坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。サブブログ「人の言うことを聞くべからず」+では古代史、神話中心にやってます。 NOTEでもブログやってます。「坂本晶の『後悔するべからず』 https://note.com/sakamotoakiraxyz他にyoutubeで「坂本晶のチャンネル」やってます。

生活保護申請者は扶養紹介で裁判して生活困窮者のためのベーシックインカムを実現しよう

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まあ言ってることは間違いじゃないんだけど、なんで扶養紹介が義務じゃないのかはもっと掘り下げた方がいいね。生活保護法第四条第二項。

民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。

 

とあり、これが役所が扶養紹介を要求する根拠である。民法第八百七十七条。

直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

 

次に生活保護法第二条。

すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。

 

とあり、「この法律」には民法も含まれる。
しかし民法には義務違反に対する罰則がない。当然のことで、民法は民事事件の解決のための法律で、罰則があるわけがない。罰則がないのは実質義務ではない。
生活保護法には罰則がある。しかし調査権がないのである。労働者派遣法第五十一条。

厚生労働大臣は、この法律を施行するために必要な限度において、所属の職員に、労働者派遣事業を行う事業主及び当該事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者の事業所その他の施設に立ち入り、関係者に質問させ、又は帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

 

この権力は警察の権力とは違い、帳簿や書類の検査は強制だが、書類を押収したりはしない。そういう場合は「犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。」とただし書きがつく。
生活保護法にはこのような条文がない。だから調査権がないのである。

調査権がないからといって、扶養紹介をしてはいけないという法律がない。個人情報保護法第三条。

個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。

 

こう見ると扶養紹介が個人情報保護法違反であるかのようだが、実は個人情報保護法は、扶養紹介については巧みにすり抜けているのである。個人情報保護法第二条第三項。

この法律において「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいう。

 

「偏見、差別その他の不利益」が生じても、政令で定めない限り要配慮個人情報にならない。
共産党公明党生活保護申請者に同行して、生活困窮者のために働いているように見える。しかしなぜこんなことを繰り返すのかを考えてみればいい。
役所が権限のない扶養紹介を繰り返すのは、親族の扶養の有無が要配慮個人情報でないからである。個人情報保護法第二条第三項と第三条をみれば、理念的には個人の親族との関係は重要な個人情報である。それが政令になっていないだけで個人情報保護法が適用されていないのである。
そして民法生活保護法に優先しても、個人情報保護法に優先する訳ではないのだから、扶養紹介は「理念的に要配慮個人情報に当たる」として裁判をすればいいのである。扶養紹介の要求を撤回させた例が山ほどあるなら裁判で勝つことも可能である。
しかし生活保護者に裁判する余力などあるはずがない。その点は政党助成金を使って生活困窮者に生活費を支給すればいい。もっとも政党助成金を直接生活困窮者に渡すことはできないだろうが、法の抜け穴くらいあるだろう。
裁判で勝てば、民法の親族の扶養義務がそのままになっているのは片手落ちである。
政党が生活困窮者のために駆け回るのは、民法をそのままにして生活困窮者に真の権利に目覚めさせないためである。
判例がいくつもできれば、それが判例法として立法化される契機になる。だから政党も生活困窮者のために裁判してみてはどうか?それでうまく立法化されれば、生活困窮者限定のベーシックインカムが実現することになる。

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