坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。サブブログ「人の言うことを聞くべからず」+では古代史、神話中心にやってます。 NOTEでもブログやってます。「坂本晶の『後悔するべからず』 https://note.com/sakamotoakiraxyz他にyoutubeで「坂本晶のチャンネル」やってます。

日本型ファンタジーゲームの誕生⑧~ゼルダの伝説 ティアーズ・オブ・ザ・キングダム

『ティアーズ・オブ・ザ・キングダム(以下ティアキン)』を見ると、どうやら今後の『ゼルダの伝説』シリーズの世界観は、『ファイナルファンタジー』に近づいていくらしい。
ファイナルファンタジー』は、剣と魔法にドラゴンなどの魔物が登場する中に、フツーに現代文明的、未来的な機械や兵器、風景を登場させる。
『ティアキン』ゾナウ文明という、神々の指紋』のような超古代文明の機材を用い、祠をクリアしたり兵器を作ったりする。
その機械が非常に現代的で、しかもプレイヤーの想像力次第で、多種多様な兵器を開発することができる。おかげで海外では、ユニークな兵器が次々と登場することにより、「厄災ガノン」ならぬ「厄災リンク」としてハイラル全土の魔物を恐怖のどん底に叩き落としている例もあるとのこと。
しかしこのおかげで、元々のケルティックな雰囲気が薄れてしまっているのはやむを得ない。
それでも『ティアキン』が力強いのは、ゾナウ文明の印象の強烈さと、主人公リンクの存在感の強さにある。
何しろ『ブレス・オブ・ザ・ワイルド(以下ブレワイ』以降のリンクはほとんどスパイダーマンで、「俺に登れない壁はない」と言わんばかりにどんな壁もよじ登り、男の手料理でどんなケガからも復活し、暑さも寒さも凌いでしまう。まさに「ブレス・オブ・ザ・ワイルド」。
ゾナウ文明の機材の数々、これは『Minecraft』から着想を得たのだろう。
Minecraft』のように自由に創作をする楽しさを感じる。それが『ティアキン』の醍醐味のひとつだろう。おかげで『ティアキン』は発売3日で1000万本以上売れ、「最も早く売れた任天堂ゲーム」としてギネス世界記録に認定された。2023年4月~6月のGDP速報値で、衣服や娯楽商品の「半耐久材」が前期比2. 8%増となったのは、『ティアキン』の爆発的ヒットが原因ではないかと言われている。

冒頭、リンクとゼルダ姫はハイラル城の地下深くへと降りていく。ハイラル城の地下で瘴気が発生し、その原因を調査するためである。そしてリンクとゼルダ姫は、城の地下でゾナウ文明の遺跡を発見する。さらに奥には、魔王ガノンドロフが謎の右手に封印されていた……………………なるほど、『ブレワイ』以降は「厄災ガノン」と魔王ガノンドロフは別の存在なのね。
ガノンドロフは瘴気を放ち、リンクがマスターソードで防ぐも、マスターソードは朽ち、リンクは体力を大幅に奪われ、リンクの右腕も蝕まれる。
ガノンドロフハイラル城を空高く持ち上げ、その振動で地割れが起こり、リンクとゼルダは落下。リンクはゼルダの手を掴もうとするが届かず、ゼルダは突然の輝きの中に吸い込まれ、リンクは謎の右手に引き上げられる。
次にリンクが目を覚ましたのは空島で、瘴気に蝕まれた右腕の代わりに謎の右手がついていた。
右手の主は、ハイラルの初代国王ラウル。ゾナウ文明を作ったゾナウ族である。
リンクは空島でウルトラハンド、トーレルーフ、モドレコ、それにスクラビルドの能力を身につけてハイラルの大地に降りる。そして異変の調査とゼルダの捜索のために各地を巡る。
その過程で、各地でゼルダ姫の姿を見るが、ゼルダ姫は確保できない。なぜかゼルダ姫は、問題の起こっている地域に現れる。
道中、リト族のチューリ、ゴロン族のユン坊、ゾーラ族のシド、ゲルド族のルージュが秘石の賢者として覚醒し、彼らの力を借りて冒険を進める。そして初代国王ラウルの姉、ミネルの魂も賢者として、リンクに協力することになる。
一方ゼルダは、秘石と共に、建国時のハイラルへとタイムリープしていた。
ゼルダはラウルと王妃ソニア、ミネルと共に過ごし、秘石の使い方を学ぶ。しかし100年に一度生まれるゲルド族の王、ガノンドロフがソニアから秘石を奪い、魔王へと変貌する。
ラウルはゼルダとミネル、他四人の賢者と共にガノンドロフと戦うが、ラウルはガノンドロフを倒せないと悟り、自らを犠牲にしてガノンドロフを封印した。
ゼルダは未来でガノンドロフが復活し、マスターソードが破壊されるのを知っているため、4賢者に未来のリンクへの協力を要請、4賢者はそれぞれ、自分の子孫に賢者としてリンクに協力させることを約束する。
全てをやり終えたゼルダに、未来から朽ちたマスターソードが届く。
秘石には、悠久の時を生きられるが、その代わり自我を失う禁術が存在する。
ゼルダは自分がこの時代にやってきた意味を悟り、秘石を飲み込み、白龍へと変身、己の力をマスターソードに注いで剣を修復し続けた。
現代に残る、ゼルダの記憶から真相を知ったリンクは、白龍となったゼルダからマスターソードを受け取る。
リンクは五人の賢者と共に、ガノンドロフに戦いを挑み勝利するが、ガノンドロフは秘石を飲み込んで黒龍に変化する。
リンクは白龍ゼルダに乗り、空中戦でガノンドロフを倒す。
リンクの右腕は元通りになる。ラウルとしては、ガノンドロフは自分の手で倒さなければ気が済まなかったのだろう。
そしてゼルダも、白龍から元の姿に戻る。
ゼルダと共に落ちるリンクは、今度こそゼルダの手を掴む。そして湖に落下し、ゼルダの救出に成功する。
ミネルは仲間に別れを告げ、リンクと四人の賢者は、ゼルダ姫を支えることを誓う。

前回の『ブレワイ』同様、基本ストーリー以外にもやることは多くあり、またそれをやらなくてもクリア可能なシステムになっている。もっともハートの数を増やしたり、アイテムを手に入れたりできるので、本筋か寄り道か曖昧なところが『ティアキン』の特徴である。
そんな『ティアキン』に、「マヨイ」というモンスターが出てくる。
洞窟の中の、大抵本来の目的でない脇道のところに「マヨイ」はいて、倒すと「マヨイの落とし物」を落とす。
この「マヨイの落とし物」をコルテンというキャラに渡すと、渡す数に応じてアイテムをくれるのだが、140個全ての「マヨイの落とし物」を渡すと、コルテンはサトリになる。
「マヨイ」がサトリへの道を開く、だから迷い、寄り道をしなさいということである。

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