坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。サブブログ「人の言うことを聞くべからず」+では古代史、神話中心にやってます。 NOTEでもブログやってます。「坂本晶の『後悔するべからず』 https://note.com/sakamotoakiraxyz他にyoutubeで「坂本晶のチャンネル」やってます。

サンディカリズム

サンディカリズム

経済を資本家でなく労働組合が動かしていくという思想。

アナーキズムとの関係が深いアナルコサンディカリズムは、政府や国家を廃絶して労働組合がそれに取って変わるというもの。

そもそもアナーキズムというのは、思想史を見ると度々出てくるが、現実に成立したことのないものである。政府のない社会をどうやって現実化するのかというのが、不勉強ながら私にはいつもわからない。

アナーキズムは人間を自由にするのが目的のようだが、そのために国家を廃絶しても人間はどう生きていいか分からず、暴力に怯え、強い者を頼ってまた国家らしきものができるだけのことである。人間の自由は国家によって担保される。

マルクス主義マルクスが言ったことは資本主義経済が崩壊するということで、いつの時代にもある資本主義へのアンチテーゼのひとつに過ぎなかった。マルクス主義を現実化したレーニンも暴力革命によるプロレタリアート独裁を「これがマルクスが言いたかったことだ」としただけで、マルクスが言ったことそのものではない。それでも実現させることができたが、経済原理を無視したものであったために短命に終わった。要は人間の頭の中でこねくり回した理想論というのは、ほとんど実現しないということである。

このように見ると、マルクス・レーニン主義が一時的にも世界に実現した理由がわかる気がする。マルクス・レーニン主義階級闘争で、暴力で打倒する対象がはっきりしていた。人間が自由になるためならブルジョア革命で十分で、プロレタリアートの権利や社会的地位の向上は社会民主主義でやればいいということである。マルクス・レーニン主義では自由は求めず、労働者の地位向上だけが図られた。

サンディカリズム無政府主義という点では、絵に描いた餅である。しかし社会主義にの方向にシフトすればちょっとは可能性がある。

もっともそれも20世紀までの話で、現代の世界は労働組合によらず、個々人が直接会社と給料を交渉するのが潮流となっている。横並びで賃金上昇を求める時代じゃない。

労働組合が経営を行うというのも現実離れじゃない。

経営は大変なもので、ないものねだりに走りがちな労働組合ができることではない。

こうなるとただの労働運動になってしまうが、今の終身雇用制が崩れない日本ならサンディカリズムの可能性があるかもしれない。

そもそも知識人がダイバーシティだのなんだの言ったって、現実は少しもその方向に動いていない。むしろ現状が固定化されてるんじゃない?

日本じゃ経営も組合も一体だし、経営者はわざと赤字を出して法人税を免除されて経営をつないでいる。非正規には能力向上のための投資もろくに行われていない。会社で通用する能力はその会社で使える能力ばかり。

そんなだったら1世紀時代を戻して産業別、職業別のサンディカリズムやったって全然時代遅れじゃないと思うんだけど。

 

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