坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。サブブログ「人の言うことを聞くべからず」+では古代史、神話中心にやってます。 NOTEでもブログやってます。「坂本晶の『後悔するべからず』 https://note.com/sakamotoakiraxyz他にyoutubeで「坂本晶のチャンネル」やってます。

日本型ファンタジーゲームの誕生③『ドラゴンクエストVIIエデンの戦士達』②〜男が女を救い、娘は父親と再会する

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今回は『ドラゴンクエストVIIエデンの戦士達』のグリンフレークメモリアリーフの物語を中心に書いていこう。

日本型ファンタジーゲームの誕生②~『ドラゴンクエストVIIエデンの戦士達』1:ゼボットとエリーの物語に我々が感動する理由とは? - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

に続けて、ドラクエ7で非常に強い感動を受けるストーリーである。
グリンフレークで、ぺぺはハーブ園の経営者ポルックに雇われるやり手の庭師だった。そしてぺぺとリンダは愛しあっていた。しかしリンダは親の借金を背負っており、そのためポルックの息子イワンの求婚を拒めない状況にあった。リンダには一緒に駆け落ちしてくれと言われるが、父親と弟を捨てられないという理由で断り、とうとう雨の夜、グリンフレークを飛び出してしまう。
このちょっと前に、グリンフレークは灰色の雨に襲われて住民は石化し、主人公達が「天使の涙」で石化を解くというエピソードがある。
ぺぺは石化の度合いが強く、石化が解けても麻痺して動けなかったが、それも主人公達が手に入れた薬で回復する。このぺぺの快気祝いのパーティーで大雨が降る。
「灰色の雨だ!」と勘違いして住民達が逃げ出すのは、中々の演出である。その雨の中で、ぺぺは街を飛び出す。
「ぺぺのバカ…」と雨の中立ち尽くすリンダ。おお〜昼ドラだ〜!

ぺぺが街を飛び出した後、リンダはイワンと結婚する。
イワンは困っている人を見ると自分が助けなければならないと激しく思い込む質で、その思いが一時期メイドのカヤに向いていた時期があり、イワンの気持ちがリンダに向いてカヤは嫉妬している。
カヤという人物、ドラクエ7だけでなく、ドラクエ史上屈指の個性を持つ人物である。パーティーの最中に話しかけると、「そろそろ毒が効いてくる頃ですね」と言ったりする。その時一瞬音楽が止まるのでびっくりする。もちろん毒なんか盛られていない。
リンダはイワンとの間にエペという子を生むが、跡を継いだハーブ園をブドウ園に変えて経営に失敗、イワンはリンダに辛く当たり、リンダは街を飛び出す。
リンダが向かったのはぺぺのところだった。ぺぺはハーブ園を経営し、それが成功しハーブ園の周辺はメモリアリーフと呼ばれる街になっていた。そしてリンダという名前の孤児を養女にして育てていた。ぺぺは社会的に成功したが、お人好しにもハーブの栽培方法を人に教えるなどして、ハーブ園の全盛期は過ぎていた。
リンダはメモリアリーフに向かった。しかしぺぺに会わなかった。メモリアリーフが見下ろせる丘に、ギュイオンヌ修道院という修道院があり、リンダはそこに入って修道女になる。
ギュイオンヌ修道院への丘を登る途中に洞窟があり、そこにリンダの手紙がある。「夫と子供を捨てて逃げた私を、あなたは軽蔑するでしょうね。だからあなたには会えません。せめて遠くから見守ることだけはお許し下さい」という手紙がある。リンダは買い出しなどで丘を降りてメモリアリーフを通る時も、ぺぺを遠目に見ながらも、ぺぺに声をかけることはなかった。そしてまもなくリンダは病気になり死んでしまう。
リンダの墓は修道院メモリアリーフが見えるところに建てられた。現代に戻ると、リンダとぺぺの墓が並んでいる。現代のメモリアリーフでは、ぺぺの、というよりぺぺの養女のリンダの子孫がいるが、この人物があまり感心できなくて、毎日何人か雇っているメイドと追いかけっこをして暮らしている。え?どの口が言うって?そんなことないでしょwww。
過去に戻りリンダの死を伝えると、ぺぺは墓を確かめるために主人公達についてくる。途中休憩のために小屋に入り、ぺぺは一人になるためにメモリアリーフを作ったと述懐する。その決断に後悔はないと。
そして修道院に着き、シスターの一人に話すと、「リンダという者はいません!帰ってください!」と言われてしまう。もちろんぺぺを確認してそう言うのである。
シスターの態度に激高したぺぺは、「案内なんかしてもらわなくていい!自分で探す!」と押し入ってリンダの墓を見つける。最初は「リンダなんて珍しい名前じゃない」と、かつての恋人だと認めようとしない。しかしさっきのシスターが「いいえ、その墓は間違いなくあなたの幼なじみのリンダの墓です」と言い、ペペはリンダの死を認めざるを得なくなる。ぺぺはリンダの墓に向かって号泣して謝る。
「リンダの死はペペさんにはちゃんと伝えるつもりでした。でもリンダが死んだら、ペペさんが憎くなって、いじわるしたくなったんです」とシスターは言う。
このシスターはリンダの分身であり、リンダの本音である。

一方グリンフレークでは、経営に失敗して破産したイワンのブドウ園は、カサドールという男のものになる。イワンはぺぺの弟のポルタに紹介されて、今はカサドールのものなったハーブ園で働く。息子のエペも一緒に働くが、イワンは仕事に身が入らない。常に飲んだくれてるが、時々酒を飲む手を止めて、リンダに辛く当たった過去を後悔したりする。
そしてカヤは、カサドールの妻の座に収まっている。
カサドールは病気で常にベッドに伏せており、カヤの手料理だけが唯一の楽しみだった。ところがカサドールの病気は、カヤが料理に毒を盛っていたからだった。カヤはカサドールを殺して、ハーブ園をイワンの手に取り戻そうとしたのである。お〜火曜サスペンス劇場だー!www。
やがてそのことが明るみに出る。するとイワンは「全て自分が指示したことだ」と言い、カヤを連れてグリンフレークを出て行く。

グリンフレークメモリアリーフの物語は、ペペとイワンの勝負の物語である。
社会的には、ペペは成功者で、イワンは失敗しているが、自分にとって大事な女性を幸せにするという点では、イワンの勝ちである。ペペはメモリアリーフで成功しても時々不機嫌になったそうである。リンダへの未練がそうさせたのであろう。ちなみに現代のペペの(血のつながらない)子孫は、生涯独身を通したペペの本音である。
現代では、グリンフレークの街は完全になくなっており、メモリアリーフだけが栄えている。
メモリアリーフから東は行くと、橋があってリートルード地方に出る。リートルード地方はかつて天才建築家バロックがいて、バロックは自分にエイミという娘が生まれているのを知らず、そのことを悔い、娘に自分が父親だと打ち明けない。主人公達が過去に行った時は、そこで物語が終わっている。
しかしペペやイワン達の物語が終わると、バロックはその後、エイミと一緒に暮らしたことがわかる。男が女を救い、娘は父親と再会するのである。

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