ただし、国民一斉検査だけで感染が抑制されるわけではない。中国が感染抑制に成功しているのは、民主国家では許されない徹底した国民監視と人権無視の隔離を断行しているからだ。単純に検査数を増やせばいいという話ではない。戦略・目的が重要。安心を得るための検査は増やせばいい。
— 橋下徹 (@hashimoto_lo) 2021年1月7日
橋下氏はなんでこんなことを言っているのだろう?
橋下氏の特徴は、何かを変えようとする時は自分が矢面に立つが、逆風になると自分は隠れて周辺の人物にリスクを負わせることである。わかりやすい例が「維新は失敗だった」と言って新党を結成しようとした時である。もっともあの時橋下氏がどんな不利な状況に立たされていたかというとよくわからず、わかっているのは橋下氏のツイッターのフォロワーがなぜか4万飛んだことと、
改憲から遠ざかれば自衛隊がクーデターを起こす - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」
を書いた後になぜか橋下氏の新党結成の話が立ち消えになったことである。だから橋下氏の言動が言語明瞭意味不明の場合、橋下氏の周辺を見ればその意図が見えてくる。
罰則について賛否が分かれると報道されることが多いが、毎日新聞がまとめた表を見ると、共産党以外の党は、何らかの形の罰則(行政罰を含む)は容認しているのではないか。与野党各党で協議して実効性のある法改正をスピード感をもって実現したい。もちろん十分な「補償」が不可欠だ。 pic.twitter.com/ECgw6RV6x5
— 玉木雄一郎(国民民主党代表) (@tamakiyuichiro) 2021年1月6日
これである。既に一都三県に緊急事態宣言が出された中で、コロナの危機意識を高めて特措法改正が成立した場合の手柄を大きくし、成立しなければ政府の責任にして夏の間コロナ対策で無策だったことを帳消しにしようという腹である。
しかしならば、なぜ自分が先頭を切らない?
コロナ危機の中でも特措法の強化による人権弾圧への警戒心が強く、実際問題としてコロナ患者を受け入れていない病院の受け入れ体制を整えれば、病床にはまだまだ余裕があるという意見もある。
時短営業要請に応じない飲食店も公表へ 政令改正へ調整(朝日新聞デジタル)#Yahooニュースhttps://t.co/xFbr1ZBigO
— 橋下徹 (@hashimoto_lo) 2021年1月5日
→十分な補償・給付金なく店名を公表し「店を閉めろ!!」コールを誘発した場合には、営業の自由の侵害の可能性がある。これをやるならコロナ対応を拒否した病院名も公表すべきだ。
これで橋下氏が特措法違反に罰則を盛り込みたいと思っているのは明らかである。しかしコロナ対応を拒否した病院がコロナ患者を受け入れれば当面の危機は回避されるので、橋下氏の言動は矛盾している。
となれば特措法違反に罰則を盛り込めなかった場合に、病院の受け入れ体制を整備したことだけでも手柄にしたいというのが橋下氏の思惑だろう。そもそも夏の間にコロナ対策でのんびり昼寝していた橋下氏が、欧米に比べてはるかに低い感染者数と死者数で本気で罰則が必要だと思っているはずがない。
やはり都構想の失敗も含めて、コロナ対策の無策ぶりを帳消しにしたいという思惑だと考えるべきである。
しかし橋下氏に関してはなお不審な点がある。失策続きの橋下氏だが、ツイッターをみればリツイートや「いいね」の数は十分にある。
日本の悪いところで、失敗している上位者を下位者が支持し続けることで失敗した上位者を持ち上げ、支持した下位者を無謬にしようとする力学が作用している。この力学がある限り、政界復帰は別として橋下氏が逆境に立たされることはない。つまり橋下氏に逆風は吹いていないのである。
それなのに、橋下氏の態度には焦りが感じられる。
なぜだろう?ツイッターを見ていくとこんなツイートが、
クローズアップ:学長選考、投票廃止 揺らぐ大学自治 教職員の声、置き去り - 毎日新聞
— 橋下徹 (@hashimoto_lo) 2021年1月7日
➡︎教職員が組織の人事権を握るというのは、労働組合が人事権を握るのと同じ。今の組織運営ではあり得ないこと。経営学の学者はこういうときにこそ声を上げよ! https://t.co/wcl2ycaoRe
は?大学の教職員の人事権と労働組合はおろか、経営学とも全く関係ないよ?
これは会社(この場合は学校法人)が誰のものかという問題と関わってくる。
グローバリズム全盛の頃には、会社が株主のものだというのは正しかった。しかしそうでない時代もあったのである。
二次大戦終了からグローバリズムの前まで、会社と労働組合の対立が社会構造の中核をなしていた時代もあった。人によって見解の違いもあるだろうが、私は労働組合は会社を所有していた訳ではないと思っている。しかし組合活動次第では会社の人事に組合が介入する可能性も十分にある。会社の人事権は神聖不可侵ではなく、また経営学の理論にもならない。
大学の人事権は利権が問題であって経済学者、経営学者が大学の利権について語ることはあっても、利権から理論を引き出すことはほとんどあり得ない。利権は個別的過ぎて理論化するのはほとんど不可能だからである。
だから経営学者に限らず、社会学者も政治学者も歴史学者もジャーナリストも利権の問題について語ることができるし、経営学者とジャーナリストの見解に差が生まれることはない。橋下氏の詭弁の真骨頂である。
しかしこれでようやく尻尾をつかんだ。橋下氏は解体しかけている連合などを問題視してこんなことを言うはずがない。今問題視する必然性も詭弁を使う必要性もない。で私が派遣の組合の有無を格付けの条件にしろと世界に働きかけたことへの反応である。つまり橋下氏は私を知っており、派遣社員に法がまともに適用されていない問題に蓋をしたくて、組合運動が起こるのを押さえ込みたいのである。橋下氏が私を知っているとはなんとなく感じていたが、これでようやく有力な傍証ができた。
全く馬鹿馬鹿しい。経営学のことなど知りもしないのに、こんな詭弁で世界中が日本企業への格付けを止めたりするはずがないだろう。現場のマネジメントが弱く、競争力の低下を抑えられない日本企業が終身雇用支持者の橋下氏の意見に従ったって経営が悪化するだけである。
中国 北京隣接省の都市 1000万人余自宅待機 コロナ感染者増で | 新型コロナウイルス | NHKニュース
— 橋下徹 (@hashimoto_lo) 2021年1月9日
➡︎PCR検査をどんどん増やして無症状者を見つけよ!というのは、こんな方法。いつでも誰でもどこでもの検査とは似ても似つかない。こんな方法は民主国家日本では無理。 https://t.co/61VAFCSjCC
と言っているが、
そう。感染抑制のために検査をするなら、いつでも誰でもどこでもの単純な数量増ではなく、強制的一斉検査。ただし現実的には国民全員ではなくハイリスク施設・感染震源地などからやるべきだ。国民は強制を受け入れてくれるか。政治はやるべきだ。そのための法的根拠を作るのが政治だ。 https://t.co/AkeLhw2Loa
— 橋下徹 (@hashimoto_lo) 2021年1月6日
と3日前には強制一斉検査を主張していた。危機意識を高めるために一部の地域でも強制一斉検査をしたかったようだが、世論形成が難しいと判断して断念したらしい。
もっともコロナ患者を受け入れ拒否する病院は問題だし、この対策は通常国会でもしていけばいいだろう。しかしそれよりもっと有効な提案をしたい。
それは新型コロナを指定感染症2類から外すことである。コロナといえど風邪の一種に過ぎず、インフルエンザと比べても致死率の低い感染症である。そもそも欧米と比べて桁違いに感染者数、死者数が低い。新型コロナを指定感染症2類から外せば病床の開きも増え、春まで医療崩壊を起こすことなく過ごすことができる。特措法の改正は通常国会を通過する見透しはまだ立っていないが、新型コロナを指定感染症から外すのは内閣の判断でできる。特措法に病院に患者の受け入れを要求できるように改正するのはあくまで今後の感染症対策に必要だとして支持する。
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