坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。サブブログ「人の言うことを聞くべからず」+では古代史、神話中心にやってます。 NOTEでもブログやってます。「坂本晶の『後悔するべからず』 https://note.com/sakamotoakiraxyz他にyoutubeで「坂本晶のチャンネル」やってます。

自己肯定感がない人間は効率的な仕事ができない。

橋下氏のこの記事について。

president.jp

内容は全体的に賛成なのだが、ただ一点、カルロス・ゴーン氏を逃がした件についての批判は厳しすぎる。
検察のゴーン氏の監視は完璧だったのであり、なぜ逃げられたのか、検察にもわかっていないところも多いだろう。法務省が説明責任を果たすのは当然だが、それはすぐにできることではない。

ある工場に勤めていた時のこと。
同僚が指を怪我して、針で縫う手術をしたことがあった。
聞くところによると、彼はゴミを片付けるためにゴミをビニールヒモで結んだ後、ヒモを切るためにカッターを使ったのだが、その姿勢はビニールヒモを手前に持ってきて、自分の方にカッターを向けてヒモを切ろうとしたらしい。
私も工場労働ではキツい目に散々遭っているが、危険を伴う業務ではそれなりに身を処してきたので、大怪我はしたことがない。身体への危険への感覚というのは、虐待的行為によって人間から奪える最後のものだと思っている。
彼が人生でどのような被害を受けてきたかというのはプライバシーに関わるので想像するのは控えるが、幸福な人生ではなかっただろうと言うくらいは書いてもいいだろう。その工場では、怪我した件で彼に始末書を書かせていた。逆効果だろう。

ある工場では、私と同じ仕事をしている他班の同僚がいたが(つまり交替制勤務)、彼の作業に使用する箱が無くなった時に、別の場所から手で箱を運んでいた。
箱はパレットに積んであり、彼以外はリフトでパレットごと運んでいた。手で箱を持ってきても、5、6箱しか持ってこれず、不合理である。注意されても、この癖は治らなかった。
間もなく部署の増産計画が実行され、それからしばらくして彼は工場を辞めた。生産数の増加についていけなかったのではないかと、私は想像するだけだった。
しかし、私は彼の気持ちがわかるのである。
営業の仕事を辞めて製造業の世界に入ったのは小説を書くための取り敢えずの仕事だったからで、それが製造業だったのも「体を動かせば何とかなる」と思ったからである。
体を動かすのが得意だったからではない。30歳になったばかりで、自分の行動の効率の悪さを体力で補おうと思っていたのである。
製造業はキツい所が多かった。
しかしそういう中でも何度か行き過ぎた私への作業の集中を修正されることがあり、慌てて動き回ろうとする癖があった私の行動が修正され、また私に仕事を修正させようとする動きがあってそれに対抗したりするうちに、私の中で見えてくるものがあった。
それは、私に仕事を集中させようとする作業員は、決して効率的な作業をしていない。生産性と安全性、品質異常を出さないための品質保全を総合した「最適解」に達している者はほとんどいない。みんな私に仕事を集中させて、失敗するのは私が「最適解」に達していないからだと思わせようとしているだけだということに徐々に気づいていった。
私が自分が効率の悪い人間だと思うようになったのは、私がそのように育てられたからである。特に母親は、私によく「要領が悪い」と言った。
「要領が悪い」と言って要領が良くならないのは、人格が否定されているからである。何度注意しても、人格を否定しているうちはその人の行動は改善できない。
一例を挙げよう。母親はよく兄と比較して私を批判した。その中で「兄は掃除をさせると見えないところで手を抜く」というのがあった。手を抜かない私は要領が悪いと言ったのである。
もちろんこれは、分別のある大人の私に言ったのではない。子供の頃にそう言ったのである。
私が母親の言う通りにできなかったのは、「手を抜く」のは悪いことであり、その悪いことをしろと言ったからである。
結果私は手を抜かずに、がむしゃらに動き回ることで補おうとした。このしつけの仕方は許し難い悪意的なものである。
私は手で箱を運んでいた同僚を、私のように育てられて、私のように気付かなかった者だと思っている。私と彼の差はそれしかない。

工場の経験で言えば、生産性の向上は会社の生産計画によって行うのがベストで、交替制勤務で突出して高い生産数を出している班がある場合、それは「最適解」を出したからではなく、大抵は一人の人間に仕事を集中させたからである。

不作為の行為は加害行為である - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

のようなブラック企業は除く)
そういう状況が続くと、生産性と安全性と品質保全のために必要なデータや情報が上に上がっていかない。

私の擬装請負体験② - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

で見たように、型が設計図と実際の大きさが違うということが気づかれずに何年も放置されているということが起こるのである。そしてそれが

生産性向上のため、管理職は現場を無視していい。 - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

で述べたように、「日本の労働生産性は先進国間で50年間最低」と言われる原因になっている。全ての日本人が自己肯定感を持てる社会にならない限り、この負の連鎖は終わらないのである。

AKSがAKBやNGTの運営から撤退して、NGTも活動を再開した。
すっきりしないが、これでいいのだろう。すっきりしないのは正義が遂行されていないからだが、山口擁護派だけでは正義を遂行するのは不可能だし、NGTに犯行に関係したと思われるメンバーが何人かいるといっても、この一年近い活動停止期間はそれなりに彼女達への罰になっているし、山口ファンが時々言いがかりのような形でメンバーを攻撃するのがこれ以上続くのも気の毒である。指原莉乃がプロデュースするアイドルグループのメンバーに付きまとい行為をしたことで山口事件の犯行グループの一人が逮捕されたことで、多少溜飲を下げるとしよう。
それにしても、山口真帆の顔がなんか変わったなと思って写真や動画を見比べてわかったけど、痩せたんだね。そりゃあんなひどい目にあった後だもんな。かわいそうに。

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