坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。サブブログ「人の言うことを聞くべからず」+では古代史、神話中心にやってます。 NOTEでもブログやってます。「坂本晶の『後悔するべからず』 https://note.com/sakamotoakiraxyz他にyoutubeで「坂本晶のチャンネル」やってます。

アイルランドという国

アイルランドケルト人の国です。イングランドのヘンリー2世の時にイギリスに併合されて、それからイギリスの支配を受けることになりました。
キリスト教は5世紀に、聖パトリキウスによってもたらされました。英語では聖パトリックと言いますね。
パトリキウスは布教にあたり、在地のドルイド教を排斥するのではなく、ドルイド教キリスト教が融和するように務めました。その際ドルイド教の神々は「妖精」ということになりました。こうしてアイルランドは現代まで続くファンタジーの源流のひとつになりました。
アイルランドで有名なのはアイルランド文学ですね。アイルランド文学の最初はジョナサン・スウィフトでしょう。『ガリバー旅行記』で有名ですね。1726年の発行ですから18世紀です。
ガリバー旅行記』は風刺小説で、最初にガリバーが訪れる小人の国リリパットはブルフスキュ国と交戦状態にありますが、このふたつの国はフランスとイギリスを表しているそうです。そもそもの争いの原因が「卵の殻は小さい方から剥くか大きい方から剥くか」だそうで、「小さい方」はイギリス国教会、「大きい方」はカトリック教会を表しているそうです。
ガリバー旅行記』でガリバーは4つの国を訪れますが、日本ではラピュタが有名ですね。ラピュタの全市民は科学者で、常に科学のことを考えて上の空でいます。スウィフトは科学における啓蒙主義運動を批判していて、科学は人類に貢献しなければならないと思っていたそうです。
当時アイルランドにはじゃがいも飢饉というのがあり、じゃがいもが疫病にかかって不作になり、人口が2割激減するという事態になりました。このじゃがいも飢饉で多くのアイルランド人が国を離れましたが、その中にはケネディ大統領の祖先もいます。
スウィフトはじゃがいも飢饉について「胎児を塩漬けにして食べれば良い」と言ったそうです。スウィフトは皮肉屋なのかどうか、この非人道的な発言により評判を悪くしています。
またマーガレット・ミッチェルの『風と共に去りぬ』には「タラ農園」が出てきますが、これはイングランドに支配される前、アイルランド上王達が君臨していたタラの丘から摂られた名前です。ミッチェルの父親はアイルランド系でした。
アイルランド文学といったら、その最高峰はジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』ですね。マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』と並ぶ、20世紀を代表する傑作とされています。また『ユリシーズ』はヨーロッパの古典『オデッセイア』のパロディで、英雄オデュッセウスをしがない広告取りブルームに、息子テレマコスを文学青年スティーブンに、貞淑な妻ペネロペを浮気妻モリーに、10数年の地中海の冒険を1日のダブリンの徘徊に置き換えたものです。
ストーリーというものはほとんどなくて、英語のだじゃれが連発する内容となっています。作者のジョイスはまとまりのないアイルランド人に愛想を尽かしてダブリンから離れ、故郷の言葉ゲール語も使わず、英語で小説を書きました。そしてだじゃれ満載の『ユリシーズ』で英語を破壊したと言います。もっともこれは司馬遼太郎の『愛蘭土紀行』に書いてあったことで、私は『ユリシーズ』を読んだことはないです。司馬遼も『ユリシーズ』を読んだことはなく、文学研究者の言を借りて『ユリシーズ』について書いたそうです。
音楽ではEnyaがいますね。非常に独特な雰囲気の曲を作る作曲家です。

 

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