坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。サブブログ「人の言うことを聞くべからず」+では古代史、神話中心にやってます。 NOTEでもブログやってます。「坂本晶の『後悔するべからず』 https://note.com/sakamotoakiraxyz他にyoutubeで「坂本晶のチャンネル」やってます。

派遣の問題を解決するには30年かかる

私は前に勤めていた派遣の仕事で直接雇用を求める裁判を起こし、最高裁までいったところで上告棄却された状態にある。
この裁判についてマスコミにリークしようとしたことが派遣会社と派遣先にばれ、「コロナ禍によるリストラという名目で雇い止めにあった。
その後、派遣の問題について何人かと話をした。
自己啓発系の人とも話をした。派遣の問題については意見は一致したが、話をした結果、「これはダメだ」という結論に達せざるを得なかった。
自己啓発系の人達は、私の意欲をいかにすれば高められるかという話しかしないのである。
その人が派遣について何か語ってくれる訳ではない。何かをしてくれる訳ではない。ただ私にやることを進めるだけだ。
労働問題ならそれらしい相談すべきところがあるだろうと思うかもしれないが、労組や全労は正社員達の組合で、派遣に対し支配的な人々のための組合である。こういうところは表向き派遣に対し同情的でありながら、実際には非協力的で、うっかり信用するとコントロールされて支配下に置かれてしまう。
だから労組などには相談しないが、それにしても引っかかるのは自己啓発系の人ばかりである。
しかしこれでわかった。彼ら自己啓発系の人達には社会科学がないのである。特に歴史についての見解がない。
歴史が科学かといえば多いに疑問だが、歴史は学ぶべきことが多く、歴史からは法則が導き出せる。特に何か事を成すには、時代の流れを掴まなければならない。
歴史上の成功者は、エジソンにしろライト兄弟にしろ、全て時代の流れをつかんだ者である。
そういう派遣の問題を解決するための流れというものが全くないのである。
私が派遣社員として働いていた頃、何ヶ月かに一回、作業中に営業担当の人が職場に回ってきて、雇用契約書兼就業条件明示書を見せて署名と捺印を求められる。署名と捺印をすると書類は回収される。
雇用契約書は会社控しかないのである。本人控がない。
契約書類がない契約というものもある。しかしそういうのはよほど親しい間柄で成されるもので、契約書がないから問題が発生するというものではない(契約書がない場合、親しいといっても立場の上下がある場合もあり、紛争にならなくとも問題がない訳ではない)。最近はデジタル化の流れが日本のハンコ文化によって阻害されているのが問題になっているが、本人控を渡さないという時点で、日本のハンコ文化は、派遣に限れば衰退しているといっていい。
また就業条件の明示は書類にして派遣社員に渡すのが義務だというのが労働局の見解である。少なくとも2年前まではそうだったが、やはり派遣社員には就業条件明示書は渡されない。労働局に通報して立入調査が行われても、就業条件明示書が派遣社員に渡されることはない。つまり派遣会社と派遣先は労働局から注意を受けているが無視している。穿った見方をすれば裏で示し合わせている。或いは示し合わせていないかもしれないが、派遣社員が文句を言わない限りいくらでも無視できる。
そのことに対し不満の声も上がらない。その派遣会社では、派遣社員の更衣室は正社員とは別にあるが、ロッカーの鍵は渡されなかった。
ロッカーの鍵を持たされない環境で、「雇用契約書が渡されないのはおかしいだろう」と言おうものなら、どうなるか想像できる。そう言った者がハブにされ、ロッカーを荒らされる(貴重品はロッカーに入れないようにとは、派遣会社から説明を受けている)。
そんな状況で、同一業務に従事できる派遣可能期限の3年を超えても誰も直接雇用されることなく、派遣社員として同一業務で働き続けて、こういう問題について誰とも話すことなく、休みの日には何の気力も起こらず一日中寝ていることもあり、そんな毎日を送り続けるのが嫌で派遣先相手に裁判を起こした。しかし人とつるんで集団訴訟をしたり、労働争議を起こす気はなかった。
彼ら派遣社員が共に動いてくれるとは到底思えなかった。派遣社員はあまりに飼いならされすぎていた。彼らに自分達の権利に目覚めさせる言葉を、私は持っていなかった。私の派遣での権利の主張は私一人で完結するというのが私が決めたことだった。
派遣を雇い止めになるに当たり、さすがに仲間を求める努力は少しはしなければいけないと思った。私は派遣におけるもうひとつの不正をつかんでおり(問題が大きすぎるのでその不正の内容については述べない)、その証拠の書類を、同じ部署の四人の派遣の仲間に見せた。四人に見せるのが、私の気力の限界だった。
私も情のない方で、派遣社員の誰とも連絡先を交換していなかった。8年以上勤めて、派遣の仲間とは誰ともである。(正社員や派遣会社の営業担当とは連絡先の交換はある)そこでその証拠の書類と共に、私の携帯の番号をその四人に渡した。その四人の誰からも連絡はこなかった。不徳の致すところと言われても仕方ないかもしれない。

これまでの経緯を考えて、派遣の問題は約30年は解決しないという結論に達した。
私は偽装請負や3年が限度という派遣の同一業務は期間が守られず、ただ搾取するだけの派遣と相容れないのであって、私一人だけがそうであればいい。30年もの間、立ち上がることができない派遣社員のために尽くすほど、私は優しくないのである。私には私の人生がある。
労働運動、社会運動として派遣の権利を扱えないなら、派遣を救うのではなく、問題を小さくする方向で政府が取り組んでいけばいい。
方法としては派遣社員を少なくすることである。
最高で200万人を超えた派遣社員も、その後人数が減って2019年時点で150万人ほどである。コロナによる自粛で人の接触機会が減り、ネットで人に関わることで、派遣社員は自分達がつまらない仕事をしているのを知った。そうして派遣の仕事を辞めている者も多いと聞く。
政府で派遣社員を減らすように行政指導をし、また正社員と同じ仕事をしているところを改善し、派遣として独自にできる仕事を増やすべきである。こう言うと派遣より請負の方が適しているのだが、今の派遣は完全にリストラ要員、搾取要員となっている。行政の力で改善していける範囲だろう。
またAI化の進行で派遣社員を減らしていくこともできるが、AI化はなかなか進まないのが現状である。こうなると気は進まないが、外国人技能実習生を増やして派遣を減らす行政指導をするという手もある。派遣社員が日本人である以上、外国人よりも優遇されるように計らうのがより国益に適うことだと思う。派遣社員を減らす行政を行えば、15年以上経てば、派遣の問題を解決できる機会も巡ってくるだろう。問題を小さくしてから解決するという方法である。ただそのために救われない派遣社員が増えるという問題があるだけである。

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