坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。サブブログ「人の言うことを聞くべからず」+では古代史、神話中心にやってます。 NOTEでもブログやってます。「坂本晶の『後悔するべからず』 https://note.com/sakamotoakiraxyz他にyoutubeで「坂本晶のチャンネル」やってます。

沖縄をリベラルの中心に

立憲民主党日米安保を容認し、日米地位協定の改善を求めるように方針転換したことで、立憲は実質個別的自衛権を放棄した。
この点について、立憲が個別的自衛権について何か説明したということは知る限りないが、私から見れば個別的自衛権を放棄したと理解するしかない。個別、集団的自衛権の両方を認めては憲法九条の意味がない。
立憲がこのように方針転換したのは、沖縄米軍基地問題について従来の日米安保違憲とする主張よりも、合憲とした上で地位協定の改善を目指した方が現実的だからである。
現実的だからといって立憲が本腰を入れて地位協定の改善に邁進するとは思えないが、もうひとつ重要な点を指摘すれば、沖縄米軍基地の県外移転については立憲は考慮していないということである。むしろ県外移転論を封じるために地位協定の改善を唱えたと見るべきである。

立憲の集団的自衛権の容認により、自民との憲法についての見解の違いが解消され、日本の二元構造は崩壊した。
立憲はこの失敗に後々気づくことだろう。既に護憲や政治的スタンスを表明しない隠れ護憲派のリベラルは、ツイッターのフォロワー数を減らし始めている。つまり護憲派はその裾野を失いつつある。二元構造の崩壊により一元化され、自らのスタンスを保つための理論武装のハードルが上がったのである。
この状況に対応できない者は支持者を減らしていく。もっとも理論武装の強化が唯一の解決策ではなく、安易なポピュリズムの方向に向かう者も現れ、それらがリベラルを破壊していく。
立憲も自らの装飾であったリベラルが足元から壊されていき、自民との違いを見出だせなくなりアイデンティティを失うことになる。

それでも立憲が地位協定の改善を唱えたことで、沖縄米軍基地問題で立憲が抱える弱点は克服されている。沖縄では普天間から辺野古へという県内移転で賛否が別れている程度の問題でしかないが、沖縄米軍基地問題は本土の人間が議論の俎上に乗せたくない問題を下火にする効果はある。

私は派遣社員労働組合を結成して、派遣社員に正しく法が適用されていない現状を改善するべきだと思っているが、問題は派遣社員を支持層にしようという政党が存在しないことである。
あったと思えばれいわ新選組のように、派遣への不当な扱いを隠蔽するために貧困層から寄付を集めて共犯者に仕立て上げようとする悪質な政党しかない。
もし派遣社員労働組合を結成し、全国的な運動を起こしても、そのエネルギーを吸い上げる政党がないと派遣社員の運動は空中分解してしまう。

沖縄米軍基地問題とは、普天間から辺野古への移転の問題が全てではない。沖縄米軍基地の最大の問題は、東洋最大の米軍基地である嘉手納飛行場である。

嘉手納町の面積の82%が嘉手納飛行場や嘉手納弾薬庫地区に占有されており、現在、嘉手納町の住民は残り18%の住居区に暮らす。県道74号沿いに「道の駅かでな」通称「安保の見える丘」があり、滑走路の北東側や戦闘機の駐機場周辺を見ることができる。嘉手納の歴史を紹介する常設展示もある。

 

東京都品川区にほぼ匹敵する面積(東京ドーム約420個分)を、沖縄本島中部に占めている。

 

嘉手納飛行場が占める面積のうち、9割以上が私有地である。沖縄戦の占領以降も土地の強制接収で拡大し、地主数も11,450人になる。このため年間239億円を超える賃借料が、日本の税金で土地所有者に支払われている。

 

嘉手納飛行場 - Wikipedia

ここにある情報はまだ不足している。日本の米軍基地は7割が沖縄に集中しているが、その沖縄米軍基地の6~7割を嘉手納基地が占めている。沖縄米軍基地問題の中核は嘉手納飛行場である。
嘉手納基地は、移転すべきという点では全く問題にされていない。嘉手納基地問題こそ完全に問題に蓋をされている。
立憲が地位協定の改善を述べたことで沖縄県民の不満は下がったが、また沖縄県民にとっては不満のレベルを上げていいということになる。

ここから私の主張をまとめていこう。
派遣社員の組合運動を全国展開しても、派遣の主張を吸収する政党がなければ空中分解する。派遣のための政党を作るためには、立憲とは違う良識あるリベラルを味方につける必要があり、この点立憲のリベラルの裾野が崩壊している現状は中長期的にはチャンスである。
そして沖縄米軍基地問題に嘉手納基地の県外移転論が加われば、立憲は再び沖縄米軍基地問題で窮地に立ち、立憲のリベラルの裾野の崩壊に拍車がかかり、派遣の組合運動+良識的なリベラルの連合の力が強くなる。そうなれば政党の形成も不可能ではない。
つまり嘉手納基地問題に火をつけ、それを派遣社員と良識的なリベラルが支持すれば沖縄が日本のリベラルの中心になり、政党の結成が可能になるのである。

はたしてこれらが可能かどうかという点では、疑問をもつ読者も多いだろう。
沖縄は田舎であり、離島問題を含め差別の強いところである。リベラルな運動を起こしやすいのが都会だと考えれば、沖縄はこの条件に当てはまらない。
また普天間移転問題も、本来沖縄に負担がかかり過ぎている米軍基地問題を県外移転によって均等化するべきこととして論じるべきところを、普天間辺野古かの二択に矮小化して本当の問題から目を背けた沖縄県民のプライドの低さも問題である。派遣社員にしろリベラルにしろ、嘉手納基地の県外移転にどれだけ賛同できるかというのは未知数である。
しかし良識的なリベラルでも派遣の問題を公に語れない現状では、派遣とリベラルが直接手を組むのは難しい。派遣の問題が放置されれば、MMT派が勢いを得て終身雇用が固定化され、経済とリベラルは衰退するだろう。

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