坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。サブブログ「人の言うことを聞くべからず」+では古代史、神話中心にやってます。 NOTEでもブログやってます。「坂本晶の『後悔するべからず』 https://note.com/sakamotoakiraxyz他にyoutubeで「坂本晶のチャンネル」やってます。

とつくにの少女

シーヴァは「せんせ」と二人で「外つ国」で暮らしている。

「せんせ」は外の者である。黒い、角の生えた怪物の姿をしている。シーヴァに触れるとシーヴァが呪われて、「せんせ」のような怪物になってしまうため触れないようにしている。

しかしある日、「黒の子」がシーヴァに触れてしまう。

「黒の子」は「せんせ」に似た姿をしているが、「せんせ」は元人間である。「黒の子」は「おかあさん」から生まれ、魂を探す役割を負いる身体が朽ちると、その身体を「おかあさん」に返し、「おかあさん」はまた新しい「黒の子」を生む。

しかし、「黒の子」に触れられても、シーヴァに呪いの徴候は見られない。

それでも「せんせ」はシーヴァに触れないようにしていたが、次第にシーヴァは呪いに影響されないのじゃないかと思い始める。

そんなある日、シーヴァはシーヴァを育てた「おばさん」に、人間の住む領域である「内つ国」に連れて行かれる。シーヴァはそこで人間の子として生活を送ろうとするが、「おばさん」は呪われてしまう。「おばさん」は「外つ国」で、シーヴァと「せんせ」と共に暮らすことになる。

しかし、「おばさん」はシーヴァとの思い出を次第に忘れていき、やがて木になって動かなくなる。

「黒の子」達は、「せんせ」を元人間ではなく、自分達と同じ「黒の子」ではないかと疑問を持つ。人間が呪いにかかれば、呪われた者は次第に全ての記憶をなくし木になるが、「せんせ」は人間だった頃の記憶はなくしても、それ以外の記憶はなくならないし、いつまで経っても木にならない。「黒の子」も記憶になくならないので、「黒の子」は「せんせ」を自分達と同じだと思った訳だ。

やがて、シーヴァが「内つ国」に連れ去られ、人々のために犠牲にされようとする。人々の魂を救済するために、シーヴァの命が必要だという訳だ。

そして衝撃の事実がわかってくる。「せんせ」はアルベルトという医者で、シーヴァはその娘だというのである。

また世界のあらましもわかってくる。はるか昔に父なる神と母なる神が争い、父なる神は母なる神からその身体を、母なる神も父なる神から身体を奪った。

外の者とは父の身体であり「肉体」、内の者とは母の身体であり「魂」である。父なる神は身体を取り戻すために外の者を呼び寄せ、「内つ国」に呪いを撒き散らしていた。

シーヴァは殺されそうになるが、すんでのところで王がシーヴァを逃がす。

シーヴァは「せんせ」のところに戻る。しかしシーヴァは、「せんせ」の娘ではなかった。

シーヴァは「せんせ」の姿を奪った元「黒の子」で、「せんせ」の記憶がシーヴァの姿を形作らせていた。

 

それを知った上で、「せんせ」はシーヴァと共に暮らす。

出会わぬことは幸せなのだ。出会うからこそ互いに不幸になり、苦しみが生まれてしまう。私達がそうであったように、これは世界の運命なのかもしれない。けれど、その不幸を受け入れて、ようやくのひとつなのかもしれない。それがーー呪いなのかもしれない、と

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