坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。サブブログ「人の言うことを聞くべからず」+では古代史、神話中心にやってます。 NOTEでもブログやってます。「坂本晶の『後悔するべからず』 https://note.com/sakamotoakiraxyz他にyoutubeで「坂本晶のチャンネル」やってます。

コロナ対策は安倍政権からの国民への「非承認」

緊急事態宣言が解除された。
緊急事態宣言発令以来、政府は自粛の要請のみに留め期待されていた補償はなされずに終わった。
補償のみではなく、安倍政権のコロナ対策は散々に批判された。
それでいて5月になって、安倍政権の支持率は急回復した。いつものお決まりの展開である。もっとも検察庁法改正案によって支持率が急落したが、今国会での成立を断念したことでまた支持率は上がるだろう。
しかし今回の支持率回復には明らかに異なる点がある。それは景気である。
安倍政権が支持率を回復する理由として、「景気が悪くないから」という説明は、これまで幾度もされてきた。しかし今回はこれが当てはまらない。今回の支持率回復により、安倍政権の支持率と景気は無関係だと証明された。
安倍政権の支持率回復は、コロナ対策で無能を装ったことによる。国民は安倍政権に、コロナ対策で優れた指導力を発揮することなど望んでいなかったのである。

景気の悪化により、倒産、失業が増えた。
景気の悪化は社会不安を増大させる。それなのに安倍政権の景気対策は、10万円の現金給付を含めて不十分なものだった。
れいわ新選組など100兆円の補償及び経済対策を唱えていたが、規模は27兆円程度。

橋下氏の強烈な一手に対する、れいわの対抗策とは? - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

で、「日本が一番金がかからない結果になる」と述べたが、どうやら本当にそうなりそうである。

いや、この時にはもっと出ると私も思っていたのである。
何故なら昨年の10月から12月まででの経済がマイナス成長だという発表があった。
安倍政権が、GDPを水増しして発表しているというのは今までよく指摘されていた。
それが「自主的」にマイナス成長を発表したのである。維新が「休業と補償」をセットにすべきだと主張して一大ムーブメントになっていたので、安倍政権も最終的には渋々補償を認めるというシナリオを描いているのではないか、と私は考えていたのである。しかしそうはならなかった。

なぜそうなったのかについて、今私は答えを持っている。
れいわは安倍政権の対応を散々批判していた。
ネットカフェの休業を小池都知事が要請した時。ネットカフェ難民厚労省の伝達により、住居を失った者の入る施設に入れられそうになった。布団一枚敷くのが精一杯の部屋や何人もの人が雑魚寝するような施設で、クラスターになるのが一目瞭然な所である。
れいわの山本太郎ツイッターでそのことを知らせていた。区議会議員が役所と交渉して、ネットカフェ難民がビジネスホテルを利用できるようになったりする一幕もあった。
なぜ安倍政権はそのようなことをするのか?
答えは簡単である。「不当に権利が侵害されているのを認める者は、不当に権利を侵害される」と安倍政権は教えているのである。

日本社会は集団合意により、どんな不当な人権侵害が行われていてもそれを「みんな知らなかった」ことにして隠蔽することが可能である。
そのからくりは、日本のヒエラルキー構造による。下部カーストで行われた不正を上部カーストが「承認」することで下部カーストの行為が正当化される。こうして日本社会は、表向きは秩序立って見せることが可能になっている。そして「承認」された者達は、自分達の人生が間違っていないと思い、夢を信じたり、自分の信念を人に説いたりできるようになる。
しかしこの構造は、日本人が規範を根本的に持てないこともまた示している。
そして安倍政権は、機会ある度にそういう者達に「非承認」を与えているのである。
山本は去年の豪雨災害の被災者で未だに仮設住宅に住んでいる者がいると言っている。東日本大震災でも、何年も仮設住宅暮らしをしているという話を聞いたこともある。今でも仮設住宅で暮らしている東日本大震災の被災者もいるのかもしれない。
日本人の自己肯定感の無さは、「承認」されないと自分に自信が持てないことにある。あくまで自信の根拠が自分の中になく、他者にあることである。
他者に「承認」されず、「世の中間違っている!」となるかといえばそうはならない。
そんなことはない。と思う人は間違っている。それは口先だけ、つまり建前である。
建前か本心かを見抜く判断のポイントは、安倍政権をどれだけ批判するかである。安倍政権を全否定するような発言をするほど、それは建前なのである。
安倍政権批判は一見真っ当である。それなのになぜ批判により一致団結できずに安倍政権が続いていくのかといえば、批判者が口で言うほどには真っ当なことをしていないからである。
コロナによる倒産も不当。休業も解雇も不当。なのになぜ安倍政権が倒れるまで声を挙げないかといえば、自分達が真っ当な生き方をしていないから、最終的に安倍政権の「承認」を求めるのである。
そして「承認」を得られない場合、原則日本人は無力である。だから口先だけ批判して、「安倍政権が倒れるかも」と思ったらこっそりと安倍政権を支持する。それが繰り返される。つまり日本人はみんな奴隷なのである。
世の中に権利が認められる者と認められない者があり、それが何者かの任意によって決められると思うこと自体が即奴隷となる道なのである。
ならば派遣のネットカフェ難民はどうかといえば、自業自得だと私は思っている。
派遣社員だって、自分の権利を主張すれば住居を失わずに住んだ者が大勢いたはずである。それをしなかった者の中にネットカフェ難民になっている者がいるだけである。
権利を主張しない者が他者の権利のために戦うことなど絶対にない。だから私は派遣に対しては冷たい目で見ている。しかし本当は手を組みたいのである。手を差し伸べても手を取らないから、私は彼らを冷たい目で見ているのである。
そうしてネットカフェを追い出された者達が、コロナに感染しそうな施設に入れられそうになる。
そんなことをすれば感染拡大することなど、政府は分かりきっている。誰かがビジネスホテルに泊まれるように交渉するのを折り込んでそのようにしているのである。
麻生財相がかつて年金の問題を取り上げて、低所得者に対し「いつまで生きるつもりか」と言ったことがあるという。
私でもそう言う。彼らは生きるために戦っていないから。
安倍政権は、生きるために本気で戦わない者に「非承認」を突き付け続けているのである。

緊急事態宣言で休業要請されても、補償が無いのなら仕事をすればいいのである。それをバカのひとつ覚えで倒産するまで休業するのは、自分達の権利が他者から与えられるものだと思っているからである。
だから安倍政権はわざわざマイナス成長のデータまで出して休業補償の期待をさせ、見事に裏切ってみせたのである。
アベノマスクもそう。いくらなんでも普通に発注すればカビの生えたマスクなん届かないってwww。
あれはジャブ程度だけど、国民への「非承認」の表れなんだって。

これから夏場に入り、コロナの感染の危険が大幅に現象するのがわかってきた。
今後安倍政権がどうするのかについて、経済が冷え込んだこと、秋以降再びコロナの感染が拡大すること、それに対する治療法の改善などを考えて、大幅な景気刺激策を採る可能性、休業補償についても今後なされる可能性などを幅広く検討してみた。そこで、

 

これに目をつけた。次の補正予算は10兆円である。これはれいわが安倍政権に目をつけられてんじゃない?
れいわが要求し、安倍政権がそれを裏切る。その繰り返しによって「なんちゃっていい人団体」のれいわに「非承認」を与え続けることでれいわの弱体化を狙っているのではないかと思う。
その理由はれいわが安倍政権にとって危険だからでなく、安倍政権がれいわに貧困を解決する能力がないと見ているからである。貧困の原因が派遣にあると正しく見ているのは安倍政権だけである。

検察庁法改正についてだが、カルロス・ゴーン逃亡事件に絡めて問題を語る者はほとんどいなかった。たまにいればあさっての方向に行ってるものばかり。
賛成、または賛成でなくても司法制度の問題に絡めて語った者もゴーン事件に触れることはなかった。半年も経っていないゴーン事件を語れなくなっているところに、問題の深刻さがある。
安倍政権は今回採決を見送ったが、私はあの法案でいいと思っている。
検察庁法改正案は、検察官の定年延長、検事総長の役職定年延長の案件であり、司法制度改革に関係するものではない。少なくともそのように説明されている。また安倍首相が司法制度改革について述べたのを私は知らない。
司法制度改革なら、検察をチェックする機関を設置すればいい。そういう趣旨で法案を作ればいいのだが、このような法案が機能しないのはやる前からわかってしまう。
今までも人質司法の問題は弁護士を中心に取り上げられてきたが、司法制度改革は少しも進まなかった。
検察による勾留延長の問題も、裁判で取り上げて解決できたことである。容疑者が逃げたり証拠隠滅したりする余地などほとんどないのだから。
だから司法制度改革は、ほぼ全ての国民が冤罪を望んでおり、そのために司法制度改革をしたくないのだと判断するしかない。そして国民が望まない制度は、どんなに精緻に法律を作っても機能しないのである。
ならば単純に、行政が検察への影響力を強める法律にした方がいい。
しかし政治家の汚職などはどう追及すればいいかと言うだろう。ならば言おう。森友事件で汚職を望んだのは国民の方だろう?
もっとも安倍政権が検察の暴走に歯止めをかける意図があるかという問題もある。
安倍政権を信じるかどうかは、宗教を信じるかどうかに似ている。私は宗教を信じるように、安倍政権を信じるつもりである。

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