坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。サブブログ「人の言うことを聞くべからず」+では古代史、神話中心にやってます。 NOTEでもブログやってます。「坂本晶の『後悔するべからず』 https://note.com/sakamotoakiraxyz他にyoutubeで「坂本晶のチャンネル」やってます。

鬼滅の刃


鬼滅の刃』は1億5000万突破と、『進撃の巨人』以来の大ヒットを飛ばした。

進撃の巨人』以降、こんなヒットを飛ばす作品は現れないだろうと思っていたのだが、そこでこの快挙である。
これだけヒットした理由は一体何なんだろうと思って分析してみた。
まず竈門禰豆子が鬼になって、炭治郎が最初に会う鬼殺隊の隊士の富岡義勇が炭治郎に向けたセリフだろう。
生殺与奪の権を他人に握らせるな」「弱者には何の権利も選択肢もない」「鬼共がお前の意志や願いを尊重してくれると思うなよ」「なぜお前は妹に覆い被さった。あんなことで守ったつもりか?」
こういった甘さを否定する言葉が、読者に突き刺さるのである。
そして体育会系。炭治郎の修行も相当体育会系だけど、その体育会系に拍車をかけるのが「柱」達。禰豆子が鬼と知ってみんな禰豆子と炭治郎をいじめていく。感じ悪っ!!この辺での読者の柱への印象はみんな良くなかったはず。新人を先輩がいじめてるみたいに見えただろう。
それがこの後、炭治郎は柱と一緒に鬼と戦うようになっていく。
そこで煉獄杏寿郎のように死に別れたりする。炭治郎は柱と共に戦って、十二鬼月の上弦相手にも生き残り、強くなる。

それにしても『鬼滅の刃』の魅力ってのは、鬼に対する優しさなんだよね。下弦の五の累は生まれた時から身体が弱く。鬼舞辻無惨によって鬼にされ、人を殺したことで両親に殺されそうになる。
親というのは子のために自分を犠牲にするものなのに、自分を殺そうとした両親との絆を偽物の絆だと判断して、累は両親を殺す。しかし両親が累を殺した後自分達も死のうとしていたことに気づき、本物の絆を断ち切ってしまったことに苦しむ。
その悲しみを嗅ぎ取った炭治郎は、首の切れた累の胴体に手を置き、累の身体を足で踏みつけた富岡義勇に「足をどけてください」という。
上弦の六の堕姫と妓夫太郎は兄妹で一体の上弦の鬼で、妹の堕姫は美人だが弱く、妓夫太郎は強いが醜い。二人の身体が滅ぶ時、二人は言い争いをする。堕姫が「アンタなんかとはきっと血も繋がってないわよ」と言うのに対し、妓夫太郎は「お前さえいなけりゃ俺の人生はもっと違ってた」と言い返す。
「お前なんて生まれてこなけりゃ良かった」と、妓夫太郎が言おうとしたところで、炭治郎が口を塞ぐ。
「本当はそんなこと思ってないよ、全部嘘だよ」「味方してくれる人なんていない。だからせめて二人だけはお互いを罵り合ったら駄目だ」と。
しかし妓夫太郎は今際の際に、自分がいなければ堕姫には違う未来があった。ではないかと思い、悔やみ、堕姫を突き放そうとするが、堕姫は離れずに二人とも息絶える。
この優しさが何よりのヒットの要因だと思う。

炭治郎は強くなるために努力するが、炭治郎の家に伝わっていた「始まりの呼吸」日の呼吸は炭治郎には適性がなかった。炭治郎の父親のように、そして日の呼吸を創始した継国縁壱のようにはなれなかった。
それでも炭治郎は努力を重ね、無惨を追い詰めていく。
鬼殺隊の無惨の追い詰め方は凄惨そのもの。
鬼殺隊の頭目の産屋敷輝哉は、無惨にダメージを与えるため、自らと妻と娘二人と共に自爆する。
そこに鬼の珠世が、無惨に鬼を人間に戻す薬+老化を促進する薬+分裂を防ぐ薬+細胞を破壊する薬の四種類の薬を注入、最強の無惨に勝つほど強くなれないなら弱くすればいいという発想。
それでも無惨はめちゃめちゃ強くて、炭治郎や柱が総掛かりで夜明けまで無惨を引き止めることで、最後太陽の光で無惨を焼き殺す。
この時点で柱はほとんど死んじゃって、富岡義勇と不死川実弥しか生き残っていない。めっちゃ体育会系で死にまくり。
それで無惨に勝ったと思ったら、今度は炭治郎が鬼の王になる。今までしんどい思いをいっぱいしてきたからね。
鬼の王になった炭治郎は一瞬で太陽を克服し、無惨よりやばそうな雰囲気を出してる。やっぱりいくら崇高な使命があるからって、鬼になった妹を人間に戻さなきゃいけないからって、ここまでいじめるように頑張らせちゃダメだよね。

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