坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。新ブログ「人の言うことを聞くべからず」+を開設しました。古代史、神話中心のブログです。

日本型ファンタジーの誕生(24)~東京喰種2:ルナ・エクリプス戦はクィーン・ビーと「見棄てられたヒロイン」の戦い

金木研が死んだと思った月山習が暴食に走り、その食糧調達のために月山家の召し使いが走り回ったためにCCGに目を付けられる。
月山家が喰種だということが明るみになり、当主の観母は息子の習を逃がすため、自ら囮になる。
月山習は月山財閥所有のルナ・エクリプスからヘリで逃亡しようとするが、習の逃亡に気づいたCCGが追跡することによりルナ・エクリプス戦が始まる。

CCGの下口上等は、部下を全て失った経験を持つ。
その下口の前に、ノロのようなマスクを被ったイカレポンチのカナエ=フォン=ロゼヴァルトが立ち塞がる。下口はカナエにより、あっという間に左腕と右手の四本の指を失う。
部下二人が援護をしようとするが、下口は逃げるように言う。部下二人は女性で、オークション戦で殉職した茨橋の元部下だった。
茨橋は優秀だったが、部下を死なせた下口を軽蔑していた。
「茨橋が生きていれば」と、部下を救えないことに苛立つ下口は、「お前らが嫌いだ」とまで言って、部下を逃がそうとする。しかし部下二人は、

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と言ってカナエに向かって行って死ぬ。
直後に下口も殺される。

「誰かいい人いないの」

ダンゴ虫みたいに丸くなった背中で、母ちゃんは、そう言っていた。

 

無理なんだよ。俺は性格の悪い不細工だから。

 

思い出すような友達もいないようなさびしい奴だから。

 

(俺がいなくなったら、母ちゃんはどうするんだろう)

 

下口は最後に思う。しかしカナエは、下口の首を持ち上げて、

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「美しい」と言う。
こうして下口は、二人の女性の好意と、一人の女の喰種の美の賞賛を受けて逝く。

石田スイは、本当は好き嫌いのはっきりした人物だと思う。
そう思うのは、必ずしも本意でない描写をした場合、その反動が出ていると思うからである。
同じルナ・エクリプス戦でキジマ式がチェーンソー型のクインケで頭を真っ二つにされて死ぬのが、下口の美の賞賛の反動だと私は思っている。
永近英良が金木に口から捕食されたのは、それが同性愛の表現だからである。永近の捕食が同性愛の表現なのは、オークション戦でナッツクラッカーがCCGの女性職員を口づけしながら捕食したことで読者が理解できる仕組みになっている。
永近の捕食が同性愛の表現なのは、金木を救うために命懸けで奔走する永近の動機が、友情であってはならないからである。友情は大抵、人の命を懸けさせるほど強いものにはならない。人を命懸けにさせるのは愛である。
そして同性愛を表現したが、石田は生理的に同性愛は駄目なのだろう、その反動が和修政である。
和修政のゲイ表現があった時はちょうど保毛尾田保毛男騒動と重なっていて、内心抗議が殺到しないかとひやひやしていたが、おそらくうまく切り抜けたのだろう。ゲイが露出狂だという偏見は存在しないのだから。
また和修政の件も差別からではなく、ゲイセックスが生理的に駄目な人がゲイセックスを表現したことの発作である。和修政にもそれなりの救いを与えており、ゲイ自体への差別ではない。石田の感情にネオリベラリズムに通じるものがあったとしても、思想はリベラルなのである。

美醜を逆転させることが不健全なことは、石田もわかっているのである。
それでいて下口を「美」としたのは、美醜がもたらす不条理への抗議である。そしてその抗議は、カナエの描写にも表れている。
金木が死んだと思っていた月山がなおも金木に執着するのを見て金木を憎み、そのカナエにエトがすり寄る。エトに従ったカナエは、

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こわっっっ!!
ホラー作家もびっくり。瞼と唇に糸が縫われている。月山を「シウサマ」と呼んで、いっちゃってる感満点。
このカナエがカネキ、いやカネキとしての記憶を失った佐々木琲世に襲いかかるが、琲世は戦いの中でカネキの記憶と人格を取り戻し、カナエに勝利する。すると次はエトが襲いかかってきて、エトと金木の戦いが始まる。

一方、ルナ・エクリプス内では伊丙入(ハイル)と松前が戦っている。
ハイルは「CCGの死神」有馬貴将を彷彿とさせる手練で、人間より身体能力が高い喰種を驚愕させるほどの動体視力と反射速度を持つ。以前松前とハイルが交戦した時は、松前は部下と一人捕らわれて撤退した経験を持っている。
しかし松前は月山を守るという強い想いからハイルと互角以上の勝負をし、血で足が滑った一瞬の隙をついてハイルの胴を貫く。

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「あなぽこ」「あーし、し」と言った後、「岡平、クインケ。よこせってんだよ、はよせい!!」と逆上する。
容姿に自信のある女性は、しばしば子供っぽい態度で危機を切り抜けたりする。ハイルは幼児言葉を使うが、死を予感した瞬間、部下に八つ当たりして本性を現す。ハイルが自分が死ぬことを想定して戦っていない証左である。
岡平が渡したクインケは高密度の攻撃を繰りだし、松前は劣勢に立たされるが、仲間のマイロが胴体を切断されながらも、ハイルの肩から上を切り離す。肩から上を切り離すのは、「顔はいらない」という暗示である。
そしてカネキがカナエと戦い、続いてカナエをいたぶったエトと戦うのは、カネキがカナエの代理としてエトと戦ったと解釈できる。ルナ・エクリプスの上と下の戦いを重ねることで、エトとハイル、カナエと松前が重なる。こうしてエトとハイルが、クィーン・ビーという同型のキャラだと判断できる。カナエはクィーン・ビーの被害者であり、ルナ・エクリプス戦はクィーン・ビーとその被害者との戦いだとわかってくる。

カナエの本名は、カレン=フォン=ロゼヴァルトという。
カナエは家をCCGのドイツ支局に滅ぼされ、ロゼヴァルト家の再興を託されていた。カナエの名前は、死んだ母親と二人の兄の名前の頭文字を取ったものである。
しかし「家の再興を願う健気な娘」というのは表向きの解釈で、その真意は「家に囚われた娘」である。
ならばカナエを家に「囚えた」のは誰だろうか。

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カナエを家に「囚えた」のはエトで、エトは家庭内では母親の暗示となっている。
「あなた、おこがましいのね、醜いくせに」と言われ、カナエは鏡を見て、「私は、ゴツゴツだな」と言う。

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カナエは、不美人ではない。
こうなるのは、女性の美意識が不完全だからである。
母親に「醜い」と言われて育った娘は、本当の姿を見せても、自分を「醜い」方に解釈し直そうとする。それが瞼を糸で塞がれた「盲目」の意味である。
では唇を塞がれているのは?
カナエが月山家か月山習個人の、どちらを選ぶべきかの選択を迫られた時、カナエは松前に相談する。
松前は「あなたの主は誰なの?」と問い返し、カナエは「主」を、自分を雇っている月山家だと解釈する。
しかし松前は、「あなたにとって大事なものは何か」と尋ねたのである。
金木が月山をビルから突き落とし、カナエが月山を庇うために飛び降りる。
人生の最後の瞬間、カナエは叫ぶ。

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Oh mein lieber Shu.

(ああ、愛しい習さま)

lch habe so lange davon getraumt,Sie im Arm zu halten.
(このようにあなたを胸に抱ける日をどんなに夢想したことか)
Vater,Mutter,meine Bruder,bitte verzeiht mir.

(お父様、お母様、お兄様方、どうかお許し下さい)

Shu,bitte verzeihen Sie mir…

(習さま私をお許し下さい)

verzeihen Sie mir,dass ich mich in Sie verliebt habe.

(あなたを愛してしまったことどうかお赦しください)

 

しかし月山は、

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月山おっとこ前~!!
「人生で幸福なこと、自分らしく死ねること」
こうしてカレン=フォン=ロゼヴァルトは、幸福に満たされて死ぬ。

カナエ=フォン=ロゼヴァルトは「見棄てられたヒロイン」で、カナエの不幸の原因を母親に求めている。
ならば世の不幸な女性の不幸の原因は母親なのだろうか?
そうではない。日本型ファンタジーの多くは、根本の原因を父親としている。
そして覚醒したカネキによる「父殺し」が始まる。

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消えた「三空港問題」

去年の夏の、台風の話をしよう。このブログでは、タイムリーな更新をする方が稀なのでwww。
台風による津波で、関西空港が冠水した。夏に聞けば涼しそうな話題も、冬に聞けば寒々としますな。
関空が冠水したことで、人々は維新を批判した。災害対策を放棄していた松井知事が批判されるならわかるが、既に政治家でない橋下氏まで批判される事態に。
何で?関空は橋下さんや維新が作ったものじゃないよ?
そこで「ああ、三空港問題ってのがあったっけな」と思い出した。どんな問題だっけ?
そうだ、困った時はウィキペディアだ!

関西三空港の経緯と現状 - Wikipedia

あれ~???
三空港問題ってこういう議論だっけ?
いや、タイトルが「関西三空港の経緯と現状」で、「三空港問題」ではないのだが、三つの空港があることで「問題」とならなければ「三空港問題」にならない。
橋下氏が大阪府知事の時は、関西に三空港があることでそれぞれの空港の集客力が少ないから、三つの空港を統合しようという話だったと思う。橋下氏の主張は伊丹空港がいらなくて、沖縄米軍基地問題も絡まって神戸空港は米軍基地にするとかしないとか、そういう話だったと思うんだけど。
ウィキペディアは本当に「経緯と現状」で、神戸空港の話はほとんどないし、橋下氏の神戸空港についての見解もない。さらにいつの間にか「三空港問題」は経営統合の議論になってるし。

橋下さんのウィキペディアも見てみよう。

橋下徹 - Wikipedia

あれ~????「三空港問題」がごっそり抜けちゃってるんだけど。
で、関空の冠水についての橋下氏のツイートをBLOGOSがまとめてくれているので見てみると、

lite.blogos.com

②当時国交相前原誠司さんの英断で、国営伊丹空港関空を一本化して完全民間運営に。LCCと物流の拠点にし、国や自治体からの出ていた多額の補助金は0に。僕もその案を了承。死にかけていた関空が蘇って過去最大の利用客数の更新中だった。

 

へーそんなことが。でも「関西三空港の経緯と現状」では国交省が反対したって書いてあるけど?

しかしながら、上述の経緯より、大阪国際空港の存続を決定した国土交通省大阪国際空港の周辺自治体らは、反発した。

 

「上述の経緯」とは何かを見てみると、

国土交通省交通政策審議会航空分科会は、2007年6月21日に、大阪国際空港の種別変更(格下げ)の検討が必要、という答申案を出した。しかし、前回同様に、11市協は反対の姿勢を示した。これについて、一般紙は「3空港が特性をいかし、連携して航空需要をになうことが必要」と論評した。その後、兵庫県井戸敏三知事も、10月15日の会見で、大阪国際空港の維持・整備費の地元の負担増などに関して批判した。また、大阪府太田房江知事(当時)は、国土交通省に対し、大阪国際空港は国の管理運営する基幹空港として維持することと、地元に維持・整備費の負担を求めないことを、要望した。この件で、両知事は、10月5日に国土交通省を訪れ、冬柴鐵三国土交通大臣(当時)に、上記の主張をまとめた要望書を渡した。

 

大臣前原さんじゃないやん!!
それに2009年に橋下氏が伊丹空港廃港を撤回したと言うけど、「大阪国際空港#橋下大阪府知事大阪市長に関する動きも参照」というのが気になる。ここをクリックすると、

大阪国際空港 - Wikipedia

伊丹空港に飛んだぞ!!

2009年1月に橋下は「勉強不足だった」として大阪国際空港廃止論を撤回し、大阪府としては関西国際空港の活性化を重視し、関西3空港の一体的運営に関しては、将来的な課題とする大阪府の従来方針に準じた内容を、関西3空港に関する提言としてまとめたことを表明した。しかし、2009年9月に開かれた懇談会では、再び橋下が大阪国際空港廃止論を主張し、関西国際空港神戸空港に路線を集約させるという案を提案した。

 

伊丹空港廃港に戻ってるやん!!

駄目じゃん、ちゃんと「三空港問題」の記述を残しておかないとwww。
橋下氏の伊丹空港廃港論は誤りだったし、またそれでいいと思っている。
リスク無視でコスト削減にさえなれば賞賛された時代があったのであり、そういう時代には、改革的な政治家はその流れに乗らなければ政治家になれなかったのである。そして三空港問題はその時代の産物である。
そもそも橋下氏自身が伊丹廃港論を主張したことを認めた発言をしているのに、橋下氏以外の人が三空港問題での橋下氏の発言を隠す必要はない。それこそ橋下氏ではないが、「馬鹿な有権者」である。良かったね、政治家辞めてwww。
いやいや意地悪は止めておこう。最近の情報から見て、参院選でかどうかはともかく橋下氏の政界復帰は確実だし、橋下氏も口では否定しながらも、政界復帰する気満々だろう。私も全ての主張に賛同してはいないが、それでも橋下氏の支持者である。
大阪万博の決定により、大阪都構想の実現もぐっと可能性が高くなった。

大阪市民も反橋下派も、既に橋下徹の罠に嵌まっている - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

の頃と違い、私は都構想賛成に転じた。
というのは、元々経済効果を数値化できるものではなかったからである。
都構想は既得権益を破壊するためのものだった。既得権益の破壊には、改革を望む政治家、政党の資質や政治戦略が必要で、その改革が結果として経済効果を生んでも、それを最初から数値として可視化できなかったのである。経済効果の可視化が要求されたのも、コスト削減が絶対視されていた時代の弊害であり、ひいてはコスト削減へとミスリードして既得権益の弊害の隠蔽のためである。
都構想について初めての記事を書いた時には、既得権益の弊害は充分にわからなかったが、今は見に沁みて実感している。もっとも弁護士の不正に手が届く改革じゃないけどね。
しかし橋下氏の政界復帰が確実だとしても、「約束破り」くらい言っていいのに、その批判が全くないのも、「馬鹿な有権者」である。
ウィキペディアは魚拓が取れないため、現時点での記述を掲載しております。後に文章やリンク先が変わっても一切の責任を負いませんのでご了承ください。)

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ドラゴンボールを考える⑪~『ドラゴンボール超ブロリー』は「パパいらない」(ネタバレあり)

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鳥山明は基本的に根性論が嫌いである。
そのことは、鳥山の不健全さと健全さを表している。根性論が嫌いなのは、「努力すれば何でもできる」という信仰が、受験競争やスポ根などの個人の適正を欠いた努力に向かわせるからである。
だから鳥山は、本人の適正にあった努力は好きである。かつて「悟空が倒れるような修行をしても、そこからフラフラと立ち上がるようなことはない」と書いたが、それには以上のような理由がある。
ならば倒れながらもまたフラフラと立ち上がって修行をするベジータはどうかといえば、ベジータはそれが似合うのである。なぜならベジータは「堕ちたエリート」だから。エリートがプライドをかけて、全てをなげうつ姿を、鳥山は認めているのである。

このように考えれば、鳥山が「実力ではベジータが上」にこだわるのは、単なる設定上の問題ではないことがわかってくる。そして「魔人ブウ編」で、悟空がベジータ以上の天才になってしまったことも不本意だったとわかるだろう。
魔人ブウ編」のベジータはいいところがない。悟空と互角なのはバビディに操られたからで修行で差は埋らず、さらに悟空は一段階上の超サイヤ人3になってしまった。ベジータのプライドは、原作最強のベジットになったことでしか守られていない。
しかしそうしなければならない理由があった。なぜならベジータは「ピッコロ以上の悪」だったからである。
ベジータを「ピッコロ以上の悪」として描けていたかどうかには疑問があるが、そうである以上、ベジータはピッコロのように、悟飯によって善化されるストーリーではいけないのである。
悪人を善化するのは、しばしば圧倒的な力であったりする。ベジータを最終的に善化するためには、『DB』の世界観の中心である悟空が圧倒的な力を見せる必要があった。逆に言えば、ストーリーが続かなければ、ベジータは悟空の影響外のキャラでよかったのである。

アニオリキャラブロリーっていうサイヤ人ぽい生き物がいるらしくてwww、今回それが映画になるっつーんで観てきた。というわけで今回、鳥山先生がキャラデザしてそのまま忘れていたブロリーを扱った『ドラゴンボール超ブロリー』の記事。
えーまず、「身勝手の極意」はでなかったね。
まずオープニング、今回新たにベジータ4世という名前が加えられたベジータの潜在能力を自慢するベジータ王だったが、ベジータの倍の潜在能力を持つブロリーに嫉妬し、ブロリーをポッドに入れて飛ばす。
ブロリーを追う父親、えー…何だっけ?まあいいやwww。「今助けに行くぞ!」とブロパパ、いいお父さんだ!www
一方で、悟空の父親のバーダックも登場。
こちらはフリーザの企みに勘づいて、ポッドを盗み出して赤ん坊の悟空を乗せて地球に飛ばす。奥さんとのやり取りの中で、「こいつの戦闘力じゃ大人になってもろくなことがねえ」というところが中々ひどいwww。
バーダックの読み通り、フリーザサイヤ人を集めて惑星ベジータごと消滅させるために巨大なエネルギー弾を放つ。
バーダックはそのエネルギー弾に豆鉄砲を食らわせながら死亡。いや『たった一人の最終決戦』でも豆鉄砲だったが、『たった一人の最終決戦』ではフリーザ軍相手に壮絶な戦いを繰り広げるところに有終の美があった。これなら悟空を追って地球に向かった方が良かったのに。

でこのブロリーって奴、色々設定変更が行われてるようだけど、ブロリーベジータと同い年?元々は悟空と同じ日に生まれた設定だったようだけど。
元の設定はムチャクチャで、生まれた時に戦闘力10000だったとか、惑星ベジータが消滅した時にバリアを張って自分とブロパパを守ったとかとにかく異常なパワーを強調されている。
今回の映画では鳥山らしさが出ていて、ブロリーの凄さを強調してるようで、実はデフレ路線である。惑星バンパでの戦闘直後のブロリーは戦闘力920で、4歳の時の悟飯と同じくらいの強さという感じである。測定不能になっても爆発しない優秀なスカウターもデフレのためである。
それにブロパパも片目が潰れているが、元はブロリーが潰したのが、今回はそうなっていない。今回のブロリーファザコンだからである。

今回の映画でも、ドラゴンボールが絡んでくる。
ブルマが集めていたドラゴンボールが盗まれて、残りのひとつが氷の大陸にあるというので舞台は氷の大陸に移動。
フリーザの願い、てっきり不老不死かと思ったら「5センチ背を高くしたい」とのこと。「いきなり大きくなったら怪しまれるでしょ!」と「五歳若返りたい」というブルマの願いと対応させてみみっちさを強調。そんなに大きく見せたきゃ第二形態のままでいりゃいいのに。

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おまけに「口が臭いと言って殺された奴もいる」とかフリーザ様の悪のカリスマがどんどん削がれてく~!!wwwもうこれはファミリーになったキャラの宿命なんだね。

まず最初にベジータブロリーと戦うが、充分な戦闘経験のないブロリーが短い時間で戦い方を習得していき、ベジータもそれに合わせて超サイヤ人に変身する。
するとブロリーは大猿のパワーを引き出して戦う。これもパワーアップに見せたデフレ路線で、実戦経験ゼロのブロリーが素質だけでベジータと対等以上になっては不自然なため、大猿のパワーを使えるようにしたのである。
ベジータは赤ゴッドになって戦うが、やがてブロリーに押されるようになっていく。
そこで悟空が「次はオラとやろうぜ」と言ってベジータと交代。通常形態から超サイヤ人、赤ゴッドとベジータ同様順にパワーを上げていくが、やがてブロリーに足を捕まれての氷にびったんびったんとそば打ち状態になり、さらに氷山で顔面を削られて倒れる。
ここでやっとブルーに変身、氷山をぶっ壊したり地底に潜り込んでマグマの中で戦ったりして、気がついたら氷の大陸が溶岩滾る大地に変貌しているのは非常に効果的な演出である。しかしBGMで「カカロット!」とか「ゴジータ!」とか流れてくるのを聞くのは正直恥ずい。一応子供向けの映画だから仕方ないけど。
ブルーでも押されるようになってベジータが戦線復帰して共闘、ようやくブロリーのパワーアップが追い付かなくなったところでフリーザが「この先はないのですか?」とパラガスに、あ、言っちゃったwww、でパラガスに言うと、「はい」とパラガス。
するとフリーザは「試す価値あり」とパラガスをデスビームで殺し、「お父さんが殺されてしまいましたよ~!!」とわざとらしく言うとファザコンブロリー超サイヤ人に変身。もう手がつけられなくなって、ブロリーフリーザまで攻撃する。悟空はその隙にベジータを連れて瞬間移動でピッコロのところに逃亡。
悟空とベジータフュージョンすることになったが、失敗してデブになったりガリになったりして30分ごとにやり直し、一時間かけてようやくフュージョン成功。「名前が必要だ、ポタラ合体がベジットだからゴジータ」と、アニオリとは違うところを強調してるのになけなしのプライドを感じるwww。
その間ゴルフリ状態でボコられるフリーザ様は見物www。とうとうフリーザでは相手にならなくなってウイスにまで攻撃をかけるがさすがに全部避けられる。
そこにゴジータが瞬間移動で登場。ブロリーと互角以上の戦いをする。
ここでチライとレモというゲストキャラが活躍する。ブロリーと仲良くなり、特にブロリーが戦いが嫌いなのに無理矢理戦わせるパラガスへの反発から、「父親が悪い」という想いからチライは逸脱行為に走り、ドラゴンボールを奪取。まあ「大猿になると手がつけられない」っつってブロリーの尻尾を切ったり、電流の流れる首輪をつけたり、はては修行の途中で仲良くなったバアという生物に「修行にならん」つって耳切って仲違いさせたりする親だからね。
そしてチライはブロリーを惑星バンパに戻すように神龍に願う。

ブロリーは本当の千年に一人現れる超サイヤ人という設定だが、黄緑色の髪のその姿になるのは、ゴジータとの戦いが佳境に入った時の一瞬だけである。しかしこの時には、ウイスが「そろそろ決着がつくかもしれませんね」という。そしてゴジータかめはめ波ブロリーに直撃する直前で神龍が願いを叶え、ブロリーは惑星バンパに飛ばされる。
つまり当たっていればゴジータの勝ちで決着がついていたのである。

ドラゴンボール超ブロリー』のテーマは「パパいらない」である。
バーダックの最初から悟空の未来を見限った態度も、父親がいらないことの証明である。ベジータ王にしても、息子にフリーザに代わって宇宙の帝王になるように願ったのに勝手にやってるし、パラガスの息子を助けようとする態度も自己愛の延長に過ぎず、ブロリーを自分の復讐の目的のために利用するだけだった。
それにしても今回の映画、色々思わされるところがあるが、そもそもはなぜ鳥山がブロリーを題材にしたかである。
割とコアなファンは認識していることだが、鳥山はアニオリキャラを基本自分のキャラと見なさない人で、アニオリから逆輸入したのは今まででバーダックだけである。それは相当気に入ったからで、逆に言えば、ブロリーは今まで気にいらなかったのである。その気にいらなかったキャラをあえて題材にした。
もっとも今に始まったことではなく、「宇宙サバイバル編」ではケールというキャラがブロリーそっくりになっていた。しかしブロリーのブの字もなかったし、ケールの登場には別の意味があった。また後でやろう。
今は映画に戻ろう。惑星バンパに飛ばされたブロリーのところに、悟空が瞬間移動で家や食糧を持ってくる。そして「おめえ多分ビルス様より強えぞ」という。
はい、これでビルスより強い者が現れ『DB超』のテーマ終了。
そして「またオラと戦ってくれ」と悟空は言い、名前を聞かれて、「孫悟空、それとカカロット」と言う。
今まで悟空がカカロットと自己紹介したことはない。
今回の映画では、戦闘中のブロリーは「ウオオオー!!」と言うだけでセリフが一切ない。
元々のブロリーは映画を観たことがないのだが、かなり悪質なストーカーみたいなものだと思っている。赤ん坊の頃に隣の悟空の泣き声がうるさかったというとんでもない理由で悟空を憎み、しかも戦闘中にどんどん強さをましていって、勝てるのも偶然か奇跡のようなものというのが映画を見てない限りでの印象である。しかしまた悟空と同じ日に生まれたブロリーは悟空の分身でもあった。
それが今回の映画で、ブロリーベジータと同い年になり「カカロット!」と言わなくなって、悟空とブロリーは何の接点もなくなったのである。
また、マンガで進行していた、「悟空よりベジータが実力は上」という設定が、アニメでも実現した。ベジータは一騎討ちではブロリーに弾かれただけだが、悟空は一度ブロリーに倒された。
これでも納得いかない?
なら言おう。悟空には「身勝手」はないが、ベジータにはもう一段階あるのである。

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そうそう、これね。
つまり同形態でもベジータが上で、さらにその上があるという、魔人ブウ編の逆になってるわけね。
そしてもっと重要なことは、ゴジータブロリーを倒せることを示したことで、負けても実力は常に上だったブロリーを超える者が現れたこと、そしてとうとうゴジータで倒せることを示したことで、悟空とベジータが合体キャラになったことである。
さらにマンガでは、「千年に一人現れる超サイヤ人」は超サイヤ人第三形態、トランクス限定で言えばムキンクスの上位版で、パワーは凄いがスピードが殺され、体力の消耗も激しいものになってしまった。こうしてブロリーの活躍は終わったのである。

それにしても今回の映画は考えさせられるものが多い。
バーダックが特大エネルギー弾に豆鉄砲を食らわせただけだったのも、フリーザが無駄に部下を犠牲にしなかったからである。
ベジータがナッパを殺した時にも思ったが、仲間を殺すのは悪の演出としては良くても不合理である。そして今回の映画ではそれがなく、戦闘の被害を受けそうなフリーザ軍の宇宙船をフリーザが非難させている。
悪の演出として違うものが求められているのである。


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何で俺の記事ってこんなに連動するの?

全く沖縄県知事選の時も「沖縄が中国になる」ってデマが飛び交ったのに、

vergil.hateblo.jp

の中国は沖縄を絶対に侵略しないって?
侵略なんかしませんよ。これから世界の覇権国になる中国様が侵略して併合なんて体裁の悪いことするわけないじゃないですか。
色々要求してくるだけですよ。最もあり得るのは基地の提供。つまりアメリカに取って替わっただけ。もっとも下手に抵抗すれば、軍事侵攻して傀儡政権を樹立するくらいのことはするかもね。

日はまた昇る氏、Mukke氏の記事について~沖縄独立論、基地問題を問う - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

では沖縄が独立すればいいことずくめのように書いた私も、トランプ政権になって情勢が変わり、アメリカが日本を守る保証が無くなった。それどころか今回の辺野古埋め立てでさえ、トランプの差し金ではないかと思っている。
中国を前にして沖縄が独立しても、アメリカは沖縄を守ってくれない。沖縄を守れる国は日本だけ、ということで沖縄独立は実質不可能である。
辺野古埋め立てで、沖縄県民は憤慨している最中である。独立論くらいの感情論は出てきて当然である。しかし結論は出ている。沖縄は独立しない。それを本土に基地を受け入れる気が微塵もない本土人が感情論を取り上げての空騒ぎを演じては、沖縄県民も迷惑だろう。

しかしこう見ると気になることがある。
「中国は沖縄を絶対に侵略しない」は「中国は日本を絶対に侵略しない」とイコールになる。
当然侵略なんかしませんよ。中国の狙いはシーレーンを押さえて日本を傘下に入れることですから。
それはそれとして、「中国は沖縄を絶対に侵略しない」=「中国は日本を絶対に侵略しない」と見ると、

大国の支配を感じ始めた韓国 - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

で述べた、シーレーンを中国が抑えるという話に対応することになる。つまり私の記事に対する反発じゃないかということだ。
そう考えると、

scopedog.hatenablog.com

食いものにされる日本 - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

と連動している。
他にもアニゴジで記事書けばシンゴジラの記事がトップを飾ったり、思えば『ドラゴンボール』の記事書き始めた時から悟空がどれだけ強くなったのかなんて記事出たり、「宇宙サバイバル編」の時は強くなり過ぎた悟空が眠っていた魔人ブウと戦うとか根拠ゼロの記事がトップになったり、

日本の右翼を牛耳る外国人勢 - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

を書けばツイッターのハイライトが1ヶ月間来なくなったり、思い当たることが多いんだよねー。『ドラゴンボール』なんかそれ以前に話題になってたっけ?って感じだし。
え?「そんなの気のせいだ」って?「どこにそんな証拠」がある」って?
何「人を裁く論理」と「推測」を混同してるの?
「人を裁く論理」と「推測」を混同推測詭弁は、日本人が2000年間、数知れない罪のない者を奈落の底に陥れてきたものだよwww。「推測」に証拠はいらない。
もうひとつ教えよう。
今挙げた例は「傍証」だが、この「傍証」が増えれば増えるほど確信に近くなる。ならばそれをムキになって否定する者は?
私の記事が世論に連動してるってことは、PVに関わらず、私の記事に影響力があるということである。
ならばそれを否定する者は、「坂本晶に影響力がないと思わせたい者」ということだ。
そもそも君達に何の信頼があるの?

弁護士が無能すぐるww④ - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

を頑固になって拡散しようとしない君達に。
これでも反論するの?
何て反論するの?スワヒリ語で喋るの?タガログ語で喋るの?「身勝手の極意」使うの?
やれよ、笑ってやるからwww

他にも言おうと思えばいくらでも言えるけどこのくらいにしておいて、ムカつくんだよねー、明らかに連動してるのに絶対に証拠を掴ませないような態度って。
Vergil2010さんのに何でみんな反応するの?釣りだから?
確かに釣りだね。俺もブクマつけたから。
でもそれ以外の記事に反応しちゃだめじゃん。
横領に国と弁護士が加担してる件なんて、書いた日にブクマ100ついて当たり前で、3日もブクマつかなけりゃぶちギレて当然の話なのに、書いたのが1月で拡散希望したのが4月で未だに待ってるんだから俺って優しいだろ?www

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日本型ファンタジーの誕生(23)~『進撃』7:27巻の衝撃

今回『東京喰種』をやる予定だったが、急遽予定を変えて『進撃の巨人』(以下『進撃』)を書くことにする。
『進撃』は今後も段階的に書いていくつもりで、今回の記事は段を抜かしたものになる。それでなお『進撃』を書くのは、27巻の衝撃からである。
27巻は発売されたばかりで、いわばネタバレになる。ネタバレが嫌な方はここで読むのを止めて下さい。

『東京喰種』はそれなりにいい終わり方をしたが、人間を喰う喰種と喰われる人間が手を結ぶという展開は、それまでリアリスティックに進んできた中でアナロジーとしてしか解釈できないものであり、リアリティを欠くものであった。
『東京喰種』は私が好きな作品で、私の中ではずっと『進撃』より上だった。しかし『進撃』は終盤に入りながらもリアリティを全く失っておらず、私の中で『進撃』が『東京喰種』を上回りつつある。
連載でエレンが「お前が嫌いだ」と言ったという衝撃の展開情報もネットで流れており、また作者の諫山が「変更の可能性あり」としながら、誰かが幼子を抱いて「お前は自由だ」という最終コマもテレビで公開されている。(私は見なかった)
今回は『進撃』の27巻に絞って書くことにする。途中を飛ばしての記事になるが、それはおいおい書いていくことにしよう。

27巻は、ジークに同調したエレンへの猜疑心によって展開されている。
マーレのレベリオ収容区を独断先行によって強襲したエレンのため、兵団を派遣することになったパラディ島勢力だが、エレンの周囲はエレンの真意を量りかねて悩むことになる。
エレンは危険ではないか?という疑惑が周囲に広がり、読者はそのエレンの周囲の視点で読むことになる。
ところが合理性を欠いているのは、むしろエレンの周囲の方である。

パラディ島勢力は科学技術の点で非常に遅れており、しかも世界中からエルディア人の絶滅を望まれている。
教育、経済力、外交力、人口などで、パラディ島勢力が世界中の国々と比肩するには最低50年かかる。
そこでヒィズル国から出た提案は、「ジークをパラディ島に移送し、王家の人間がジークの『獣の巨人』を継承すること。さらにパラディ島勢力の唯一の王家の人間であるヒストリアは多くの子を生み、これを最低50年継続すること」だった。これで「地鳴らし」が可能となり、「地鳴らし」を抑止力にできる。
ここでハンジ・ゾエは悩む。「巨人の力」を継承した者は継承後13年で死ぬ。しかも最後は次の継承者に喰われるという形でである。「今私達が助かるためなら、こんな解決不能の問題を未来の子供達に残していいのか?」とハンジは思う。
そこでエレンが発言する。

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ここで、諫山による読者のミスリードが行われている。「地鳴らし」は壁を破壊されないためにある。しかしエレンの発言により、パラディ島勢力は「地鳴らし」以外の道を模索することになる。
「道」は見つからなかった。
ヒィズル国を通じて世界にエルディア人の人権を訴えようとしたが、それはヒィズル国が拒絶した。
世界がエルディア人の絶滅を望むのは「わからないから」と考え、ハンジは「世界中の人に会いに行こう」と言う。
「わからない」ものを理解するために「会いに行く」のはいいことである。問題はジークの「任期」の約2年の間に、世界中と理解し合うのは到底不可能だということである。

兵政権はエレンを危険視するが、エレンがレベリオ収容区を強襲した日は、ヴィリー・タイバーがパラディ島が「地鳴らし」を行わないのは、145代フリッツ王が「不戦の契り」を結び、王家が代々その「契り」を継承しているからだと、全世界に公開した日である。
偶然だが、エレンがそれを知ったことと、ジークの移送に成功したことにより、パラディ島が世界から攻撃される危険は回避された。
いや、まだ危険が回避されたと言える段階にはなく、「始祖」を持つ者が王家の巨人と接触すれば「不戦の誓い」に支配されることなく「地鳴らし」を発動できることを、まだ世界は知らない。だから世界に、パラディ島勢力が「地鳴らし」が可能だと教えなければならない。エレンの危険性より、そちらの重要度が上になっている。
もっとも兵政権も「地鳴らし」の必要性は理解しており、「地鳴らし」の実験にまで話は進んでいる。しかし一方、マーレ義勇兵を拘束し、民衆には情報を与えず、ジークとエレンは接触させず、エレンの「始祖」をより都合のいい人物に与えようと画策する。
ところが、兵政権は無理を重ねているのである。情報が与えられないことに民衆は苛立ち、エレン拘束の情報が漏れると、民衆は「エレンを解放しろ」と押し掛けてくる。ザックレー総統が爆死すると、民衆は世界との戦争になると高揚する。そして先鋭化した兵士は、エレンの元に集まってくる。

なお、27巻でヒストリアが妊娠する。

日本型ファンタジーの誕生⑯~『進撃』6.新しい日本人の創生 - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

で、ヒストリアがエレンの配偶者的存在だと述べたが、今回、その確信は益々高まった。
「二人は結ばれてないじゃないか」と思うかも知れないが、配偶者でなく「配偶者的存在」なのは、この二人が結ばれることはないと思っていたからである。逆に非常に悲劇的な結末がこの二人からは匂っており、それは既に表面化しつつある。
エレンのヒストリアへの想いは、本人の吐露がないまでも次第に形を成してきている。一方ヒストリアの方は、

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この絶望的な表情。
相手は子供の頃に自分をいじめた相手である。幼少期の罪悪感から孤児院を手伝う姿をいじらしいと思ったかと言えば、そうではないだろう。むしろ過去に自分をいじめた相手と一緒になることで自分をいじめたい想いがヒストリアにはある。それも身重の体をいたわれないほどの想いである。
作中ではヒストリアが妊娠するように助言したのはイェレナだと思われているが、私はエレンだと思っている。
そしてミカサがヒィズル国の君主の子孫だと分かり、一気にミカサのヒロイン性が上がった。まさか将軍がくるとは思わなかったが。

ジークについてだが、ジークのような人間を信用するのは基本的に難しい話である。ジークの目的が自分自身のためのものならば。
作中でも触れているが、ジークの余命が後一年程である以上、ジークの目的が自分以外の誰かのためにある。
それがマーレやレベリオ収容区の人々のためとした場合、それを裏切ってパラディ島に赴き、更にパラディ島を裏切るということをするだろうか?またそこまでしてパラディ島勢力を殲滅したとして、次にレベリオ収容区に目がつけられ、遠からずレベリオ収容区のエルディア人は絶滅させられる。するとジークはエルディア人の絶滅を望んでいることになる。自分以外の誰かのためにしか行動できないジークが、そんなことを思うだろうか?
またジークとエレンに裏があると見たとして、兵政権は詰みかけている。
ジークの脊髄液を体内に取り込んだエルディア人は巨人となり、ジークの意のままに動かされる。マーレ義勇兵は巨人化の薬を手に入れたが、数が限られており、複製もできない。
この薬にジークの脊髄液が含まれている可能性を考えた場合、ジークをヒストリアが喰うのは予定内のこととして、エレンがジークに接触したら、ジークの意に反してエレンの「始祖」を兵政権の都合のいい人物に継承させることはできない。
もっとも抜け道がある。

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というがジークは仕組みを知っている。レベリオの「獣」の継承者のコルトに「お前が継承したら知ってしまうかもしれない」と話しているからである。
そのヒントも出ている。

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これで、王家の人間の巨人化能力者の脊髄液を体内に取り込んだエルディア人が操られるとわかる。つまりヒストリアに巨人の能力を継承させて、巨人化薬にヒストリアの脊髄液を注入すれば、少なくともジークの影響は中和できるはずである。しかしこれができるには確証が必要で、コルトがジークから聞いた話がパラディ島勢力に伝わらなければならない。そしてそれができても、ヒストリアが出産するまではヒストリアを巨人にできない。

イェレナはマーレ義勇兵の団結を高めるため、義勇兵を疑ったマーレ人を葬ってきた。
そのイェレナが、兵政権に対しマーレ人の人権を主張して譲らなかった。ハンジはそこに疑問を持つ。
イェレナの行為は確かに疑わしい。しかし疑わしいのは、ハンジ達がその考えを受け付けないからである。問題意識は共有しているのに。
ハンジが「解決不能の問題を未来の子供達に残していいのか」と悩んだのは、それが『進撃』のテーマに通じるからである。そしてこの問題の根本的な解決策を実行しようとしているのがエレンとジークである。すなわち、「地鳴らし」により非エルディア人を殲滅するというのが、根本的な解決策である。イェレナがマーレ人の人権を主張するのは、世界中の非エルディア人が殺されるのに、パラディ島内のマーレ人まで殺すことはないからである。
エレンの周囲はそれを止めようとするが、そうするのは自分達に同じ考えがあるのを否認するためである。
だからエレンとジークの考えは、ある程度実行されると私は見ている。それは『進撃』のテーマに、革命の要素があるからである。

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大国の支配を感じ始めた韓国

韓国事情について。

scopedog.hatenablog.com

なるほど、これでわかった。なぜ従軍慰安婦の訴訟が話題にならないのか。
防弾少年団の長崎の原爆のTシャツ騒動の時、わずかに思ったのが、韓国の反日行動も随分隠微になったということである。
反日感情が無くなったのではない。ただ以前ほど直接的な言動を取らなくなったのである。
その理由は、韓国人が日本とこれ以上対立するのはまずいと思い始めたということだろう。
兆候は、以前からあった。

韓国について - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

で、韓国の反日的な態度を改めるようにいう者が、少数ながら存在したことを述べた。それが南北和解を経て、反日感情が直線的でなくなった遠因である。韓国は北朝鮮との和解の道を歩むしかなくなった。そうなれば親日的な態度はますます難しい。それが大国の影響化に甘んじなければならないことを、韓国人に強く感じさせているのである。

韓国は儒教の国である。
その韓国の、国民の20%がクリスチャンである。長い布教の歴史によらず、近代以後に国民の20%がクリスチャンになったのは韓国だけである。
私の韓国に対する見識に、井沢元彦の本にあったわずかな知識とネットの情報のみで、長い間なぜ韓国のクリスチャンが20%もいるのかがわからなかった。しかしここにきて、おぼろげに見えてきたことがある。
韓国人は、儒教にうんざりしているのではないか?
近代以前、朝鮮半島は中国以上の儒教国だった。
歴史を通じて中国の従属国だった朝鮮半島は、中国以上の儒教国になることで、自分達こそ中華だと思うことでそのコンプレックスを乗り越えようとした。しかし近代以後、朝鮮半島は日本の植民地になり、二次大戦後は南北に分裂、韓国はアメリカに従属し、儒教アイデンティティを求める理由が無くなった。それが韓国でクリスチャンが激増した理由だろう。
韓国の歪みは、歴史的に常に大国に従属しなければならなかったことにある。それは儒教アイデンティティを求める理由が無くなってからも、形を変えて存続している。
それでは文政権は、なぜ慰安婦財団を解散したのか?
それは反日行動を取るのに怯みがちな世論を喚起するために、慰安婦の退路を断ったのだろう。

ここで

食いものにされる日本 - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

で述べた、ロシアがなぜこの時期に領土問題を棚上げにして平和条約を締結しようと持ち掛けてきたか、答えを言おう。
それは、将来中国がシーレーンを握るのは確実だと見たからである。
戦後の日本は、エネルギー資源を中東に依存してきた。
原油産出量世界第一位のロシアからでない理由はもちろん冷戦があったからである。北方領土の問題があるため公には語られないが、実は北方領土など放り投げてロシアと平和条約を結んでしまえば、シーレーンを中国に抑えられてもエネルギー問題は解決する。ただし今後はロシアと中国の意向には逆らえなくなる。
もちろんアメリカが今すぐアジアから撤退するということではないが、いつでも撤退できるようにしているということである。それが南北和解により可能となった。
中国がシーレーンを抑えるとは、東南アジアが中国の傘下に入るということである。
東南アジアは中国にシーレーンを握られても問題はない。日本とは利害が違うのである。
日本はかつてフィリピンと同盟を結ぼうとしたが、フィリピンは中国の傘下となった。
利害が違うのに同盟を結ぶには、それなりのパワーがなければならない。日本にはそのパワーがなく、韓国と手を結ぶことでそのパワーを得られる。
つまり、日本には韓国とケンカをする余裕など1ミリもないのである。

韓国と仲良くしなければならないが、ただ韓国にも

韓国はなぜ反日なのか? - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

で述べたような、なぜ自分達が反日になるのかは理解してもらわなければならないだろう。
韓国を信用できないという者もいるが、日本だって憲法をねじ曲げて自衛隊を持ったり、法律をねじ曲げて人の金を横領するのを放置したりしている。歪みのベクトルが違うのと、韓国なら少数派の意見でも取り上げられるのに日本では全く取り上げないのが違うだけで、コンプレックスが歪みを生んでいる点は一緒である。おんなじおんなじwww。
コンプレックスを直視すれば、正しく物事を見て動くことができる。

president.jp

で橋下氏は、2007年の最高裁判決に基づいて、個人請求権は消滅しないが日韓請求協定などによるものは賠償できないとして、労働に違法性があったか調査せよと述べている。
これはむしろ慰安婦に日本の法廷で裁判してもらった方がいいのでは?
慰安婦の訴訟が労働の違法性を焦点とするなら、慰安婦としての補償は慰安婦財団がすることになるので、慰安婦財団を解散した文大統領の立場が悪くなる。

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幕末の群像①~対外戦争で革命を起こそうとした高杉晋作

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このブログで、今まで触れることはなかったがかつて私は、司馬遼太郎のファンだった。
今はそれほどでもない。『国盗り物語』や『竜馬がゆく』、『功名が辻』などは娯楽過ぎて読む気になれないし、『峠』などは本当に言うべきことが臥せられている気がする。結局司馬遼は『花神』と『世に棲む日々』をたまに読む程度である。
文章を書くのも、最初は司馬遼を真似して、このブログの最初の方の記事でも司馬遼の文章っぽさが残っていたが、今ではすっかり抜けてしまった。今では自分を、「司馬遼の不肖の弟子」と任じている。

司馬遼の作品に多く疑問を感じている今日この頃だが、『世に棲む日々』をよく読むのは、高杉晋作という人物の存在感によるところが大きいだろう。
晋作の存在感だけではない。
司馬遼は、高杉が「対外戦争によって革命を起こそうとした」と捉えている。


「(負けやせん)
と、この戦争好きは確信していた。日本人の人口は、侍階級だけでなく農工商を入れれば男女二千万人いる。そのうち戦闘に耐えうる人数は四百万人だろう。外国はいかに艦船をもっていても、遠い本国から十万人も陸兵を運べない。船一隻で運べる陸兵は二百人が限度で、たとえ百隻(それほどの船舶保有国はないが)もっていても、二万人運べるだけである。日本がいかに武器が旧式でも四百万人もいれば二万人をみな殺しにすることができる。

 

この点、司馬遼のインスピレーションが最大化されたかのようである。
2000年代の歴史研究は、研究自体は進歩したとしたとしても、想像力が欠けていた。
晋作のクーデターも、僅か30人の決起を「長州人の肝っ玉をご覧にいれます」の一言で「晋作も必ず成功すると思っていた訳ではない」と見た研究者がいたが、晋作のような百策ことごとく当たるような人物が、成功の見込みを感じないようなを行うはずがない。
晋作の直感力はクーデターの成功を鋭く見抜いていたのであり、2000年代の研究者は客観性の追求し過ぎて、想像力を持たなかったので、その研究成果の多くは小説に昇華しなかった。
他の作家も、「長州割拠論」がせいぜいで、「対外戦争によって革命を起こそうとした」とまではいかない。
現実そのようになっていない。対外戦争は4か国連合艦隊と長州の戦いや薩英戦争など散発的なものだけで、幕末の動乱は長州が破滅的な動きを続けながら、薩長同盟によって生き長らえたので、ほとんど長州が時勢の中心にあり、他藩は薩摩や会津などの数藩を除けば、幕末に動いた藩はほとんどない。
司馬遼の晋作に対する見方は間違っていない。
間違ったのは、晋作の方である。

晋作は、長州のテロリズムの元祖である。晋作の行動により、長州は一連の狂気の行動を取るに至る。
晋作のやったことといえば、京に上洛した将軍の行列に「いよう、征夷大将軍」と声をかけたとか、師の松陰の棺を担いで、将軍だけが通れる御成橋を渡ったとか、白昼堂々箱根の関所破りをしたなどである。
テロリズムの元祖でありながら、晋作と他のテロリストの違いは、晋作に暗さがないことである。有名な御殿山の英国公使館焼打ち事件にしても、建設途中の建物で英国人はいない。暗さがないのは、人が死んでいないからである。

長州は京で工作を行っていたが、その内容は、幕府に攘夷を迫ることである。
その工作は、久坂玄瑞を中心に行われていたようである。晋作はこの工作から距離を置いていた。
幕府に攘夷を迫り、攘夷をしなければ討幕の密勅を得て幕府を倒す。
これが策略ならば実に見事な策略である。
問題は、これが策略ですらなかったことである。

「黒船など日本刀で追い返せる」と言ったから、日本刀で黒船を追い返そうとし、「幕府を倒せ」と言ったから、朝敵となっても幕府を倒そうとしたのである。
日本人は幕末も太平洋戦争の時も、そして現在も、根本的に変わっていない。

晋作は教えようとしていたのである。戦略の大切さを。
幕府と外国を同時に敵にする必要はない。危機的状況を戦略的に判断し、機略で切り抜けていく。
それを晋作以外の何人かが理解して行動すれば、長州は戦略的な行動を取れるようになり、長州の戦略性が日本中に伝播すれば、「対外戦争によって革命を起こす」ことも可能である。しかしそうならなかった。
幕末に長州だけが暴走したのは、関ヶ原の恨みと、松下村塾生が藩を主導したことによる。
ほとんどの藩は、行動を起こすことすらなかった。それだけ徳川300年の泰平の影響は強かったのである。
「対外戦争革命論」は、若さからくる晋作のロマンティシズムである。

「長州割拠論」は、戦国大名のように独立して、周囲を睥睨することではない。
「対外戦争革命論」の起爆剤であり、「対外戦争革命論」の変わりとしての「長州割拠論」は、長州と幕府をほとんど道連れにする戦略である。
晋作はそれを実行し、それでいて、わずかに長州が勝つと見抜いていた。
やはり晋作は天才なのである。

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