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坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」

「水瓶座の女」の著者坂本晶が、書評をはじめ、書きたいことを書きたいように書いていきます。新ブログ「人の言うことを聞くべからず」+を開設しました。古代史、神話中心のブログです。

マンガ

日本型ファンタジーの誕生⑩~グロテスクな怪物たち

昔あるブロガーが「虫も子供の頃から慣れ親しんでいれば、大人になっても虫に触れるようになる」と言っていたが、私は違うと思った。 私は子供の頃に平気で虫に触っていたが、今は全く触れないからである。 ただ、なぜ子供の頃に触れた虫に、今触れないのか…

消失する父親像

矢沢あいの『NANA』を特徴づけているのは、登場キャラの自由さの他に、登場キャラの孤児率の高さにある。 大崎ナナは母親は4歳の時に蒸発し、父親は全くわからない。祖母は15歳の時に死んでいる。 本城蓮(レン)は捨て子、高木泰士(ヤス)は両親を交通事故…

ドラゴンボールを考える③~ヤムチャは戦力外!?

昔大学の後輩が、名前は忘れたがドラゴンボールに影響を与えたか影響を与えられたかというアメコミの話をしたことがあった。 「へー、それどういうマンガ?」 と私が聞くと、 「ヤムチャがいっぱい出てくるマンガです」 と後輩。 ヤムチャ!? その頃私はネッ…

日本型ファンタジーの誕生⑦~アイアムアヒーロー②

『進撃の巨人』(以下『進撃』がマキャベリズム的な冷酷さを打ち出すことで、逆に作品に生命力の強さが打ち出されているのに対し、『アイアムアヒーロー』には自殺が多い。 アウトレットモールで、村井はBB弾が切れると橋から飛び降り、カメラマンの荒木は少…

「ヒロシマ」は「この世界の片隅」ではない

『この世界の片隅に』は、話題になった時に一度買い、古本屋に売った。 今回映画になって、映画は見ずにもう一度マンガを買った。 読んでみて、新たに気づいたことがある。 すずの婚家は、戦時中の一般的な家庭の姿ではない。 私もそうだが、すずのようにぼ…

ナンセンスギャグの限界~『暗殺教室』

出欠確認と同時に始まる一斉射撃。 不意討ちでターゲットの命を狙う生徒達。マッハ20のターゲットは生徒達の攻撃を難なくかわす。 ターゲットは最高の教師。殺せんせーの指導で、生徒達は勉強にも自信をつけていく。 勉強も暗殺も一生懸命。まかり間違って流…

ドラゴンボールを考える②~悟空はギニューに10倍界王拳を使っていない

日本型ファンタジーの誕生⑥~ドラゴンボールを考える① - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」 で述べたように、『DB』は悟空がピッコロと天下一武道会で戦う時まで、実にゆったりとストーリーが進行する。 孫悟空を中心とした、読んでいて読者が安心できる…

日本型ファンタジーの誕生⑥~ドラゴンボールを考える①

『ドラゴンボール』(以下『DB』)は最初は盗賊や世界征服を企む集団などを敵としていくが、長期化するにつれて物足りなさを感じてきたところで、ピッコロ大魔王が登場する。 ピッコロは世界の王となった後、「犯罪をするのも自由」とする。 世界征服とは税…

日本型ファンタジーの誕生⑤~アイアムアヒーロー①

『アイアムアヒーロー』4巻で、鈴木英雄と早狩比呂美が、ZQN化した比呂美のクラスメイト二人に襲われる。 ZQNとなった可南子が比呂美と英雄に襲いかかるが、もう一人のZQN、紗衣が可南子に噛みつき、紗衣の意図が不明ながらも、比呂美と英雄を助ける格好にな…

日本型ファンタジーの誕生④~戦後の平和主義的正義観を変えたガンダム

戦後のストーリー作品で勧善懲悪をテーマとした作品で、『ウルトラマン』などに登場する怪獣の多くは、猛獣をイメージさせるキャラクターと思われる。 猛獣は本能に従って行動しているだけだが、人間にとって有害なので駆除する。怪獣達も本能で行動している…

日本型ファンタジーの誕生②~主人公を傷つけるヒロインと距離感のあるヒロインたち

日本型ファンタジーのヒロインについて考える時、私が思い出すのはこのマンガである。 小池田マヤ「不思議くんjam」の感想を書いてみた - 坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」 では書いてなかったが、『不思議くんjam』ではヒロインが主人公のライバルと肉体…

『進撃の巨人』を考える④~日本型ファンタジーの誕生①

『進撃』16巻で、囚われたエレンは自分の持っている巨人の力「座標」が、レイス王家の者でない自分が持っていても「世界の記憶」を引き継ぐことができないことを知る。 「世界の記憶」を継承した者は、その記憶を人類に広めることができるが、それをした者は…

『NANA』は日本人の人間関係を変えた。

私はこのマンガを見た時、「現実にこんな頭のいい奴らはいない」と思った。 別にタクミやヤスのような、格別に頭のいいキャラだけではなく、ハチやノブといったアホキャラさえ、私の知ってる人よりずっと頭がいいと思ったのだ。 もちろんそれは連載当時、単…

『進撃の巨人』を考える③~世界観を知りたい強迫観念が世界観を生み出す

普通のファンタジー作品は、ドラゴンや魔法などの我々に馴染み深い、特に西洋のファンタジーの世界観を導入して、読者をその世界観に入り込ませる。 『進撃』の世界観の作り方は、そうではない。 読者は世界観を把握していないために、『進撃』の世界観を知…

『進撃の巨人』を考える②~訓練兵は二度特攻する

エレンが巨人に食われて、しばらく主人公不在でストーリーが進んでいく。 エレンの死を聞いて、ミカサは逆上し、ガスを使い切って戦闘不能になる。 一度は戦うことを諦めるが、ミカサは「戦え!!」という、かつてのエレンの言葉を思い出す。それはミカサが誘…

『進撃の巨人』を考える①

『進撃の巨人』(以下『進撃』)は、出版不況と言われる中でヒットしている数少ない作品のひとつで、2015年10月時点で累計5000万部を突破している。 一冊あたり200万部超えで、2000年代ならしばしばあったが、最近では一冊あたり100万部超えもない中では珍し…

『あしたのジョー』はジョーと白木葉子の戦い

昭和のマンガに出てくる風景は大体そうなのだが、『あしたのジョー』のドヤ街のような風景を、私は見たことがない。 もちろん、古くさい街並みを見たことはあるが、それは『あしたのジョー』の風景とはどこか違う。 「こんなところに人が住めるのか」という…