坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。サブブログ「人の言うことを聞くべからず」+では古代史、神話中心にやってます。 NOTEでもブログやってます。「坂本晶の『後悔するべからず』 https://note.com/sakamotoakiraxyz他にyoutubeで「坂本晶のチャンネル」やってます。

超人X

進撃の巨人』『アイアムアヒーロー』『亜人』『東京喰種』『テラフォーマーズ』といった作品は中心と周辺があり、周辺が殻を成しており、その殻を破るために中心に向かう。『進撃の巨人』のレイス家の地下礼拝堂、『アイアムアヒーロー』のサンシャイン60、『亜人』の埼玉県入間基地、『東京喰種』の24区の『隻眼』、『テラフォーマーズ』のアネックス1号がそれぞれの作品の中心である。
私はこの5作品を日本型ファンタジーと呼んできたがこの5作品は日本型ファンタジーの前期の型である。
日本型ファンタジーの後期の型は、1度殻の外に出てから中心に向かう構図となっている。殻の外から仲間を連れてきたり、殻の外を経験したりすることで、中心に向かうことができるようになるのである。
『食糧人類』『とつくにの少女』『宝石の国』『約束のネバーランド』が後期の型である。
私は全ての作品を見ている訳ではないが、この4作品を最後に中心と周辺の構造を持つ日本型ファンタジーの作品は見られなくなる。『鬼滅の刃』にも『呪術廻戦』にも、中心と周辺の構造はない。
日本型ファンタジーはその役割を終えたのである。

『東京喰種』の石田スイの次回作『超人X』は、まだまだ先の展開が見えない段階にある。
超人Xとは超人の中でも、ひとつの世界を滅ぼすほどの力を持った超人のことで、どの時代にも必ず一人は現れるという。
どちらかといえば落ちこぼれの部類だった主人公の黒原トキオが、4巻でその高い資質に目覚めるところで、超人Xの説明が入る。
トキオが超人Xなのか、それとも超人Xを倒す側なのか。
現状では判断ができない。

それにしても何?この極東アジアのように見えてそうでない地図は?

ヤマト県と言ってた時点で単純に日本のことではないと思ってたけどね。
大陸側にゲルダ連邦というのがあって、どうも中国かロシアが仮託されているようだけど、ここの大統領クィームというのも超人Xね。
主人公達の舞台が七州という九州みたいな島なんだけど、この隣の本州みたいな島が大東亜なの?それとも七州とこの島を併せて大東亜なの?それがよくわかんないんだけど。
しかも七州が日本らしい地名、人名なのに、この隣の島は国の名前が横文字。
アントランドという国が北の端にあって、この国が2か国くらい支配している。そして七州とアントランド圏の間の、大東亜?の中央部がゲルダ圏。日本の東海から中国地方までが中国に支配された感じ?七州は自治圏で統一政府はない感じ。
アントランドには80年前に英雄アンティティスというのがいて、アンティティスとヤマトモリの創設者ソラ・シルハが共同してクィームを破った。アンティティスもソラ・シルハも超人X。
英雄アンティティスはアントランドの第二王子で、酒と女に溺れていたが、超人大戦で覚醒したはいいものの、国王になっても淫蕩ぶりは治まることはなかったという。
なんか神話の荒ぶる神の話みたい。
設定が異世界なせいもあるが、過去にウエイトがある作品である。

こうして見ると、石田スイの『東京喰種』の思想がそのまま生きているというのがわかる。
アントランド圏やゲルダ圏はいわゆる西洋かぶれで、『テラフォーマーズ』の「コスモポリタン」つまり左派、進歩的文化人を表している。

その進歩的文化人の国の6、7割は中国に支配されている。
七州は「アオギリの樹」、つまり右派を表している。
ゲルダ圏を駆逐するのは七州、右派だというのが石田の主張である。
そして超人Xとは、「鬼滅の刃』の継国縁壱、『呪術廻戦』の五条悟である。今の日本人は強さを求めているのである。それも圧倒的な強さを。
それにしてもこの戦国時代感、統一政府がない。
これが「大東亜」なのだ。
大東亜は分裂し、混乱のうねりの中で統一を生み出していく。『超人X』はそういう物語なのである。

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