坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。サブブログ「人の言うことを聞くべからず」+では古代史、神話中心にやってます。 NOTEでもブログやってます。「坂本晶の『後悔するべからず』 https://note.com/sakamotoakiraxyz他にyoutubeで「坂本晶のチャンネル」やってます。

改憲から遠ざかれば自衛隊がクーデターを起こす

去年、橋下徹氏が『政権奪取論』で、「維新は失敗だった」と述べて以降小沢一郎氏との新党結成の話が盛んになっている。
橋下氏周辺の動きを見てると、私が日本型ファンタジーと呼んでいる作品群に登場するマキャベリスト達と重なって見える。
特に『東京喰種』のタタラと重なってくる。タタラは11区で「アオギリの樹」が騒動を起こすように指導したが、これは陽動作戦で狙いはコクリアに収監されている喰種を解放して戦力増強を図ることだった。
作戦は成功したが、11区のアジトは壊滅した。
橋下氏に感じるのは、その冷徹さである。
橋下氏は地域政党の「大阪維新の会」と国政政党の「日本維新の会」を分離し、日本維新の会を批判した。創立者に批判された「日本維新の会」は、立つ瀬が無くなった。
橋下氏の狙いは、議論はされていないが明確で、多くの人が口にしないが感じていることである。それは護憲派の分断である。

民進党の分裂による希望の党が一時的にでも改憲政党として成立したのは、橋下氏の功績だと私は思っている。
小池百合子氏は時流に乗って大勢力を作れれば小池氏はそれで良かったのだが、橋下氏は「踏み絵をさせるべき」と何度も訴えて希望の党改憲政党にした。
その後希望の党に所属した議員がまた護憲に転じて、護憲政党の国民民主党になったのは周知の通りである。しかし国民民主党はその後振るわず、代表の玉木雄一郎氏も自民との対立にこだわるべきではないとしたりまた対立路線に戻ったりと右往左往し、今では国民民主党の話題さえ聞かない。しかも国民民主党は、未だに党として選挙の洗礼を受けていない政党である。
護憲派は、数の上では変わらなかったかも知れないが、橋下氏は護憲派の弱体化に一応の成功を収めた。
問題は、それでいてなお護憲派の全体数が減らないことである。
そして明確に改憲を主張する「日本維新の会」では、護憲派を取り込むのに限界がある。そこで改憲派としての立場は変わらないにしろ、改憲の主張を抑え気味にした新党を設立することで、護憲派の取り込みを図ろうというのが橋下氏の狙いである。
日本維新の会」に批判される余地はあるにせよ、「失敗だった」とまで言って護憲派の取り込みを図る橋下氏、マキャベリズム全開である。

橋下氏の『政権奪取論』はまだ読んでる途中だが、ここで感想を述べよう。
まず、橋下氏の文章は分かりやすい。
頭を使って理解する必要が全くないほど説明が丁寧で、橋下氏の文章を読むと、私の文章がまだ分かりにくい書き方をしているとわかってくる。
それでいて、本当に理解させずに「理解した気にさせる」文章が混ざっている。
石原慎太郎氏の名前を出して、「石原さんは政策と理念の一致をあまり言わなかった。党として強くなるには『まずはは塊だ』」としながら、民進党の解体には「まとめる力に比べて幅がありすぎた」として前原誠司氏の民進党解体を評価する。「どの辺に均衡点があるの?」と思ってしまう。
その均衡点をこの本を読めばわかるという意味にも解釈できるが、橋下氏の本心はそうではないだろう。
日本の政治では護憲が建前で、改憲、いや自主憲法が本音である。護憲が本音でない以上、護憲の野党が政権を取ること自体が基本的にないのである。
橋下氏はそれを理解している数少ない人物でありながら、それを誤魔化そうとしている。だから旧民主党の3年間の政治を、「経験を積んだ」と評価しようとしている。政権から離れたら、野党は元に戻ってしまったのだが。
もっとも事の本質を説明しても人気を無くすだけで、あくまで政権を取るなら、こういう誤魔化し方も必要である。
また橋下氏は、共謀罪法案を批判した。

維新はなぜ共謀罪法案に賛成したのか - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

で見たように、共謀罪法案に賛成してたのに?まあ私も共謀罪法案には批判的だったので、批判してくれたことでよしとしよう。
橋下氏は、捜査機関の捜査権限の強化は必要だとする。その上で、
「捜査機関のあらゆる取り調べは可視化されるべきだし、弁護士の立ち会いも当然」とする。
なるほどなるほど、ん?弁護士?
あいつらただの詐欺師じゃん!!

詐欺師に権限を与えれば、それで利権を強化してくるのである。そうなればもっと不当なことが行われる。
ダメ、ゼッタイ、ハンターイ!!

「安倍政権は憲法改正国民投票で、国民からしっぺ返しをくらう。」

橋下徹氏が断言「安倍首相は国民から必ずしっぺ返しを食らう」 | 文春オンライン

で橋下氏は言うが、こういう言い方は良くない。
なぜなら、国民投票改憲を否決する自体が続けば、自衛隊がクーデターを起こす可能性が出てくるからである。
あり得ない?なんで?弁護士と官僚が堂々と国民の財産権を侵害しているのに?
もし自衛隊のクーデターが起こって出版業界の印税の横領を見逃す弁護士や役人を火炙りにしていったなら、私は拍手喝采つーか俺って死刑廃止論者じゃなかったっけ?www。
日本は未だに自衛隊を軍と認めないことで、自衛隊を不遇にしているのである。
そうでいて国による個人財産の横領を見逃して、利権構造を築いている。それなのに国民投票改憲が否決されるなんてことを言ったら、自衛隊のクーデターに大義名分を与えかねない。
そしてその時に、「民主主義を守れ!」と言っても無駄なのである。そんなことない?なんで?民主主義は個人の財産権を無視するためのものなの?

安倍政権は低所得者層の「復讐の代行者」 - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

で、「1~2年であらゆる権威が崩壊する」と述べたが、この時は自民が崩壊すると思っていた。
しかしそうではないと最近思い始めた。崩壊するのは護憲派である。
護憲は建前で、日本の善意を表象する。
その善意の化けの皮が剥がれて、あらゆる本音が剥き出しになった状態が「権威の崩壊」である。その本音は護憲的な建前によって正当化されないので、社会は根本から崩壊する。
だから護憲にすり寄らなくても、その時まで待てばいいのである。橋下氏の新党結成には反対しなくても、改憲を遅らせようとするのは反対である。

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