坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。サブブログ「人の言うことを聞くべからず」+では古代史、神話中心にやってます。 NOTEでもブログやってます。「坂本晶の『後悔するべからず』 https://note.com/sakamotoakiraxyz他にyoutubeで「坂本晶のチャンネル」やってます。

私の恥ずかしい話

もう10年以上前の話になる。
そこでも私は派遣で、ある工場で働いていた。そこで親しくなったのがMだった。私が30くらいで、Mは当時、確か26くらいだったと思う。
Mは気さくで人懐っこい性格で、何かというと「彼女が欲しい」と言っていた。
ある時Nは「あの子がいい」と言った。私が見てみると、その女性は怪訝そうな目をこちらに向けた。
(あまりいい印象じゃないな)
んと私は思った。
それからどういう経緯だったか、詳しいことは忘れたが、結論からいえば、Nはその女性にフラれた。
「ちょっと見ただけでああいう目で見るってのはさ、いい恋愛してないんだよ」
今ならこんな言い方は絶対にしないが、当時は私も世間一般の価値観に染まっていて、このようにNに説明してしまっていた。

それからしばらくして、Mに彼女ができた。
30過ぎの女性だった。一度私とMとその女性の三人で食事をした。
その女性は、私の前でNの髪を撫でたり、手を擦ったりしていた。

カップルが人前でイチャイチャすることについて~バーチャルとリアルは愛し合えるか? - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

を書いた私でも、当時眼の前でカップルがいちゃつくことに寛容だった訳ではない。
かといって目くじらを立てたのでもなかった。ただ思ったのは、
(この人結婚を焦ってるのかな?)
と思っただけだった。

Mはよく私に恋愛相談をしてきた。
今まで人から相談を持ちかけられたことなどなかった。その時私はどう思っていただろう?
今では決してそうは思わないが、そもそも私は、人に相談するのは愚痴をいうだけでほとんど無駄なことだと思っていた。だから当時から、人に相談されないことなど何とも思っていないが、それを寂しく感じる時はあった。そのため初めてのことに調子に乗っていたかもしれない。
何をどう相談されたかという具体的なことは思い出せない。なんとなく覚えているのは、Mに対して否定的なことを言っていたということである。「そんなんじゃダメだよ」というようなことも言っていた。
続いて思い出してきたのは、結婚についての相談もされていたということである。だから相談を受けていたのは、よくある結婚についての迷いである。先に述べたように、彼女は結婚を焦っているというのが私の考えだから、それを前提にしたアドバイスはしていた。だから端的に言えば、「もっと男らしくしろ」ということを言っていたのだろう。
「あーいいや、自分の考えでやるわ」とそのうちMは言った。私は面白くないと思っただけだった。

そのうち、Mと私の間に上下関係ができているのに気づいた。
ファミレスで、私とNともう一人の同僚と話をしていた時のこと。
Mは私のとなり、奥の席に座っていたが、Mがトイレに行って戻ってきた時、Mはとなりのテーブルに行き、ソファを跨いで私のとなりに戻ってこようとした。
「そんなことしなくても席立つよ。俺いじめてるみたいじゃん」
私にとって軽い驚きだった。しかしそれでMとの関係を見直そうと思ったのではない。

その工場には、私も気になってる女性がいた。
しかし部署が違うこともあってか、なかなか会えない。意気地のないことに、声をかけられずにその工場での就業は期間満了となり、別の工場に移転になってしまった。
(しかしMがいる)
私はMを通じてその女性とつながろうと考え、
Mに話した。
「OK、任しといて」
Mは言ったが、その後しばらく連絡がない。
(安請け合いしてやらないつもりだな)
「その件はどうなっているか」とMにメールを送ったが、Mは返事をはぐらかすばかりだった。
ある時、Mは追求されることに反発してきた。なんと言ってきたかは覚えていないが、要するに私とその女性をつなぐ件について断りを入れてきたということだ。Mは彼女と一緒にドライブをしていて、その途中でメールを送ってきたとのことだった。
(そうか、彼女と一緒か)
その時何と返信したか、思い出そうとしているが思い出せない。
「だからお前は結婚したいと思う彼女の気持ちを汲むこと彼女できないんだよ」
という意味だっただろうか。要するに私はMと彼女の仲を裂こうとしたのである。それももっとクリティカルにMと彼女の仲を裂く言葉を使ったはずである。
しばらくして、派遣会社の営業担当から、Mが他県に行ったという話を聞いた。

この話は、後悔しないことを信条に生きている私の数少ない、後悔した話である。
Mは私と女性の仲介をしないのではなくできない人間なのであり、それができないからといって彼女との仲を引き裂かれる理由にはならない。
また彼女が結婚を焦ってるからといって、私のいう通りにしなければならない理由にはならない。あくまでMと彼女の問題であり、私が指摘した問題以外の点がMと彼女の関係を保つ可能性だって十分あったのである。
私は自分に人間と人間関係を壊す能力があることは学生時代から気づいていて、30前までに不完全ながらも何度かその能力を行使していた。しかしそれは自己防衛のためであり、他人のプライベートに介入して自分の能力を使ったのは初めてのことだった。
(この能力は無闇に使ってはならない。自己防衛のためにも、必要かどうか十分に見極めないと)
この時はそう思ったが、すぐに

私の擬装請負体験① - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

で述べた一連の事件に巻き込まれて、自分の能力をフルに活用することになった。

今に至るまで、Mには謝罪していない。

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