坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。サブブログ「人の言うことを聞くべからず」+では古代史、神話中心にやってます。 NOTEでもブログやってます。「坂本晶の『後悔するべからず』 https://note.com/sakamotoakiraxyz他にyoutubeで「坂本晶のチャンネル」やってます。

派遣社員の権利は裁判で勝ち取れ

最高裁から再審申立棄却の文書が届いた。「本件申立てについては、上記対象事件の決定に所論の民訴法338条1項所定の再審事由があるものとは認められない」と理由はこれだけである。
この決定に関わった裁判官は宮崎裕子、戸倉三郎、宇賀克也、林道晴、長嶺安政の五人である。
前回の決定には長嶺氏がいなくて林景一氏がいる。しかもどちらもわざわざ「全員一致」とある。最高裁には「話のわからない者ばかりじゃないよ」と示すくらいの知恵はないのかね。

労働者派遣法第四十条の二の三号

派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、派遣元事業主から三年を超える期間継続して労働者派遣(第一項各号のいずれかに該当するものを除く。以下この項において同じ。)の役務の提供を受けようとするときは、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務に係る労働者派遣の役務の提供が開始された日(この項の規定により派遣可能期間を延長した場合にあつては、当該延長前の派遣可能期間が経過した日)以後当該事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について第一項の規定に抵触することとなる最初の日の一月前の日までの間(次項において「意見聴取期間」という。)に、厚生労働省令で定めるところにより、三年を限り、派遣可能期間を延長することができる。当該延長に係る期間が経過した場合において、これを更に延長しようとするときも、同様とする。

 

従来の労働者派遣法の派遣可能期限を延長できるようにした、2015年の改正条文である。その場合、事業所の労働者の過半数を占める労働組合か、労働者の過半数の代表者が存在しなければならない。それを過半数労働組合等というが、その過半数労働組合等の意見を聞かなければならないことを自称において述べると定めている。
四十条の二の四号。

派遣先は、派遣可能期間を延長しようとするときは、意見聴取期間に、厚生労働省令で定めるところにより、過半数労働組合等(当該派遣先の事業所に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者をいう。次項において同じ。)の意見を聴かなければならない。

 

意見は聴取するが、反対意見があるから延長できないとは書かれていない。
そしてこの条文は派遣社員労働組合に入っているかまたは事業所の労働者の過半数の代表者に賛成した者のみが派遣可能期限を延長できることを意味しない。
しかし私は裁判で民法不法行為を根拠に直接雇用されるべきだと主張している。
裁判所は私の主張を認めていないが、私の主張が認められればどうなるか?
所属していない組合や賛成していない代表者に私権を制限する権限があるはずがない。
ないのである。権利は個人に属するもので、法に基づいて私権を制限できるのは国や地方自治体などである。企業に私権を制限する権利はない。
「ないといっても法律にそう書いてあるじゃないか」と思うだろうか?ならば続きを見てみよう。四十条の五号。

派遣先は、前項の規定により意見を聴かれた過半数労働組合等が異議を述べたときは、当該事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、延長前の派遣可能期間が経過することとなる日の前日までに、当該過半数労働組合等に対し、派遣可能期間の延長の理由その他の厚生労働省令で定める事項について説明しなければならない。

 

異議に対しては延長の理由を説明しなければならないのである。
なぜ説明しなければならないか。
四十条の二の六号。

派遣先は、第四項の規定による意見の聴取及び前項の規定による説明を行うに当たつては、この法律の趣旨にのつとり、誠実にこれらを行うように努めなければならない。

 

労働者派遣法の趣旨に則って誠実に説明責任を企業は果たさなければならないのである。労働者派遣法の趣旨とは何か?第一条。

この法律は、職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)と相まつて労働力の需給の適正な調整を図るため労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置を講ずるとともに、派遣労働者の保護等を図り、もつて派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進に資することを目的とする。

 

派遣労働者の保護等を図り、もつて派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進に資することを目的とする」とあり、派遣社員の保護、雇用の促進その他福祉の増進が目的なのだとわかる。そして「職業安定法と相まつて労働力の需給の適正な調整を図るため労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置を講ずる」とあるので、労働者派遣法は職業安定法と関係がある。「相まって」は関係があることの婉曲な表現と捉えるべきである。職業安定法第四十四条。

何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。

 

第四十五条。

労働組合等が、厚生労働大臣の許可を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる。

 

労働者派遣事業労働組合ではない。労働者派遣は3年以上同一業務に従事できないという原則は変わっていない。例外的な事例が生じて派遣期限を延長せざるを得ない場合、誠実に議論を行って派遣可能期限を延長できるというだけのことである。そのために民法と同じ信義誠実義務まで規程してあるのである。
裁判官が棄却文に何ら理由を付さないのもただバカだからではない。理屈にならない解釈を述べることで、正しい解釈が主流になった時に軌道修正するためである。

それでもこのような間違った判決や決定を行う裁判官は、国民審査で辞めさせていかなければならない。
そして法律に精通しているのは裁判官や弁護士だけではない。
惜しくも司法試験に通らなかった者がいる。
弁護士や司法書士など、一部の資格を持った者が法律事務により報酬を受けられ、資格のない者が法律事務により報酬を得れば非弁行為になる。しかし報酬を得なければ、代理人として裁判することを除けば法律事務の代行は可能である。告訴状を誰かの変わりに書いたり、法律を人に教えたりするのは問題ないのである。

今でも日弁連集団的自衛権違憲としている。

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しかし野党大一党の立憲民主党は公にこそ述べていないが、地位協定の改善を唱えたことで集団的自衛権を認めてしまった。このことにより、護憲と改憲の対立軸が解消され、立憲は集団的自衛権について正確に説明しなければならない日が早晩訪れることになる。
これが護憲と改憲の対立軸の解消の成果である。今は国民みんなが口に蓋をしているので気づかれていないが、国家とは、社会とは、憲法とは、正義とは、幸福とは、人間らしくいきるとはというあらゆる根源的な問題は国民全てに突きつけられているのである。この根源的な問いから半永久的に逃避、隠蔽するシステムが善悪二元の護憲と改憲の対立構造だった。その構造がなくなった今、これらの問いにいずれ答えざるを得なくなる。
立憲が暗に集団的自衛権を容認した以上、日弁連がいつまでも立憲と憲法についての違憲を解離させておくわけにはいかない。それでは司法の権威にならなくなってしまう。
立憲が、そして日弁連が公式に集団的自衛権容認を認める日まで、この二者の権威は徐々に低下し続ける。そしてこの二者が集団的自衛権を認めた時は、二者は権威に対抗する者だったのではなく、また一種の権威で、庶民や弱者の味方でなく、むしろ横暴や不正を行う者であったことが明らかになる。これが二元構造から一元化への流れである。
二者が横暴である以上、その横暴を監視する役割が必要である。それを無報酬で法律事務を代行する者が集まって行えばいい。そして日弁連を批判して印税や原稿料、ブログやYouTubeの広告手数料を受け取っても、それは非弁行為にならないのである。
それができるようになるまで、弁護士の収入を減らすくらいの気で、弁護士でなく法律に精通する人はやっていけばいい。

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