坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。新ブログ「人の言うことを聞くべからず」+を開設しました。古代史、神話中心のブログです。

まどかの決断は自己犠牲ではない

アニメは見ずに、マンガですませた。ただ動画を見る限り、アニメとマンガはほぼ同じ内容なので、その点気にしないで書いていく。

 マンガを読んだことで、ひとつ発見があった。それは アニメのキャラの顔横に長すぎ ということである。

マンガの方は顔の形が均整がとれていて、みんなそれなりに美少女だが、アニメはみんな下膨れになり、つり目でないとたれ目になる。

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5人の少女が並ぶと、主人公のまどかが必然的にセンターにくる。

ピンクの髪でツインテールのまどかは、他の少女達より幼く見える。

そのため全体にロリコンの印象があり、一見二次元美少女オタクの喜びそうなアニメだが、これを見て、 これでオタク達は抜けるのだろうか? と思ってしまうのである。 

かつて、二次元美少女オタクのはてなブロガーが 「自分は二次元美少女に萌えている自分が好きなのである」 と言っていて、異様な説得力があったが、その通りなのは彼ら二次元オタクが勃起していないからである。

二次元オタクは禁欲的で、去勢的である。 マンガでは顔の均整をとって多少ロリコン性を排除したが、アニメという動く絵でロリコン性を求めると、性的対象から外れた絵になっていく。

 ロリコンオタクもずいぶん市民権を得たが、ロリコンオタクは本来、差別する必要がない。ロリコンに効く一番の薬は放置である。


 『まどかマギカ』は、男が消費する戦闘美少女、魔法少女ものの最後のヒット作になりそうである。

 『プリキュア』は女子が消費する作品であり、今でも戦闘美少女、魔法少女ものは作られているが、それがヒット作となるほどの勢いを持たない。 ロリコンオタクの人数が減ったとも思えないが、ロリコンオタクの発信力が衰え、ロリコンオタク以外を巻き込むだけの力を持たなくなったのだろう。 

「女子が戦っているのを見て、男子は萌える」という意味のことを、久美薫が『宮崎駿の時代』で言っていたが、私は萌えない。

 男が戦っている方がのめり込める。なぜ女に戦わせるのかと思ってしまう。

 しかしその私も、ラストはやはり感動した。文化というものは不健全なものを飲み込みながら、時に不健全なものから消費者を高次元に導いていく。そのひとつがこの作品である。


 しかしそれだけに、まどかを不幸で、救われないと思う意見には違和感を感じる。

神様でもなんでもいい。これまで希望を信じてきたみんなを泣かせたくない。最後まで笑顔でいてほしい。だからそれを邪魔するルールなんて…壊してやる!変えてやる!それがわたしの願い!さあ…叶えてよ!インキュベーター!!

 

私にはこれが、自己犠牲精神による言葉だとは思えなかった。 

より重い決断をする時に、自己犠牲精神とそれ以外を区別する基準は、怒りの有無である。

 不条理への怒りは、その怒りが本人の望みが実現されていないことからくる。 

そして不条理への怒りからくる決断は、一見どんなに不幸な決断に見えても本当は明るく、他の者が気の毒に思うほどには不幸ではないのである。

 まどかは、『風の谷のナウシカ』の原作マンガのナウシカの、直系の子孫である。

 ナウシカの世界では、人類は腐海のほとりにしか生きられず、腐海が大地を浄化した後の世界には生きられない。

 それまで人類を操ってきた墓所の主なら、人類を浄化後の世界で生きられるようにできる可能性があるが、ナウシカ墓所の主の支配を拒絶し、墓所を破壊する。

 残された人類には、絶滅の道しかない。

 これを人は暗い話だと言うが、私には充分明るい話だった。なぜなら隷従の拒絶は、命よりも大事だからである。

ちがう、いのちは闇の中のまたたく光だ!!すべては闇から生まれ闇に帰る。お前達も闇に帰るが良い!!

 

自らを闇の中にあると規定しても隷従を受け入れない、ナウシカの意思は非常に明るい。

 『叛逆の物語』では、確かにまどかは、円環の理としても自分に迷いを感じている。

そこでほむらは悪魔となって、まどかを円環の理から引き剥がす。

 しかしまどかは、円環の理だった自分を思い出そうとする。それは円環の理であることが、まどかの本当の望みだからである。

ほむらは再びまどかの円環の理としての記憶を忘れさせるが、まどかが記憶を取り戻すのを避けられないと悟り、インキュベーターに八つ当たりする。 

意思ある者にとって、迷いは一時的なものなのである。

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