坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。サブブログ「人の言うことを聞くべからず」+では古代史、神話中心にやってます。 NOTEでもブログやってます。「坂本晶の『後悔するべからず』 https://note.com/sakamotoakiraxyz他にyoutubeで「坂本晶のチャンネル」やってます。

新「脱亜入欧」論

natgeo.nikkeibp.co.jp

この記事は今では会員登録しないと全文を読めなくなったが、内容は興味深かった。
一見文章の長さの割には中味が薄く感じられるが、行間を読むようにして読めばその深みが分かる。政府は国民としっかりコミュニケーションを取り、信用できる情報を流し、何より政治利用しないことである。アメリカを見れば、やはりトランプ大統領でコロナの冬を乗り切るのは厳しいと思う。
春に話題になった自粛警察も、政府が止めるように働きかければ、よりストレスを少なくして冬を過ごすことができる。この記事を見て、そんなことを思った。

中国が香港への圧力を強めていく中で、台湾がどのような動きをしているかについてまとめたのがこの記事である。

gendai.ismedia.jp

台湾が国際的に中国とは別の国家として認められるべきだと私は思っているが、台湾自体はそのような動きはしていない。台湾が独立すれば中国が黙っていないからだろう。
台湾の外交はとにかく欧米寄り、そして日本寄りである。外交の内容も正式な国家でないため、フランスから兵器を購入する以外は経済のことばかりである。
しかし台湾の外交は、日本の取るべき道に大きな示唆を与える。
日本は独立国家として正式に認められているので、憲法の問題を除けば軍事面で外交を進めるのに問題はない。
各国との経済関係を深化させるのは、必要なのは一応理解できても、私のような素人にはかゆいところに手が届かないような印象がある。欧州との関係は、どこまで進んでも軍事的な関係に発展することはなく、極東のパワーゲームに直接に影響することはない。
しかしそれでも、日本がどの方向に進みたいのかを示すことは重要である。
台湾の外交は、明治以来の日本の「脱亜入欧」の路線と大きく重なるものである。つまり日本が海洋に進出しようとする中国を牽制する最良の道は「脱亜入欧」路線なのである。

この点で、最近の日本は方向性を明確に打ち出せずにいる。
日本では近年右翼が増加し、経済政策でもケインズ主義による主張が盛んである。左派ではれいわ新選組がそうで、れいわの政策は非常に鎖国的である。
そして右翼を中心に、尖閣諸島の防衛について盛んに論じられている。
尖閣諸島も日本の生命線であるシーレーンの維持には不可欠である。
ならば右翼がシーレーンの維持に関心を持っているのかというとそうではない。
彼らの関心は尖閣諸島止まりで、尖閣防衛論をもってシーレーン維持に偽装しているのである。れいわに至っては国土防衛の発想すらない。
経済思想と外交、安全保障の視野は大きくリンクしており、ケインズ主義的、鎖国的な経済思想になると本土防衛以上の発想をしなくなってしまう。
中国の海洋進出を阻むには東南アジア諸国をどれだけこちらの陣営につけられるかが重要だが、極東の日本と韓国が軍事関係を深めただけで東南アジア諸国を味方につけるのは難しい。しかしオーストラリア、ニュージーランドと同盟を結べれば、東南アジア諸国が中国の傘下に入るのを切り崩すことができる。そのためには欧米との経済関係をより深化させることが重要なのである。

『東京喰種』と『テラフォーマーズ』という、同時期に同じ雑誌で連載された二つの作品は、日本人の行くべき道に大きな示唆を与えている。
『東京喰種』の主人公カネキが結成した「黒山羊」は「あんていく」のメンバーと「アオギリの樹」の残党が合流してできた組織である。
アオギリの樹」は自衛隊の諜報期間青桐グループから名前を取ったもので、要するに右翼を指す。そして「アオギリの樹」は設立者のエト、王としての有馬貴将、参謀のタタラのトロイカ体制だが、実際に組織を動かすタタラは中国系喰種である。

日本型ファンタジーの誕生(26)~『アイアムアヒーロー』4:孤独になって人は自立する。 - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

で殻と中心の話をしたが、『テラフォーマーズ』の場合、殻は火星であり、中心は不時着したアネックス一号である。そしてアネックス一号には中国の第4班が待ち構えている。
右翼は変革の重要な要素だが、そのままでは中国と同じになると、この二つの作品は示しているのである。

ここで、中国の覇権を押さえきれずに日本が中国の傘下に入ってしまったと仮定して考えてみるのもいいだろう。
傘下に入ったからといって、体制を大きく変換させられることはないが、中国の影響は受ける。覇権国は思想を支配するか、支配しなくても思想的な優越感を持つものだが、中国が覇権国になれば、初めて思想を支配できず、思想的な優越感を持てない覇権国となるだろう。その場合、中国は「不機嫌な覇権国」となる。その場合日本に対して最も厳しい対応をとることになるだろう。
この仮想はモンゴル帝国を想像すればわかりやすいかもしれない。モンゴルが支配した文明国に劣等感を持っていたか否かは劣等感をどう定義するかによるがモンゴルが南宋の人民を「南人」として最下位に置いたのはモンゴルの思想的な優越感に貢献したのは間違いない。
そして中国が日本に不機嫌な対応をとるなら、日本も中国に対して反発することができる。しかし日本の右傾化が進んで中国と同質になれば、中国はむしろ日本に寛容な姿勢をとればよくなる。それで日本が中国に親近感を持つと思われてしまうからである。そうなれば日本でも口先ではともかく、内心では次第に反抗の牙を抜かれていくことになる。

どのような経済体制を作るか、どの国と同盟を結ぶか、そして我々がどう生きたいかは究極的にひとつになる。
AI化により人間が働かなくてもいい時代が見えてきた現代において、日本人はより幸福になれる社会を目指すべきである。そのために国際競争力を高め、欧米との関係を深めて中国の覇権を阻むのが新しい「脱亜入欧」である。

しかし

東京は単純にコロナ予防に失敗している - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

都知事選後に小池都知事が感染対策を本格的にやると言ったけど、小池さん行政能力低っ!!
「夜の街に行くな」とか「県外への移動を自粛しろ」ということばかりで他に打つ手が無いのが丸わかり。
仕方がないから政府は緊急事態宣言を出して外出自粛を要請できるようにするしか無いのだが、下手に批判すると政府が秋に衆院を解散しようとしているのを見越して、わざと外出自粛の解除の時期を早めて感染を拡大させて衆院を解散できなくしかねない。豊洲移転の時も大騒ぎのうえに空回りだったことを考えると小池さんならやりかねないよねwww。
それでも8月終わりまでに感染者数を1日平均20人以下にしてくれれば平穏に秋を迎えられると思うけど、今度は秋の小池百合子発コロナ第2波を警戒しなきゃならなくなってきたwww。

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