坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。サブブログ「人の言うことを聞くべからず」+では古代史、神話中心にやってます。 NOTEでもブログやってます。「坂本晶の『後悔するべからず』 https://note.com/sakamotoakiraxyz他にyoutubeで「坂本晶のチャンネル」やってます。

カルロス・ゴーン事件から見える日本の現実

次第に日本で隠蔽されていたことが明らかになってきている。
数年前に消費税の増税が決まった時法人税も減税した。旧民進党は「安倍政権は低所得者に厳しく企業に甘い」と批判したが、実は法人税は赤字なら課税を免除されるのである。
安倍政権が消費税の増税法人税の減税を取引にしたのは確かだが、会計上赤字にするのは簡単なので、法人税減税にはほとんど意味がないのである。だから法人税は赤字でも課税すべきだという意見もある。赤字で法人税を取られて潰れる企業は「ゾンビ企業」だから潰した方がいいというのである。
一理ある。年々国際競争力が下がっていく中で、「ゾンビ企業」を生かしておくべきだとは私も思わない。日本くらい失業率の低い国なら「ゾンビ企業」を潰して競争力のある企業がそのシェアを埋めるようにした方がいい。

こうなると所得税はどうするのかと思いがちだが、所得税増税、または累進課税にはそれほど意味はない。なぜなら資産家は資産を金銭で得ることはほとんどなく、金融資産から得ているからである。金融資産には課税されていないから資産課税するべきだという意見もある。

ここでカルロス・ゴーン事件を思い出してみよう。ゴーン氏の罪状は複数あったと思うが、そのひとつは特別背任罪である。
特別背任罪はどの法律にあるだろうか?
答えは会社法である。会社法960条。

次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 

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要はゴーン氏は2010年までははっきりはしないものの年間約20億円の報酬をもらっていたが、一億円以上の役員報酬は公開することになったため、ゴーン氏の報酬を他の役員に合わせることにした。その代わり退任後にゴーン氏は相談役に就任し、減額した報酬を相談役として受け取ることにした。理由はゴーン氏が報酬の全容を公開したくなかったからである。

ここでこの時期話題に上りやすい所得税の話をしよう。

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脱税が罪となるのは、税金の支払いを不正に免れようとする意思(故意)が必要です。

 

つまりほとんど証拠は自白である。ゴーン氏の場合と同じ。
税務署の調査は犯罪捜査のためではないことがほとんどなので、特別背任罪容疑のように検察官に延々と自白を強要されるようなことはない。しかしゴーン氏の件と本質的には変わらないといえる。違いは脱税が納税を逃れる意志があることと、ゴーン氏のケースが自己の利益のために任務に背いて会社に財産上の損害を与えたかどうかである。
そのため日産の粉飾決算と絡めて語られ、10億円の金が中東のゴーン氏の係累に流れたかのように語られているが、未だに証明されていない。
塙日産元会長とゴーン氏の話を詭弁だろうと語っているがそれも証明されていない。それどころか役員報酬公開前は約20億もらっていたのはほぼ明らかである。
ゴーン氏が報酬の全容を明らかにしたくないのが疑わしいといえるが、だからといってそれが悪意と断定することはできない。
ゴーン氏が日本を逃亡する前に公判の日時が決定することはなかった。つまり検察が起訴するだけの証拠がなかったのである。憲法38条3項。

何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

 

ゴーン氏逃亡時、または現在においてもなお、ゴーン氏に自白を強要するのは憲法違反である。

所得税をデジタル化して納税すれば脱税ができなくなるという話がある。
マイナンバーカードと結びつけて何かをしようという時に、個人情報の漏洩を問題として反対する者がいるが、そういう人が守ろうとしているのは脱税をしている人だという疑いを持った方がいい。脱税の罪を免れている人がその疑惑さえかけられないように世論誘導される一方で、ゴーン氏のように特別背任罪で長期勾留される人が逃亡して批判されるのが日本の現実である。そしてその者達が競争力を阻害し、自分達に有利な税制にして日本の税収が上がらないようにしている。

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