別れるケースもあるようだが、ここでは一般的な解釈で語ろう。 つまり、人間は生まれ…

信長の戦い②~うつけの正体

信長の父の信秀の代に、織田家は三河の安城城、大垣城に進出していた。しかし安城城は今川の手に渡り、大垣城も信長が家督を継いだ年に斎藤氏に戻った。 こうして、信長の勢力は尾張国内に限定され、信長の戦争もほとんどが尾張国内で行われる。家督を継いだ…

信長の戦い①~道三は信長の「本気」を見た

『名将言行録』にあるエピソード。 信長が濃姫を娶った後、濃姫が眠っているのを見て、ひそかに起きて外に出、明け方になって帰ってくることが一ヶ月ほど続いた。 濃姫は信長が浮気をしていると思って信長を問い詰めたが、信長は話をはぐらかす。 そこでさら…

第二次世界大戦とチャーチル

第二次大戦の連合国のリーダーであるチャーチルは、アメリカが参戦するまでの苦しい期間、地中海作戦によって逆境を凌いでいた。 開戦まもなくフランスを占領し、イギリスを空爆、スカンジナビア、さらにソ連と戦線を拡大していくナチス・ドイツ相手に、チャ…

ロシア遠征からナポレオンを見る

1812年、ナポレオンはロシア遠征を起こした。 ナポレオンが集めた大陸軍は691500人。歴史上、これだけの規模の軍勢を集めた例は他にない。 ロシアに進攻した大陸軍は、一路モスクワを目指す。 途中、戦闘はほとんど行われなかった。 8月に入って、両軍はよ…

ケネディ神話の実像に迫る

『進撃の巨人を考える』のシリーズを更新しようと思ったが、イギリスのEU離脱であちこち話が盛り上がっているので、国際政治の記事を書くことにした。 しかし今まで国際政治の記事を書いていないので、下準備ができていない。そこで今回はイギリスともEUとも…