坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。サブブログ「人の言うことを聞くべからず」+では古代史、神話中心にやってます。 NOTEでもブログやってます。「坂本晶の『後悔するべからず』 https://note.com/sakamotoakiraxyz他にyoutubeで「坂本晶のチャンネル」やってます。

策略的な人物達

フィリップ2世
フランス、カペー朝第7代国王。
カペー朝はユーグ・カペーから始まるが、王領は少なく、イール・ド・フランス(フランスの小島)と呼ばれていた。
フィリップの父ルイ6世の前妻のアリエノール・ダキテーヌが問題で、アキテーヌの女公なのだが、ルイと離婚した後はイングランド王ヘンリー2世の王妃となっていた。イギリスはノルマンディー公ギョームがノルマン・コンクエストでウィリアム1世となってから、フランスにも領土を持つようになっており、ルイ6世の頃にはフランスの半分がイギリス領だった。
フィリップはヘンリー2世の息子達に反乱を起こさせ、ヘンリー2世は失意して死んだ。
ついでヘンリー2世の息子のリチャード1世と、ドイツ王フリードリヒ1世の三人で第三回十字軍に出征する。しかしリチャード1世と仲違いし、フィリップはフランスに帰ることになる。フリードリヒ1世は小アジアのサレフ河で溺死し、リチャード1世イスラムの英雄サラディンと華々しく戦うことになる。
その間にフィリップはリチャードの弟のジョン(マグナ・カルタで有名)に反乱を起こさせる。しかしリチャードが帰ってくると、フィリップはリチャードと戦うことになる。
リチャード1世は当時のヨーロッパ最強の武将で、フィリップも敵わない。フィリップは金庫まで置き捨てて逃げてしまった。
リチャード1世が戦死し、ジョンが即位するとジョンと争い、フランスにあるイギリス領を回復することに成功する。さらにジョンが神聖ローマ皇帝オットー4世と組むとブーヴィーヌの森の戦いでこれを破り、さらにアルビジョア十字軍を派遣して、王領を4倍にした。

毛利元就
戦国の謀略王。
安芸吉田の地頭の次男として生まれ、分家として多治比の猿掛城をもらったが、幼い頃に家臣の井上一族に城を奪われるという不幸を持つ。
有名な厳島の戦い村上水軍の戦いであって、元就が関与していないのは証明されたが、それでも謀略家としての凄まじさを示すエピソードには事欠かない。
すごいのは尼子氏の有力者、新宮党の尼子国久に密使を送り、尼子氏の根拠の月山富田城下で殺したことである。密使の襟元から密書が出てきて、毛利との密通を確信した尼子晴久は新宮党を壊滅させる。
晩年には嫡男の隆元に「策が1つ多ければ勝ち、策が少ないと負ける」「この毛利に良かれと思っている者は一人もいない」と、徹底した人間不信と謀略に生きたことが垣間見える発言をしている。
一方で「中国者の律儀」とも言われる。「策が1つ多ければ勝つ」と言っていた元就のどこが律儀なのかと言いたくなるが、家臣に「酒は飲むか」と尋ねて「飲む」と言えば「酒ほど気晴らしになるものはない」と言い、「下戸でございます」と言えば「儂も下戸じゃ」と言って餅を与える。
人間関係作りも泥縄式だが、そんな元就のスローガンは「百万一心」である。分解すると「一日一力一心」となる。泥縄で大勢力にした毛利家を、コツコツとした努力で盤石にしようとしていたのだろうか。
元就は「天下を求めるな」と遺言した。関ヶ原では西軍の名目上の総大将になって、その上で家康に内通した。天下を求めなかったと言っていいのかわからないが、毛利家は江戸時代は防長二州37万国の藩として生き残り、幕末に日本を激動させる。

フリードリヒ2世
プロイセン国王。
幼少期まではヴォルテールに師事し、音楽を好み、『反マキャベリ論』を表し、その中で「君主は、人民の主人であるどころか、その第一の従僕に過ぎない」と述べた。
しかしフリードリヒが国王になり、オーストリアマリア・テレジアが女性ながらオーストリアを相続すると、フリードリヒはマリア・テレジアの相続を認める代わりにシュレージェンを寄越せと主張、マリア・テレジアが拒否すると宣戦布告無しにシュレージェンに侵攻、オーストリア継承戦争を起こして『反マキャベリ論』にもとると非難された。
フリードリヒはシュレージェンを獲得したが、マリア・テレジアはフランスとロシアと手を組んで七年戦争を起こす。劣勢に立たされたフリードリヒだが、ロシアでピョートル3世が即位すると、ピョートルはフリードリヒのファンだったためにロシアと講和が成立し、勝利、シュレージェンを維持した。
またオーストリア、ロシアとポーランド分割に参加して、プロイセンの領土をを約2倍にした。

古代史、神話中心のブログhttp://sakamotoakiraf.hateblo.jp/もよろしくお願いします。